第65話
「おかえり。外は寒くなかった?」
「えぇ。肌寒さはあったけど、それが少し頭をスッキリさせてくれてよかったわよ。」
「スッキリしてどうなったの?」
「それが、マァトも散歩してたの!ばったり会っちゃって…」
「ハル…もうそれは運命よ」
「運命ね…それもいいかもしれないわ。」
「何かあったのね!」
(焦らさないでさっさと言っちゃいなさいよ!)
「ただ一緒に散歩して話してただけよ。でも私は隣にマァトがいないとダメみたい。ずっと隣に居たい。そう感じたわ。」
「はぁ〜ん!青春してる!てことは?」
「な!なによ!」
「はっきり言いなさいよ!」
「……好き…みたい…」
「いい!その恥じらい最高よ!あなたみたいな美少女の恥じらいはたまらないわ!…まぁこれからも何か相談にのってあげられることもあると思うから何かあったらいいなさいよ!」
「一番の親友だもの。これからもよろしくね!」
…………………
それぞれの夜は明けてまたいつもの毎日が始まる。
「そろそろ本格的に試験勉強がんばろうか!」
「マァト、朝から元気のなくなる話はよくないと思うよ。」
「スティア、この中であなたが一番危ないって自覚あるの?」
「フラウまでそんなことを言うなんて…」
「飛び級かどうかは別として進級しておかないと卒業できなくなるよ?」
「それはそうなんだけどさ…」
「マァト、筆記もそうだけど、たまに実技の練習もお願いね。」
「お、おう。ハルは試験内容聞いてるの?」
「まだ公表されてないから実技で何があるかはわからないわ。」
「まぁどんなことがあってもいいように色々トレーニングしておこう!」
……………………………
それからというもの朝ご飯を少し早く集合して勉強、授業、放課後も勉強や実技をこなして日々を過ごしていく。
いよいよ明日は昇級試験の日
「スティア、明日が本番なんだから今日くらいはゆっくり休んで明日に備えた方がいいんじゃない?」
「いや、ここで勉強した一問が勝敗を分けることもあるんだよ。体調不良はよくないからもう少し粘ることにするよ。」
「悔いのないようにがんばって。」
試験参加者以外は実技試験でも見学は不能なので俺は図書室でゆっくり過ごすことにした。
落ち着かないから本を読んでも全然頭に入ってこない。
「あーダメだ。集中できないな。今日はやめよ。」
部屋に戻る前に商店街のレストランに予約を入れに行ったら最後の一組でギリギリなものの予約はとれた。みんなが祝ってくれたお返しをしないとね。
ソワソワしてる時ほど時間の流れが遅く感じる。
あ〜まだか…
飛び級を受けないスティアとフラウは昼食時間に帰ってきた。
「おかえり!どうだった??」
「たぶん大丈夫なはず。飛び級の実技が終わる頃にみんなまとめて結果がでるみたい。」
「それならよかった。…そうだ!今晩は前のあの店予約しておいたからみんなでいこう!フラウとハルの分も取ってあるからみんなでね!」
「いいね!フラウに言っておくよ。」
…………………………
「マァト、結果発表始まったってさ」
「俺、行ってもいいの?」
「うん。行こう!」
「マァト〜受かってたよ〜!」
「おっ!ハルおめでとう!また次も一緒だね!」
「うん!よかったぁ!」
「スティアとフラウは?」
「う〜ん…と…あ!あった!二人とも合格だ!」
「みんな合格だ!よかった〜」
最終的には受験者の半数が合格だったようだ。
「今度は俺がみんなを祝いたい!この前のレストラン予約してあるから準備できたらお店集合で!」
今回は姉さんはいないもののみんなとの祝の席はとても幸せを感じられる。
……………………………
それから年末まではみんなで授業うけたり、来年の準備をしたりして過ごした。
そして新たな年を迎えた。
「年を越したし、もう少しで5級だね。」
「マァトはまたぶっちぎりで1位になっちゃうんだろうなぁ〜」
「いやいや、さすがにそう簡単にはいかないんじゃないかなぁ…今度は姉さんもいるしね。」
「ディケさんはできる方なの?」
「ん〜どうなんだろ?わからないけど、勉強はできそうなイメージはあるよ。」
「今年から1人部屋か〜スティアと別々になっちゃうのは寂しいな〜」
「私もよ。フラウと離ればなれはね…まぁ会えないわけじゃないし、泊まりに来てくれる約束もしてるからいいんだけど、ふとした時にね…」
「それはそうだろうね…早く5級に上がってもらって同じ寮に来ればなんとでもなるね。」
「確かに!早く来てもらえばいいんだ!」
「マァトまた今日みたいにお散歩に誘っていい?」
「もちろんでございます。姫様のお呼び立てには何をおいてもお応えいたします。」
膝をついてハルに手を差し出す。
「フフフ。久しぶりに聞いたわ。それ。部屋離れる前にはフラウに伝えないとな…」
「焦らなくてもいいんじゃない?今が言う時ならばそれでいいけど、話すチャンスはまだいくらでもあるんだしさ。」
「そう…ね。確かに。言えそうならってことにしておくわ。」
「休みは実家に帰るんでしょ?」
「えぇ。そんなに休みは長くないからゆっくりはできないけどそのつもりよ。マァトはどうするの?」
「う〜ん…とりあえず師匠のところに顔を出しに行くつもりはしてる。」
「お師匠さんにはよろしく伝えておいてね。」
「あぁ。」
ハルとの夜の散歩はあれから何度かしている。
この時間は何にも代え難い大切な時間だ。
ハルもそう思ってくれていたら嬉しいな。




