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第41.5話 キールの記録

俺は生まれてこの方不自由なく暮らしてきた。

優しい兄弟

うまい食事

欲しいものは大体何でも手に入った。


父親は聖教国の偉い人らしい。

母さんはその人の二人目の妻だそうだ。


俺の血の繋がった兄弟はディケ姉さんただ一人。その上にも兄さんがいる。弟も二人いる。


弟(四男)は三番目の妻の子どもだ。

今現在の父の妻にあたる人だ。


そして弟(五男)は妾腹の子だ。


なんでこんなやつまで兄弟としなければならないのか…


ジョブ鑑定の儀では先導者というジョブを授かった。これは迷い、悩む人を先導しその答えを見つけるというもの。


父様には家庭教師をつけてもらい、神聖学や、一般学識、戦闘訓練などを学んだ。


オレの学校入学の年に事件は起こった。

あの妾腹が死んだというではないか!


父様の話によると判別の儀であいつは神罰を受けたということだ。

なぜそうなったかは不明だそうだが、儀式の途中で死んだとのこと。


まぁなんであれ穢れたやつが家からいなくなるならそれでいい。


それからは父様が少しピリピリしている日が多かった。独り言で品薄とか運び屋とか言ってた気がする…


学校では地元なだけあってみんな俺を敬う。媚びへつらうやつばかり。ここは俺の国なのかと勘違いしてしまいそうだ。


まがりなりにもテミス家の者として、上に立つ者として力をもつ必要がある。だから俺は王のように祭り上げられても努力を惜しまなかった。

勉学にも戦闘訓練、魔法の訓練どれも手を抜かずに一生懸命やった。


テストではいつも満点かそれに近いだけとれるし、実技だって同級生の誰にだって手こずることはなくなった。


2級に上がってもそれは変わらなかった。

兄さん達も好成績で学校では常に上の方にいるらしい。


3級に昇級が決まり、入寮するとすぐにドークス兄さんが訪ねてきた。


「お前はエルとは違ってたぶん俺に似ている。3級にあがれば世界が変わる。力が欲しくなる時がくるだろう。おそらく今まで培ってきたものでも足りなくなる時がきっとくる。その時は俺の元へこい。兄弟なんだから協力は惜しまないよ。」


今までとは違って他の国の人たちもいるから常識が通じないこともあるかもしれない。


入学式になり俺は見つけてしまった!

これは運命なんだ。

あの子を俺のモノにしたい。

一目惚れだ…

名前はハルマーナ


もう一人見つけてはならない…

いや、ここで見つけてよかったのかもしれない。

マァト!

父様から死んだと聞いてたが、しぶとく生きていやがったか…

あんな産まれが卑しいやつと兄弟だと思われるのは不快だ。なんとかしないと…

アイツのせいで俺はBクラス。アイツさえいなければハルマーナと同じクラスになれたのに。Aクラスに入れたのに。

アイツさえいなければ、アイツさえ…


翌日から俺はハルマーナへのアプローチを始めた。あそこまでの美貌、どこかいい生まれの人間なのだろう。

あぁ…アイツさえいなければもっと近くにいられたはずなのに…


学校が始まって1週間父様から速達が届いた。

マァトに関するものだ。和解とまではいかないが、お互い不可侵な契約を結ぶから無視しろ。余計な手出しはするなと。


エル兄さんからも手紙をみたか?ときた。同じ学年だからと気にするなと釘を差された。

魔法契約書を使うのだからよっぽどだが、手出しできないなら早々に躾てやればよかった。



今度ダンジョンで実習がある。クラスが違うからハルマーナへのアピールはできなさそうだが、日程上すれ違う瞬間があるはずだ。そこは絶対的なチャンスになるはずだ。


ダンジョンは洞窟だが、明るく進みやすい。戦闘では俺より強い者はいないように感じた。俺はしっかり訓練してきたんだ。この学年でも負けることは少ないだろう。


3層のボスは手下共の力によって弱体化できた。しっかりとどめは俺が刺す。それが俺の作り上げた力。強い兵隊を持つことも俺の力の1つだ。

意気揚々と4層に降りる時にアイツがいた。


5級に飛び級だと!?

あんなやつが?

しかも隣にいるのはハルマーナじゃないか!!


なんで?アイツさえいなければ!アイツさえいなければ!クソっクソっ!


そうだ!兄さんに力を借りよう。


「思ったより遅かったな。もう少し早くオレのところに来ると思っていたよ。何に困っている?どういう力が必要だ?」


「力が欲しい。何にしても邪魔なアイツをどうにかしたい。アイツ本人もその近くで幸せそうにしている奴らも気に食わない!父様からの話で直接どうにか出来なくてもアイツの大事にしてるもの全部グチャグチャにしてやりたい。」


「わかった。それには段階が必要だな。まずは力を蓄えろ。数を揃えて、兵隊を集めてからだ。数は暴力なんだよ。どんなに個の力が強くても数には勝てない。数があればいくらでも策はとれる。いいものをやる。うまく使えよ。」


兄さんからは依存性の高く、多幸感、浮遊感が強く出てハイになる薬を卸してもらうことになった。酒と共に摂取するとさらに効果が高いらしい。


まずは内輪の兵隊から口コミで広げて数を増やさせる。先生にバレるとマズイからその辺は徹底して情報管理をする。


日に日に客が増えてくる。

足がついても困るが、たまに顔を出すようにした。ヘロヘロになってるやつからとってもハイになってるやつまで色々いる。


いった時にお気に入りの女がいると別室に連れ込んで楽しむこともある。

ハルマーナを落とし込む日まではそれで我慢してやろう…


初めて1ヶ月ずいぶん軌道にのってきた。常連や顔なじみのやつらも増えてきた。強そうなやつは逐一スカウトする。


今日は楽しめそうな女はいるだろうか…

兵隊に何人か連れてこさせる。


!!!

なんでお前が!!

マァトが殴り込みに来た。


こいつらも十分強い。6級や7級のやつらもいるのだ。

取り囲んで締め上げようにも逆襲されてしまう。

挙句の果てにはエル兄さんにも話をすると。


クソっ!クソっ!クソっ!

ハルマーナもアイツ自身の力もなんなんだ!


今に見てろ…

卒業してからでもいつでもいい。

絶対にあいつを不幸のどん底に突き落としてやる。



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