第44話
「でき…た!」
工房にこもりっきりで作り上げた三振りの刀剣。
その間俺は図書館に通い詰めた。
スティアの家にお世話になってたいたが、工房からでてこないスティアに報いるためにも情報収集に勤しんだ。
ユニークジョブについての記述はいくつかあった。以前スティアが教えてくれたようにドワーフ族には定期的に鍛冶や鉱石、魔石等にまつわるジョブが発現するということ、種族特性があり例えばエルフには精霊術や自然に関するジョブが現れることがあるようだ。
ニンゲン族の種族特性って何なんだろうか…
世代が変わっても引き継がれないし、隔世遺伝なんかも確認されていない。
ユニークジョブ同士の子どもに発現するかという実験では子に発現することはなかったと。本当にランダムなんだということが結論づけられた。
ユニークジョブの専用スキルはレベル上昇が早い反面、それ以外のスキルの成長が遅くなりやすいらしい…
七つの大罪というワードやジョブに関しての記述は一切見当たらないし、俺が持っているようなスキルを使っている記録もない。
天使の試練や神器に関わるようなものに関しては少しあった。
今まで見たことのない素材、見たことのない頑丈さの防具。製作者が不明かつ現在地も不明だが、神から賜りし逸品ということだ。
ただ、効果や名前などの情報はなくそういう物があったという事以上のことはわからなかった。
気晴らしに学校に転移して姉さんやハルに手紙をだしたりもした。
工房を覗きに行こうとしたがモルダーに止められてしまった。製作風景が気になっていたが、かなり集中しているため余計なことはしない方がいいとのこと。
そして出来上がった三振りは
1つ目は俺の剣。俺の身長近くある大剣。銘は『翡翠』というらしい。ミスリル鉱石の色から名付けられたという。
残りの2本の短剣は長めのナイフで刀身が少し太めなのが『碧玉』、それと1つの短剣を2つに分けて2本にして使うこともできる『蒼牙』。
「スティアお疲れ様!大作だね!こんなに素晴らしいものを作ってくれてありがとう。」
「作ってるとだんだん止まらなくなってね。3つともミスリルを使っているから魔法耐性があって刃に魔法をのせたり、敵の魔法を切り裂いたり出来るはずだよ!マァトのは特殊な魔石を嵌めてあって魔力を込めると一次的に剣の重さを重くしたり軽くしたり出来るようにしてある。」
「おぉ!そんなすごい効果あるなら戦い方がかなり広がるな〜」
「あと、その三振りは兄弟剣だから魔力を込めると共鳴するんだ。そうするとお互いのいる方角と距離が分かるようになっている。これで離れていてもハルの居場所が分かって安心でしょ?」
悪い顔でニヤニヤしている…
俺はそんなに束縛したい訳でも、そもそもハルの恋人でもないんだってば!
「いやいや!そんなんじゃないってば!まぁ…でもいざという時に場所がわかるのはすばらしいね。」
「余りの鉱石で僕とフラウの分のブレスレットを作って同じようにさせてもらったよ」
「本当にありがとう。何かの形で必ずお返しするよ。スティアが作ってくれている間に図書館に通っていたんだけど、思ったより収穫はなかったけどユニークジョブの研究余地は少し見えたよ。ここにこられてよかった。」
「僕もここまで集中してモノ作りができて楽しかったし、いい経験になったよ。こちらこそありがとう。」
「この剣にスティアの名前彫ってくれないか?」
「うれしいような、恥ずかしいような…」
顔はしっかり真っ赤だ。
「こんなすばらしい武器の製作者を世に知らしめないのは間違っているからね!君が将来有名になった時にスティア謹製の大剣を使っているって自慢したいじゃん」
「それをいうならマァトの方が確実に有名になるよ!喜んで彫らせてもらうね。たぶん刃毀れすることはないと思うけど、もしなっても学校でも研げるからすぐ言ってね!」
翌日は王都を食べ歩きしながらスティアが紹介してくれた。小さい頃に遊んでたところやイタズラして怒られたことまでも
「色々みせてくれてありがとう!せっかく作ってくれたからハルに届けてあげたいんだ!まだイメリアに行く時間は取れるから俺はここいらで一旦移動させてもらおうと思うよ。本当にありがとうね。」
「うん。それがいい。行っておいで!実は僕も少し休んだらサプライズでフラウの所に行こうかと思うんだ。」
「おっ!それいいね!どんなだったか学校ついたら教えてくれよ。」
「もちろん。マァトもイメリアの話聞かせてね!」
世話になったバイス家にお返しを探してアイテムボックスを探して出せたのは魔族領で倒したイエティのお肉くらいだったが、美味しくいただいてもらえるだろう。
時間がもったいないので転移で学校へ戻り新たにイメリア行きの船に乗った。
あ〜また暇な時間が続くのね…
船に揺られて5日後イメリアの港町に到着した。
台風とまではいわないが強めの風雨が余計に疲れさせられた。
外を歩く天気でもないので宿を決めて食堂で少し情報収集。
「この天気でよく船大丈夫だったねぇ」
ここの宿の女将さんはとっても気さくで話しやすい。
「えぇ。イメリアに近づくほど風雨が強くなってたけど、いい船だったのか難なく到着できました。」
「アンタも悪い時に来たもんさね」
ため息をつきながら女将が言う
「悪い時??」
「風龍…いや嵐龍だよ。ここからそう遠くないところに風の精霊石を祀っている祠があってそこには風の魔力が強く集まるんだけど、そこに龍が住み着いちまったのさ。どんどん魔力が集まるもんだから嵐龍に進化しちまってこの有様よ。もう5日近く風雨が続いていてこのままなら街が流されちまう。皇国騎士団が早く来ないかねぇ…」
「皇都までここからどれくらいかかるので?」
「馬で走れば3日もあればつくはずだよ。たぶん知らせに行ったモンがそろそろ着くころだ。」
「それならこっちくるまでまだ3日くらいは少なくともかかるってとこか…祠はどれくらい近いんですか?」
「アンタくらいの足でも1時間も歩けば見つけられるくらいのところさね。アンタみたいな子どもじゃムリムリ!鼻息でフッと飛ばされて終わりだよ。」
「一応Dランク冒険者なんです。偵察だけでもして、騎士団のための時間稼ぎや下準備でもできれば、もしくは…」
「一人でバカな真似するんじゃないよ!偵察だけなら行っといで。雨具持ってきてから地図書いてやるから待ってな。」
「ありがとう。」
あ〜夏休みもドラマチックでたまらんぜ!




