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七罪の裁定者  作者: まーるぽー
第3章・中立学園都市国家ゴンドヴィル(3級)

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第54話

その日は授業が終わり、いつものように図書室に寄ってから夕食を食べて部屋に戻る。


ドアの下の隙間に手紙が差してある。


【研究室から紛失した木を探しているんだろ?返してほしかったら明日の授業の後で商店街の裏の路地に一人で来い。    キール】


はぁ〜

面倒くさい奴に盗まれてたかぁ…


少し遅れてスティアが部屋に戻ってきた。


「スティア…木見つかったぞ。キールだ。」


「え?キールが犯人ってこと?」


「そう。これを見て」

さっきの手紙を見せる。


「露骨に見え透いた罠じゃないか!たとえマァトが強くても何かしらの方法で危害を加えられることだってあり得るんだよ?」


「心配してくれてありがとう。でもあの木の実をあちこちに流通させちゃったら大変なことになる。怪我人がでるくらいで済めばいいけど、場合によっては死人もでかねない。放っておけないよ。」


「確かにそうなんだよね。場合によっては木の処分すら考えないとならないもんね。」


「あぁ。そうだね。ハルや姉さんには黙っておいてね。不要な心配をかけたくないんだ。」


「わかった。でもちゃんと帰ってくるんだよ?マァトが無茶や無理をするとは考えないけど、自分を大事にね。」


「ありがとう。夕食までには終わらせるから寮で待ってて。」


翌日、授業が終わりマァトは指定された場所に向かう


先に待ち合わせ場所にいるキールは例の木を持って待っている。

「今のうちに実を食べておくか。」


側においてある木から実をもぎとり、そのまま一口で食べる。


「おぉぉぉ!これか!これはすごいぞ!力がみなぎるのがわかる。オレはもう誰にも負けたりしない。この力があれば…ハァーっハッハッハ!」


実を食べて力が満ちたキールはさらに実を探す。


「あのマァトだ、もっと食べてさらに強くなる必要がある。アイツに対するならまだまだ必要だ!もっと実を!もっと強さを!もっとだ!」


木の枝をまさぐり、色々な角度から探してみたが、実を見つけることはできなかった。

ただし、花が一輪。戦う前から死に物狂いなキールはその花に手を伸ばす。


「ぐっ!なんだコレ!おい!離れろ!」



その木は強さを求めるキールからからだした手を取り、

手を取り、

手を取り込んだ!

手から腕、肩へそれから全てを飲み込み、望むものに力を与えた。



キールは木に喰われたのだ。

キールだった者が立っていた場所には大樹が一本立っている。


その一部始終を見ていた者が一人だけいる。

たった一人の姉であるディケである。


「キールっ!」

たまたま授業後に商店街に用事があって歩いていたディケは何かに呼ばれるでもなくいつもと違う道を歩いていると植木鉢の木と融合し、モンスターに変化した弟を見た。


「キール…どうして…」


みるみる大きくなる樹を見上げることしかできずにいた。


「あれ?キール?どこにいる?こんなところにこんな木生えていたっけなぁ?」

近寄っていく人に向かって鋭く枝を伸ばして捕まえる。数カ所枝を刺したと思ったらその人はミイラのように干上がっていった。


「う…ぐぁ…はぁ」


カラン


人だったモノが、すべての水分を吸い取られ打ち捨てられた。


ディケは目の前の光景に恐怖を感じ逃げることしかできなかった。一心不乱に逃げ続けた。少し離れたところで振り返り、息を整える。

木だから走るとかはないことに少しの安堵を感じて膝から崩れ落ちその場に座り込んだ。 

少し離れても見える大木が怖くて仕方なかった。


その頃マァトはというと、ディケとは違うルートだったためすれ違うこともなくキールに近づいていた。


「ここ…だよな?こんなデカい木なんてあったっけか?」


元々キールだったモンスターはマァトを感知すると敵意を全開にして攻勢にでる。


バシンバシン! 

枝を鞭にして上から横からマァトを攻め立てる。


「何だコイツ!いきなり!」 


《鑑定》

クレイヴィータルブル

※ステータスの表示が不能※


「クソっ!名前はわかったけど、なんなんだコイツは!」


鋭くしなやかに動く木の枝を避けるのは難しく数カ所ダメージを負った。

少し離れて枝の距離から離れると地面から割れ出ている木の根から数個の銃口が現れる。

その銃口はすべてマァトに向いて照準を合わせている。


ピュン!

マァトはギリギリで回避できたが、頬が何かをかすめ血を滲ませる。

振り返ると後ろの建造物にめり込んで穴を開けているだけで何が飛んできたかの判別はできなかった。


「なんつー破壊力だよ!」


マシンガンのように連射でしつこくマァトを狙い続ける。


「近くも、離れてもどっちも対応できるのかよ!」


ここまで回避に意識をもっていかれると弓矢の攻撃をする隙がない。


土魔法で防護壁をだす。

ゴゴゴゴゴ。

遠隔攻撃はなんとか防げた。


壁の向こうで攻撃を受けている振動が伝わる。そう長くは保たなそうだ。アルテミスを出して火矢を準備する。


木相手なんだから火でしょ!って安易な考えで火属性、貫通、必中の効果を与えて射出。壁が前にあるので少し上めに打ち出す。


ガンッ!

当たったようだが、向こうの遠隔攻撃が止む気配はまったくない。あれだけの大木だから少しの火矢では足りないらしい。


ピシッガラガラガラガラ

防護壁が打ち破られた。

また少し横へ動いて防護壁を作る。


うーん…

これじゃジリ貧だなぁ…

離れればマシンガン、近づけば鞭の嵐。


ん?嵐?そうだ!これならいけるかも!


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