第84話
翌日は朝一番の馬車でダンジョンに向かった。
俺達以外にも多くのパーティがいたから乗ったかいはあったかな。
「お前らいつもどの時間の馬車に乗ってるんだ?」
まぁそーなるよな…
「混んでるの嫌だから朝イチとかは外して適当にかな。」
「確かにぎゅうぎゅうだもんな。」
朝イチの馬車は混み合っているからかあちこちで会話が飛び交っている。
ダンジョンに着くと我先にと各パーティが入口になだれ込んでいく
「そろそろかな?」
「うん。いいと思うよ。」
「御者も帰ったし、みんな中に入ったからいいと思う。」
2人とくっついて転移をして12層から始めた。
11層からは今までの1層からと同じ作りで同じギミックだったから解決方法は問題なく進めた。
ただ難易度というか敵の強さ等も含めてバージョンアップしたような感じだ。
一日に3層ずつ降りて19層をクリアした。一旦戻ろうと思ったが、他のパーティとバッティングしたくないから1層ではなくひとまず10層まで転移してそこから1層まで戻った。戻るのに2日かかった。
謎解きフロアは解決済みの状態で戻れるので、戻る時の方がかなりサクサク進む。
「転移なしでちゃんと戻ろうとするとここまで面倒なんだね。みんなには少し悪い気がするけど、ズルかなぁ?」
「それはマァ君の力なんだし、気にしなくていいんじゃない?ただ、みんなの目に触れるとややこしい力だからこうしてるだけでさ。」
「その通りよ!あなたが負い目を感じることはないわ!」
「ありがとう。さぁ、帰って一休みしよう。明日は1日お休みにする?」
「それもいいけど、今の勢いのまま行っちゃわない?」
「2人は疲れとか体力的に問題ないなら20層行っちゃおうか!」
「うん!」
拠点に戻り流れ作業のように風呂に入り、夕食を取りさっさと寝た。
翌朝談話室にでてくると気合十分の二人の顔を見て俺も気合がはいった。
「準備はいい?」
「もちろん!」
「ど〜んとこいっ!よ。」
「さぁ。いこう!」
大混雑の朝イチ馬車に乗り込んでダンジョンに入った。
19層に入った。
「たぶん今までの傾向でいくと次のフロアは広間でいきなりボスと戦うんじゃないかと思う。ここまでで二人もレベルアップしているから強さとしては心配してないけど、気を抜かないようにね。」
無言で頷く2人。
20層に降りると予想通り大きな空間の部屋だった。
「気をつけて!」
「ニンゲン共よ、よくここまでたどり着いた。ここが最終階層だ。今までとは比べものにならないくらいの戦いになるだろう。覚悟せよ!」
「リッチか…」
浮遊するゴーストのようなアンデッド。
強力な魔法や配下のアンデッド召喚等をして1体いるだけでもかなりの戦力となるモンスターだ。
「距離をとって戦おう。敵の魔法や召喚モンスターに気をつけて!」
アイテムボックスからアルテミスを取り出した。
「あ!み〜つっけた!」
その声が聞こえた瞬間に『また』俺は白の世界に引き込まれた。
「あれ?リッチは?みんなは?」
「いらっしゃい。君のその弓、サリエルのだよね?」
「あんた何者だ?」
「やだなぁ。初めてじゃないでしょ?これ。」
「もしかして…天使か?」
「そ!正解!私はアザゼル。天使の試練へようこそ。あ!君の心配している仲間たちはたぶん大丈夫だよ。ここの世界の時間軸と元の世界のとは違っていて向こうでは君のいない時間は5分もしないくらいで帰られるはずだから。」
「さっさと終わらせよう。何をすればいい?」
「私の能力はこれだよ…」
スゥーっと姿が消えた。気配もない。
「わかったかな?」
耳元で囁かれた。近寄る足音は一切なかった。
「わっ!なんだよ!」
「すまない。びっくりさせたいというより力を知ってもらいたかったんだ。私との試練は一発勝負だ。かくれんぼだよ。攻撃もスキルも一切認めない。君の、君自身の力だけで私を見つけてね。制限時間はここでの5時間。さぁいくよ。」
また姿が消えた。
「これってただ体力勝負や知恵比べってことなのか?」
「さぁ?私はただここに入ることができる人と遊びたいだけさ。思いっきり走り回って手当たり次第に探すもよし、会話から糸口を探すもよし。私はどうやってこの遊びをいかに長くできるかを楽しんでるだけさ〜」
「久しぶりのお客さんなんだろ?サービスしてくれてもいいんじゃないか?」
「言うね〜。じゃあ1つ目のヒントだよ。私の能力は消えるだけじゃない、感知されないし、影すら残さないしこの状態で発する音も消える。まさに『存在の消失』なんだよ。その私をどう捕まえるかが君に課された問題だ。」
「いやいや、それってかくれんぼにおいては無敵じゃねぇかよ。」
「そうだね。だからこそ今の私に辿り着く力をもつ可能性のある君に問うているんだ。この課題を解決できるかってね。」
今のこの白の空間はとてつもなく広い。闇雲に走って探したって向こうは見えてるのに捕まるはずなんてないよな…いや!もしかして!
俺は円を描く様に走りだした。
「いくぞ!アザゼル!」




