第52話
夏休みが終わりまた平穏な日々が始まった。
学校が始まった日の朝食
「マァくぅ〜ん!!」
「やぁ姉さん。夏休みはゆっくりできた?」
「マァ君成分が足りなすぎて長く感じたよ」
「あ!そうだ姉さんにプレゼント!これもらってよ」
アイテムボックスから蒼牙をとりだしてディケに渡す。
「え!綺麗な刀身だね。とっても嬉しいけど、どうしたの?」
「夏休み中にスティアに打ってもらったんだ。一緒に鉱石掘りにいってそれでね。基本的には俺が姉さんを守っていたいけど、手の届かない瞬間もあるかもしれないからさ。念のために持っていてほしいなって。」
「マァ君私のこと守ってくれるの?嬉しい!」
「不測の事態はいつ起こるかわからないからさ。そういえば実家でキールや兄さん達はどうだった?」
「学校での話はあまりしてないからどうもこうもないかな。ドークス兄さんとはマァ君の話はしてるのかもだけど…みんな揃った時にマァ君に手を出すなってのはちゃんと面と向かってみんなに言ってたくらいかな。」
「このまま何もないといいんだけどな…」
………………………
平穏なまま2カ月が過ぎた。
相変わらずダン実は運動にもならないし、レベルもあがらないし。勉強に関しては図書館で読んだことのあることの繰り返しで新たな学びはほぼない。
授業の終わる頃、先生が
「そろそろ昇級試験を見据えて受けるやつは準備しとけよ〜!次は4級だから戦闘技術に自信あるやつは飛び級も含めて受験するならさらにしっかり準備が必要だぞ。」
ここAクラスの学力でみればおそらく4級に昇級はみんな難なくパスできるだろう。
さらにそこを飛び級できるにはどれくらいの戦闘能力が必要なのだろうか…
「マァトくらいあれば余裕で5級あがれるけど、それ以外は試験官次第だな。いけなくもないやつもいくらかいるからな。まぁ…がんばれ!」
部屋に戻るとスティアが難しい顔して教科書とにらめっこしている。
「マァトはどうせ飛び級して次は5級なんでしょ?」
「どうせって…まぁそのつもりしてる。一人部屋になるのはありがたいけど、せっかくスティアと同じ部屋になれたのがすぐ終わっちゃうのももったいないんだよなぁ…」
「僕は進級できるか怪しいってのに!4級にさえ上がれれば実技は問題ないからその先の進級は心配してないけど、本当にここの試験だけが難関なんだよね。」
「そういえばアレは解析できそうなの?」
アレとは学校ダンジョンの裏ボスからもらったステータスの種だ。
ステータスがあがるかもしれないとのことだが本当に大丈夫なのか?リスクというか、安全性は?効果も『かもしれない』の振り幅や時間も不明だ。
土に植えてどれくらいで実がなるのか…
「とりあえず研究棟で植えているし木のようなものになってはきているよ。」
「実はなったの?」
「それはまだ。花も咲いてないからね。その木自体に魔力も計測できないし、今のところただの木としか言えないね」
「食べるだけで強くなれるような実がなるなら精一杯お世話するんだけどなぁ…」
「そんな簡単にステータスあがって副作用があったら大変だよ?あがった以上に減少したり、一定時間で効果が切れるかもしれないし。呪われでもしたら目も当てられないよ。安全が確認できるまでは情報開示もできないし、実際に食べるのも控えた方がいいだろうね。」
「そうだね。残念だけど、スティアの言うとおりだよ。強烈な副作用があったら危ないし、場合によってはその木ごと処分しないとならないことも考えないとね。」
…………………………
〜数日後〜
スティアに呼ばれて研究棟にきた。
「何か変化あったの?」
「そう!花が咲いたと思ったらすぐ実になったよ!つぼみができてからは本当に早かった。」
「おぉ!ついにきたか!」
《鑑定》
ステータスの実
ステータス全てが爆発的に上昇するが一定時間後反動を受けて動けなくなる。稀に上昇した能力により全能感を感じて破壊衝動や支配衝動が顕著に現れる。お湯で煮出した汁を飲むと一時的に痛みを感じなくなる。
「うーん…なんか微妙だね。痛みを感じなくなるのは使いどころがありそうだけど、実をそのまま食べる方はしない方がよさそうだ。」
「マァトはその使い所はどこにあると思う?」
(前世の知識を使うなら麻酔のように医療的利用はアリなんだろうけど、この世界には回復魔法があるおかげで医療、外科的なものは特に発展していないんだよなぁ…)
「う〜ん…痛み止めの薬として使える場面はあると思う。頭痛あるときとかヒーラーや教会が近くに無い時にはあってもいいかもね!」
「確かに!回復術とか聖魔法の使い手はあまり多くないからちゃんと薬として作れたらみんなの役に立つかも。」
スティアはさっそく実を1つ鍋に入れて火にかけ始めた。
最初は無色透明なままだが煮ているとだんだん実の色である紫が広がっていく。
「試しに一滴垂らしてみるね。」
躊躇なくスティアは手の甲に一滴垂らした。
「え?いきなり?大丈夫?」
「まぁ…なんとかるっしょ!どうにもならなさそうならマァトが助けてね。あ…だんだん感覚なくなってきたかも…」
スティアは煮汁の垂らしたあたりを叩いたりつついたりしている。
「これはすごいね。振動は伝わるけど触ってる感覚全然ないや。マァトからも少し触ってみてよ」
「大丈夫か?…わかる?」
おそるおそるマァトもツンツンしてみる。
「全然感覚ないよ!これは使い所を考えないと少し危ないものになりそうだね。とりあえずこの煮汁の成分の研究してみるよ!」
3分後には効果はきれて元通りになったようだ。
「体に使うのなら薬師の話も聞かないとな…」
「そういえばスティアって薬師とかそういう方面の知識あるの?」
「いや、全然。誰かそういう人を探して薬としての共同研究かなって思ってる。」
麻酔や痛み止め、解熱の薬ができれば病に苦しむ人の助けになるだろう。がんばれスティア!
〜隣の部屋〜
「おい!聞こえたか?ステータスのあがる実がなる木だってよ。」
「そんなものがあるのか!?」
「全部じゃないけど、その話はしっかり聞き取れた。」
「おう!それがあれば…」




