第87話
翌日王城の使いからダンジョン踏破の祝いと内部構造の聴取をしたいとのことで王城に呼ばれた。
が、俺は断った。
以前登城した際の話を持ち出して断りを入れるとすんなり受け入れてくれた。だが内部構造に関しては簡単で構わないからレポートを貰えないかと食い下がってきたので仕方なく受けることにした。
俺がレポートを作っている間に2人は買い物しに町へ出かけていった。
夕方にはできあがったので先生経由で王城の使いに届けてもらうようにしたところで2人が帰ってきた。
「おかえり。」
「ただいま〜!マァト!いい買い物できたから明日は楽しみにしてて。」
「明日?なんかあるの?」
「あるのよ。まぁ…明日になったらね。」
翌日朝食の時から食堂に異様な雰囲気が立ち込めていたが、理由はわからなかった。
「マァ君!今日はビーチ行こう!バカンスと言えば南の海でしょ!」
「これか。いいね。行こう!」
ビーチに移動すると周りには知った顔が多かった。どこからか嗅ぎつけた他のパーティの男衆が2人の水着姿を拝むためにビーチに集まっていたようだ。
「なんかみんないると学校で来たみたいになるわね。」
「なんとかして2人の水着姿を見たい輩が大勢いるんだね。俺もだけど。」
「マァ君だけならいいけど、そんなに安売りしたくないわね。」
「そうね。私とディケはあなたに見せる為に昨日買い物行ったのに…」
「ありがとう。ちょっと目を瞑ってて。」
ドンッ!
力を込めて砂浜を叩いて一瞬砂嵐を起こすと転移して少し離れた場所に移った。
「さっすがぁ!」
「せっかくなら俺達だけでゆっくりしたいもんね。」
そこまで遠くに離れたわけではないが、あまり客の少ない穴場エリアにたまたま来れたようだ。
「さぁ!ご覧あれ!」
2人が水着姿で現れた!
「おぉっ!」
「マァ君…どうかな?」
「二人ともとっても似合ってるよ。スタイルの良さがさらに際立って見えるいいものを見つけたね!」
「でしょっ!私達のセンスは間違いないのよ。」
水際で遊ぶ可愛い子はサイコーです。
1日びっちりビーチで遊び尽くした俺達は拠点に戻るとぐったりしていた。
「ダンジョン潜ったくらい疲れてるね。その分楽しかったからいいんだけどさ。しかも目の保養も完璧だし。」
「楽しかったわね!」
「うん。また行きたいね!」
翌日俺はまた海岸に来ていた。
ビーチではないが、また海だ。
「ほれ!行っといで!」
「ご主人様。感謝するぞ。やはり海を泳ぐのが1番気分がよいのぉ」
シラナが泳げるタイミングだったので海に連れてきた。
遠くで眺めているとディケがきた。
「マァ君は泳がないの?」
「うん。さすがにあの速さには追いつけないしね。」
「確かに速いわね。みんなのことをちゃんと見ててエライね。」
「ディケこそみんなのことをしっかりみてて助かってるよ。いつも甘えさせてくれたありがとう。」
「え?あれで甘えてるって?もっと、もぉ〜っと甘えないと私には甘えてるうちにはいらないよ。だから気兼ねなく甘えていいんだよ。」
「ありがとう。本当にその包容力に感謝しているよ。」
「シラナー!この辺の海底になんか面白いものないのかー?」
「面白いものとな?ご主人様が求めるような、海底遺跡めいたものはないぞ。」
「そうか…残念だ。」
「ご主人様よ。背中にのられよ。」
「ディケも行こう!」
「うん!」
シラナに連れられてたどり着いたのは海側からしか入れない岩場で波音しかしない静かな場所だった。
「よいじゃろ?呼んでくれたら迎えに来るからごゆるりとするがよい」
「ありがとう。」
「家からみたら随分遠くに来た感じがするわ。家にいた頃はマァ君以外にも兄弟がいたし、ちゃんと家族って気はしてたけど、途中からは色々大変だったよね。今となってはマァ君の実家じゃなくなって私はよかったと思ってる。あんな家なら帰るところって思えないもの。私も帰りたくないし。」
「家、苦手なの?」
「うん。苦手ってより嫌いの方が近いかも。帰りたくないし。育ててくれた恩は感じてるけど、どこぞの知らない貴族と結婚させられそうになってるから早めに家から離れたい。かな。」
「政治のためか…」
「ドークス兄さんが父様と色々画策しているみたい。次帰ったらちゃんと言わないと。私はマァ君のお嫁さんになります!だから家からは出ます!ってね。」
「それ本気なの?」
「もちろんよ。マァ君。何度も言ってるじゃないの。2番目でもいいのよ。あなたと一緒にいられるならそれが私の幸せだから。」
「そこまで言ってくれるのはありがたい。確かにハルと恋人ではあるけど、ディケも同じくらい大切な人だよ。2番目とかってのは俺にはわからないけど、一緒にいてくれるのは俺にとっても幸せなんだと思う。俺と一緒になるっていうのはかなりハードルが高そうだね。」
「そうね。色々あったからね。」
「困ったことがあったら呼んでよ!すぐ駆けつけるから。ディケを不幸にさせたくない。必要なら無理矢理にでも連れて行くからさ。」
「泥棒さん?強盗さん?」
「場合によってはね。できれば平和的解決が理想だけどね。」
拠点に戻って個室にいるとハルに呼ばれた。談話室には2人ともいた。
「私達ね、決めたの。」
「何を?」
「2人であなたの傍にいるって。本当は相談のつもりだったんだけど、もうこれは決意表明よ!」
「え?」
「私マァトとお付き合いしていて、ディケに気を遣ってた部分があることに気づいたんだけど、気を遣う必要ないじゃないかって思って2人で話したことがあるの。」
「うん?」
「それで私はディケなら大丈夫と思ったの。だからマァトも私達2人を愛してくれるかしら?」
「あ…愛して?」
「そう。マァ君ハルは認めてくれた。私はあなたとずっと一緒にいたいの。」
「俺もそう思うよ。許されるなら俺もそうしたい。いいんだね?」
「だから、それをいいっていってるじゃないの。」
「ありがとう。2人ともこれからもよろしくね。」




