第34話
炎の聖杯洞
通称:学校ダンジョン
最下層の最奥に聖杯があると伝承がある。ただし、踏破者がいないので誰もみたことはない。
洞窟内の壁には等間隔で松明の魔道具があり、人やモンスターが通る時に炎がついて明るく照らしてくれる。そのため警戒がしやすく、初心者向けな部分でもある。
「何回も言うが、弱くてもモンスターを侮ればケガをするぞ!罠も同様だ。気を引き締めていけ!」
100m程度の横に長い裂け目のような入口から入るとさっそく灯りがついた。進むたびにボッボッと火が灯る。
洞窟だが通路は広く明るさもあるのでクラスの実習のように大人数でも進みやすい。
先生が先導していてある程度進むたびに先頭にいるメンバーを入れ替えていく。
俺は最後尾の位置からスタート。
前方で戦闘があったのか少し盛り上がっているようだ…
「あぁ暇だ…」
ついつい声がでてしまう。
後方から急襲を受けないように警戒するのも殿の務めだから気を抜けないけど、ドラマチックなバトルを期待すれどもただ、洞窟を散歩しているだけのこの状況。
「マァト前で呼ばれてるぞ!」
「はぁ〜い!今いきま〜す」
ようやく順番が回ってきたようだ。
最前線につくと行軍が再開した。
進んでいくと一番前にいるはずなのにすでに灯りがついている。先生が手を広げ進行を制止する。モンスターがいるようだ。
「先に灯りがついているってことは誰かが先に通った後だ。気をつけろ。戦闘準備して警戒しながら進むぞ。」
100m先にゴブリンと角兎がいる…
索敵のスキルで判明した情報を伝える。
「先生!100m先にゴブリンと角兎が3匹ずついる。たぶん角兎の背に乗っているから少し機動力があるんじゃないかと思う。」
「よくわかったな。感知スキルでも持っているのか?」
「えぇ…まぁ。」
「前衛は急襲に備えて盾を構えて、後衛は初動を狙えるように攻撃準備、詠唱は終わらせて準備を怠るなよ!」
ゴブリンの声が聞こえてくる。
「ギャギャギャギャ」
体長1.5mくらいの角兎の背に1m弱のゴブリンが騎乗している。ゴブリンは短剣を携えている。
「後衛撃て!」
ぐぐぐっ
狙いを定めて弓を強く引いて射る
アルテミスの能力を使えば確実に3組共一瞬で片付けられるが、魔力は込めずに撃った。
ハズだった…
魔力込めていないはずだったのだが、気づかずに少しこもっていたようだ。
がんッ!!
「えっ……!!?」
角兎に騎乗しているゴブリンだが、兎の頭とゴブリンの胴体を合わせて貫通させた。威力強化とか貫通強化がかかったのだろう、矢よりもかなり大きな円で射抜き、洞窟の壁に大穴を空けてようやく止まった。もちろん2体とも即死。
「あっ!怯んでる!今だっ!!いけっ!」
他の二組のモンスター達がその轟音に驚いている間に前衛により仕留めきる運びとなった。もちろん驚いているのはマァト含めて全員である。
「あの強弓を放ったのは誰だ!?」
どこからともなく
「マァトで〜す!」
誰だよ!?あまり目立つと面倒くさいやつらに目をつけられかねないんだよな…
でもさすがにあれで目立たないは嘘だよ…
無理がある。
「3級にしてその腕前とはなかなかやるな!すごいぞ!戦闘が終わったから前線の交代だ。順番入れ替われ〜!」
そういうシステムなのね!
モンスターがいればいるほど順番が回ってくると。
1時間に一度くらいのペースで前線にでる。
3時間くらい歩いたところで10mくらいの背の高い扉の前になる。
「ここはボス部屋だ。各階層毎の最奥にある部屋だ。ここのボスを倒せないと次の階層にはいけない。倒せば次の階層に行く階段が現れる。階段の先は次の階層が始まる前にモンスター等の現れない安全地帯がある。ボスを倒したら安全地帯で一旦休憩だ。ちなみに今日は3層のボスを倒すところまでいくぞ!」
「せんせー!ボスは誰が戦うんですかー?」
「順番でその時前線にでてるチームが最優先だな。もし戦闘状況が悪ければそのメンバー個人を違う者に入れ替える。浅い層のボスだから今までの戦いをみてる限り問題なく突破できると思う。戦いに参加しない者も何か飛んできたりすることもあるから気を抜かないように。仕方なく反撃することもあるだろうが、1番はみんなの命を守るためにそれぞれが動いてくれ。」
くそー!出番無しかー!
俺の順番ではなかったため今回は戦えない。
「さぁ開けるぞ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
砂煙を巻き上げながら大きな扉が開く
「前線!構えろ!」
ボスは体長3mくらいの大きい角兎だ。さっきは白い一本角の兎だったが、赤く二本角のタイプだ。
《鑑定》
=========================
レッドホーンラビット
Lv.10
HP:550
MP:80
筋力:20
素早さ:50
魔力:30
精神:10
運:5
火魔法Lv.5 突進Lv.3
=========================
「火属性魔法で遠距離攻撃と角による突進があるから距離感気をつけろ!」
先生はすでに解答のようなヒントをだす。
先生、それでは楽しめねぇですよ…
「後衛!俺たちが足止めするから大きいの食らわせてくれ!」
「わかった。少し耐えてて!」
いい連携だ。
俊敏な角兎。体格が大きくなっても素早さの値が高いからレベリングしてないお坊っちゃん達には少し捕まえにくそうだ。
盾をもって正面から2人並んで圧をかけにいくも
軽いフットワークで横っ飛びをして避けるその先を読んでいた1人に足止めされる。
「よし!とめたぞ!」
「いけるよ!離れて!」
大きな氷塊が兎めがけて放たれる。
がんっ!
「もう虫の息だ!囲めー!」
全員でメッタ刺しのタコ殴り。
動かなくなったと思ったら
舞い上がる砂のように消えていく。
そこには角が落とされていた。
ドロップアイテムは製作系の生徒に分配されるようだ。それを使って作ったものの評価によってはランキングに変動を与えるらしい。
「よくやった!これでボスは攻略だ。奥の扉が見えるだろ?あれが次の層だ。進め!」
「おー!!」
階段を下りると湧き水の泉のある広い空間が広がっている。その先にまた大きな扉がある。
この扉をあけると今度は2層だ。
「一旦休憩をとる。それぞれ装備や体力等確認しておけ」
このあと2層から敵はどれくらい強くなるのだろうか?
あー戦い足りねぇな…




