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第39話

たった二晩だけだがふかふかのベッドがこんなにも恋しいなんて…


「なぁハルはダンジョンでたらふかふかベッドとわいわい打ち上げどっちがいい?」


「どっちも捨てがたいわね…でも今日は帰り遅くなるしベッドかな〜」


「俺も。たった二晩なのにもうベッドが恋しくてたまらない…そういえば次の安全地帯でBクラス待つ間何か予定ある?ないなら弓矢の練習付き合ってくれないか?」


「私があなたに教えられることがあるとは思えないのだけれど…でも練習するなら一緒にしましょっ」


「ありがとう。俺って強弓なのはできるけど、繊細なコントロールが難しくてね…」


「そういうことならっ!」


「朝めし食べたら早々に動くぞー!ボスが再生する前に部屋を通過せにゃならんのだ!」


先生はみんなに号令をかける。

慣れないダンジョンという環境で疲労が溜まっているのか覇気ある返事をする者はいない。


「次の安全地帯ではBクラス来るまで待つことになる。魔道具で連絡を取っているが、今1層のボスと戦っているところのようだ。戻りは遅くなるがその分体力の回復時間は取れるから、寝たいやつはゆっくり休んでもいいぞ。」


ダンジョン内では予想外の事態が起きることもあるので先生同士と学校とで通信する魔道具をつけている。


4層の前半では再生しているモンスターがいたため数回戦闘はあったが、無事安全地帯に到着した。


「Bクラスは順調に進んでいるようで、もう間もなく2層のボス部屋に着く頃らしい。3層のボス部屋に着いたら通達するからそれまでは自由に過ごしてくれ」


「ハールー!」


「はいはーい!」


「無理させてない?」


屈託のない笑顔だ。

「んーん。全然。むしろもっとあなたのことを知りたいと思ってるよ。」


人が少ないエリアを探して壁に土魔法で簡易的な的になるような人形を作った。


「とりあえずこんなもんかな?」


「うん!上出来!マァトは魔法もいけちゃうのか…」


シュッシュッ

急所に当てるのくらいはなんとかなるのだが…


「こういうのはできる?」


シュッ…クィッ

曲がった!


人形の頭に向かっていったのに近くなったら頭を避けるように動いてこちらからみると頭の陰になるところに刺さっている。


「曲打ちみたいなもんか?」


「曲打ちだけど、真っすぐ打つのだけが弓矢じゃないのよ。山なりに打てるほど余裕があればいいけど、森の中とか状況によっては今の打ち方できるといいこともあるの。できて損はないわよ。」


「姫様!無知な私めにご教示願えますでしょうか?」


「フフフ。あなたならすぐにできるでしょうね。コツさえつかめばすぐよ。」


そこからは真剣に弓矢に取り組んだ。

なんとかカーブ矢のコツはつかんだ。あとは練習して自分のものにするだけだ。


「あーやっぱりねー。マァトはすぐできるようになるんだもの。つまらないわ!もう少しできない苦悩を味わって私に優越感を感じさせてよね!」


「お褒めにあずかり光栄でございます。お姫様!」


俺達を見てからか他でも剣や魔法の訓練をしている人達がチラホラいる。


「Bクラスが3層のボス部屋に入ったぞ!休んでる奴は動ける準備しとけよ〜」


「ちょっと作戦があるから先生の近くにいておきたいんだ。あっちに行こう!」


「わかったわ。でも作戦って?」


「それはヒ・ミ・ツ!でもタイミングは伝えるからその時には大きい声で頼むね!」


「それじゃあ何をするか全然わからないわ!」


「まぁまぁ…楽しみにしてて!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴ…


ボス部屋の扉が開く音が響いてくる。


「さぁいくぞ!」

先生が手を挙げて先導する。



タイミングをはかる。

上からくる顔を確認する。


「先生!俺って4級飛ばせるかなぁ?」


「このままいけば飛び級は問題ないだろう。勉強の方もしっかりやれれば今年の昇級で5級だな!ソロで5級のボスを余裕で倒せたのだから。今回の戦闘力は今いる7級の学生より上だと思うぞ。」 


ハルにこっそりウィンクをする

「すごいじゃないマァト!」

ハルが俺の腕に抱きついてくる。


完璧だ!



どうせすれ違うのだから前からオラついてやってくるのは想像に難くない。

予想通りやってきたキールに重めのパンチをいれられたはずだ。


あくまで内輪の話としてしているのを結果的に聞こえてしまった感じがいいのだ。


真っ赤になったキールが俺の耳元で

「いい加減調子に乗ってると痛い目見るぞ。まだ7級にドークス兄さんがいるんだ。」


「だから?自分でどうにかできないのに強がってどうするんだよ!そんなんだから気になる女の気も引けないんだよ!お互い手を出せないルールなんだから関わらないのが身のためだ。」


赤い顔がさらに赤くなった。


「どうせ不正かなんか魔道具の力を自分の力のように見せたんだろう?しょうもないな。テミス家のような高貴な貴族じゃないお前にいちいちかまってやるかよ!」

ドンッ

階段を強く踏んで下がっていく。


「あれはなんなんだ?」


「先生、あれは俺の兄だった人。もう今は他人さ。しょーもない奴だから気にしないで。そういえば学校行事で武術大会とかそういうのってないの?」


「三年に一度実習区の闘技場で開催されるのはあるぞ。来年が開催年のはずだなぁ…マァトお前は出場禁止になると思うがな。さすがに強すぎる。」


「はぁ…出られないか…そうなるよね…せめて優勝者とエキシビションとかは?マスクかなんかかぶればいけないかな?」


「そこまでしてやりたいか…まぁ考えておこう。…さぁ急ぐぞ。Bクラスがモンスターを蹴散らしているはずだからさっさと出られるはずだ。」


モンスターがいなくても3層分歩くのはなかなかしんどかったがなんとか脱出はなった。


「みんな!おつかれさま!初めてのダンジョンで色々学びがあったと思う。また次回に活かせるように反省しておくように。」



あぁ…ふかふかベッド

師匠との旅の時はもっと長い間ベッド以外で寝てたはずなのにな…


さぁ部屋に戻ってさっさと寝よう

帰る場所があるありがたみをかみしめながら。



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