第45話
祠に近づくほど風雨は強くなっていく。
「あ…たぶん…アレだよなぁ…」
大きな竜巻がその場で動かず強風をあたりにふりまいている。
風が強く一歩一歩が重くなる。
竜巻の直ぐ側まで来ると嵐龍が飛び出してくる。
「か弱き存在よ。邪魔をしに来たか。我はここの魔力を食らいに来たのだ。邪魔をするなら腹の虫のたしにさせてもらうぞ。わが身惜しくば直ちに立ち去れ!」
あっ喋れるタイプの龍さんなのね!
「嫌だねっ!俺はお前と勝負しに来たんだ!」
龍の表情が変化する。
怒ってる?
「我に挑むというか。我らとの格差をも忘れてしまったか。か弱き存在よ。今一度龍というものの圧倒的な力をみるがいい!」
龍は羽ばたき上空に上がる。羽ばたくたびに刃物ののようなかまいたちが飛んでくる。
「さっそく出番だ!翡翠!」
アイテムボックスから翡翠を引き抜くとかまいたちをすべてはじき落とす。
風魔法を刃にのせて…打ち出す!
風の刃が龍に向かって飛んでいく。
「我に風の力で対抗とは片腹痛いわ。んっバカな!」
スパッ
龍の作った風の障壁を容易く切り裂いて6枚ある翼の内の1枚をきり落とした。
「か弱き存在と舐めていたことは謝ろう。ではこのままでは終わらせんぞ!」
ヘカトンケイルとは比べ物にならないくらい大きな風玉を溜め込んでいる。
…ん〜これ待つ必要ないよね?えいっ!
もう一枚の羽が落ちる。
「くっ!貴様は待つということを知らんのか…これでも喰らえ!」
俺の体の5倍以上はありそうな大きな暴風の塊が飛んでくる。
弱点看破で魔法の芯を探すと中心に核となる部分を見つけた。さすがに玉の中に入って壊すわけにはいかないなぁ…
風の魔力を刃から伸ばして伸ばして長い大剣できあがり!
これなら届く!
「いっけぇぇぇええ!」
長い刃は中心に届き、暴風の塊は霧散した。
「まだなんか技や魔法ないのか!??」
「あれをいとも簡単に防ぐのでは我とてかなうまい。強者よ。我の降参だ。いかようにもしてくれ。」
え?試合終了な感じ?これからなのに…
「そうか…それなら。俺にテイムされろ!今日から俺の仲間になってくれ。」
「肉を喰ったり、武器や防具の素材にしたりせんのか?仲間とな!龍である我を。カッカッカッカッ!実に面白い御仁だ。これより主と認め命をささげ、その命尽きるまで永遠の忠誠を誓おう。」
[テイムが成功しました。嵐龍に命名してください。]
「ん〜名前かぁ…嵐、龍…う〜ん…」
テンペストなドラゴンはさすがに色々ひっかかりそうだしなぁ…
「ゲイルでどうだろうか!?」
「相わかった!今から我はゲイルと名乗ろう!」
[テイムモンスターとのつながりが強固になったため強化されます。嵐龍より進化します。進化先を提示。風龍の進化先としては極致になるため気をつけてください。]
(①天災龍:天災をおこすほどの膨大な魔力)
(②精霊龍:龍としての実体を持たず風として存在する)
うーん…どうせなら背中乗りたいよなぁ…
神獣達もいるから実体ない方がごちゃごちゃしないけども…
決めた!
「ゲイル!君はこれから天災龍ゲイルとして俺を支えてくれ。」
「主の御心のままに。」
[嵐龍は天災龍に進化しました。]
「なぁゲイル、2つほど聞きたいんだが…まず背中にのって移動するなら何人までいける?あと、このままデカいと街に入ったりするのは難しい。小さくなれるのか?」
「主よ、そんなことならお安い御用だ。まず背中に乗れるなら何人でもよいぞ。あと小さくなれるかということだが…これくらいでよいか?」
20mくらいあったはずなのに50cmくらいまで小さくなった!
「ここまで小さくなれるのか!!俺から言った話だけども大変じゃないか?」
「これくらいなら大した魔力も使わないから気にせんでよいぞ。」
「戦闘や移動以外は基本的にこっちで頼む。」
町に戻り宿屋の女将に報告したところそこから町の警備隊に話がいき、そこでさらに皇国騎士団の判断を仰ぎたいとのことだ。
話がだんだん大きくなってきたな…
騎士団が来たのは予定通り3日後だった。
「警備隊から話は聞いている。龍からの脅威を取り除いてくれて感謝する。ただ、君のような子どもが対処できたと信じるに足る証拠を見せてくれないか?」
「そりゃそうですね。こんな子どもが龍に対処できたなんて想像もつかないですね。じゃあこれならどうですか?」
肩に乗るゲイルを見せる。
「こいつがその龍です。どう説明していいか分からないんだけど、もう害意はありません。俺の仲間になりましたので!今までのはどうしようもないけど、これからは悪いことはさせないし、もし見つけたらキッチリ躾ますから。」
ゲイルはビクビクしながらこっちを上目遣いで見ている。
「悪いことしなきゃ大丈夫。」
「その小さな龍があの大嵐を起こしていたと?」
「あぁ…サイズね!ここだと大変なことになるから一旦町の外に行きましょう。」
みんな引き連れて町の外へでる。そんなわけがない。こんな子どもにできっこない。もしかしたら龍を使って攻めてきた他国の者かなど色々な声がボソボソと聞こえる。
俺、耳いからね!聞こえてるよ!
「ここらでいいかな?ゲイル君の勇姿を見せてあげて!」
ぐぉぉぉぉぉ
思った以上の大きさに腰を抜かしたり町へ逃げる者、剣を抜き臨戦態勢を整える者。みんなビックリしたようだ。
「わ、わ、わ、わ、わかった。できればさっきのサイズに戻ってもらえると助かるのだが…」
「町に戻るからまた元のサイズにおねがーい!」
「龍を従えるなど、おとぎ話にでてくる賢者くらいなもんだぞ。これは歴史的快挙だぞ!このことは皇帝に伝えねばならない。皇城に招聘されるかはわからんが功績自体は間違いない。一旦皇都までご同行願えるか?」
「わかりました。皆さんは全員で何人ですか?」
「龍対策の人数だから今は50人の先発隊であとからまた50人くる予定になっている。」
「う〜ん…さすがに50人は乗り切れないな〜隊長さんを連れて行くわけにもいかないだろうし…とりあえず俺だけお先にひとっ飛びなので皇都行ってますね!宿泊先は門番さんにでも伝えておくので追いかけてきてください!ゲイル背中いいかな?」
大きな龍の背中にちょこんと乗るとゲイルは空高く舞い上がる。少し先に大きな城のある城郭が見えたのでそこを目指す。
高い所から見ると近く感じてしまう…
違う。ゲイルの飛行速度が速いんだ。
馬で3日の距離を数分で到着してしまった。
「ゲイル…速いね君は。」
「まだ本気は出しておらんよ。」
これなら俺の転移いらなくね?
騎士団が到着するまでの3日で皇都を歩き回って観光は終わらせておいた。
コンコンコン。
「はい?」
「マァト殿、お待たせした。先日話した通り此度の成果の報奨が王から賜われるとのことだ。登城願いたい。」
「服装こんなんでよければいきましょう。」




