第94話
朝早くからダンジョンに向かった
昨日の続きで12層から探索を開始した。
ライオンに乗った兵士は機動力が高いものの、上位存在であるグリフォンになす術なく威圧され、プライドの一裂きで兵士ごと倒してしまう。
「本当にみんな強いね〜」
サクサク進んでこの日は17層まで進んだ。
敵の種類は変わるものの、強さにおいてはようやく二手、三手が必要になったものの手こずる程には遠く及ばない。
翌日の探索でようやく動きがあった。
20層におりると神獣やシラナが消えた。
[この階層を含めてここから下層はお一人での挑戦となります。お仲間にはお帰りいただきました。]
「シラナ!大丈夫か?」
「あぁ、ご主人様よ。急に外に放り出されたぞ。妾は無事じゃ。何か理由があって出されたのならこれよりはご助力できないのであろう。ご無理はなさらぬようにの。」
「ありがとう。」
「妾はここの湖でゆっくりしておるからの」
以前にもあったな。この1人挑戦システム。
ここに降りるまでに倒したモンスターで以前ダウンしたレベルの一部を回復できたが、まだ全快とは言えない。でもまだまだ戦って困ることはない程のステータス差だ。
20層からはライオン騎乗の兵士は赤鎧と白鎧が入り混じって襲ってくる。
索敵スキルを使って位置の先取りをしながらアルテミスで遠距離射撃をする。
そうして進んでいくとボス部屋にたどり着いた。
扉を開けるともちろんボスが鎮座している。
「グリード…?」
「この個体はあなたの仲間の模造体です。能力は本物と同じです。手加減をしないことを推奨します。」
「ニセモノか。それならまだやりようはある。」
グリードは鋭い爪と強力な氷魔法を使う九尾の狐だ。
アルテミスのままで戦闘開始した。
すぐさま大きな氷の塊が頭上に現れた。
「うぇっ!あぶなっ。あんなの当たったらたまったもんじゃない」
頭上に気を取られてたら地面が一面凍ってツルツルになってしまった。
「こんなんじゃ弓じゃ無理だな。」
武器を翡翠に持ち替える。
走るのも上手くいかないが、近づいても氷魔法で迎撃されるし、グリード自体が逃げてしまう。
俺の攻撃力には勝てないのは分かっているらしい。
足場をどうにかしないと…
土魔法を使って氷を突き破って凍りついてない足場を確保した。今までは平面だったが土の柱が乱立するボコボコなフロアになってしまった。
「これならっ!」
凍りついてない足場を転々としながらグリードの狙いを定めないようにしてかく乱する。
グリードの目の前に新たな土の柱を出して一瞬視界を遮ると俺を見失っているすきをついて真上から剣を突き立てる。
突き刺す瞬間目を背けてしまった。敵とわかっていても仲間の姿をしたものに剣を向けるのは嫌なもんだ。突き刺した感触が残るのも気持ちが悪い。
頭では理解してるが気持ちが追いつかない。
ニセモノは消失した。
「っはぁ〜。なんだかなぁ…」
次の階層に降りるとまた赤鎧と白鎧が同じように大勢いる。
「あ〜っもう!」
先程の戦いのストレスをぶつけるように翡翠を振り回す。
今度のボスは
「またかよ…今度はプライドか」
高速飛行と鋭い爪、魔法攻撃をしてくるグリフォンだ。
「速さで勝負ってかぁ!?」
ボスフロアを飛んで回っている。空中での方向転換や急停止もお手の物なので単純な速さだけでの勝負ではない。
だが、足を止めていると雷魔法や風魔法が飛んでくる。
「動き続けるしかないのか…少ししんどいな。」
ゴムボールのように壁や地面を跳ねながら狙いを定めさせないような動き方をする。
「これなら捕まらないぞ!プライド!どうだ!」
怒ったプライドは大きな咆哮と共にフロア中に轟く雷魔法を使ってきた。
「そんな雑な魔法じゃ俺は捕まらないぞ。」
その轟音に紛れてプライドの真下に移動する。
前層でのグリードを刺した感触が拭えない。
こんなに戦うのが嫌だと思ったのは初めてだ。
俺を見失ったプライドを下から突き上げる。
急所を突かれた模造体は消失した。
この様子だと次はグラトニー、ラーストと戦うんだな。
考えるだけで滅入ってくる。
心を強く保たなければならないとっても厳しいダンジョンだな。
奥歯を強く噛み締めて次の層に降りる。




