第24話
「え〜今年の模擬戦に関しては特別審査員が数名おります。対戦相手をくじ引きで決めた後で戦ってください。変更は受け付けません。試験結果は勝ち負けだけではなく、試合内容も考慮されるので、負けたから成績不良とは限りません。では最初の方からくじを引いて始めてください。」
…
「最初の方から運がいい。特別審査員の方を引き当てました。ご紹介しましょう。魔族領よりお越しいただきました。天狼族のフォルダム様です!」
こっち見てニヤニヤしてる…
再戦したがりすぎるだろっ!
「次の方!」
模擬戦に関しては番号順というより手を挙げた順で試合がくまれる。
これで終わるならさっさと終わらせたいから手を挙げてしまおう。
「はい!666番 マァト・テミスです。」
「またもや特別審査員を引き当てた!今度はまた別の方です。魔族領東方の領主ノブナガ様です。」
!!!!!
いやいや!待ってくれ!フォルダム様ならわかるけど、なんで師匠がエントリーしてるんだ??
師匠は恥ずかしそうに頭を掻いている。その横で猛烈にフォルダムは悔しそうにしている
「二名とも準備ができ次第始めてください。」
「師匠。なんで試験官に??」
「いやぁフォルダムを見つけたので話しておったらまとめて審査員として呼ばれてしまったのじゃ」
「まぁ試験官というなら胸を借りるよ。師匠と旅してきた2年間…色々あったけど、本当にここまで連れてきてくれて感謝してる。こんな言葉だけじゃ言い切れないくらい。正直フォルダム様と当たったらどうしようかと思ってたところだよ。いつもの稽古とは違う。ステータスは別として剣技としては本気でいかせてもらうよ!」
「望むところじゃ!お主の成長は一番そばで見てきた。お主が強いのも知っておる。全力の本気で戦えば歯が立たぬこともな。剣技として見定めさせてもらう。さぁいこうか!」
ガンッ
コンっ
日頃の稽古のせいもあってかお互いに決め手を欠いて剣を合わせることにしかなっていない。だが、明らかにまわりの受験生を置いてけぼりにできるほどの強さであった。
学校の試験だけど、たまたまなんだろうけど、師匠が試験官になったってことはステータスでゴリ押しして勝っても何の意味もない!
純粋に剣で勝負しなければ。
「師匠のクセを俺が知ってるように俺のクセも師匠はわかってるんだもんな…」
「その通り。マァト考えるのは良いことだが時と場合を考えんとスキだらけじゃぞ!」
「うっ…」
鋭い打込だったが、間一髪甘く当たる程度で事なきを得た。木剣でこれか…これが真剣だったらと思うと…
やはり師匠は強い。
考えるよりまずは視るんだ
ヒントはどこかにあるはずだ
師匠の殺気にあわせて剣をあわせる繰り返し。
あわせる必要あるのか…?
もしかして…
ダッシュして近づく。
上から斬りかかる俺の太刀筋を下から受ける師匠。ここだ!
強い殺気をだして俺が左から真横に振ろうとする出どころを止めようとしたところに合わせて下から切り上げる。
強い殺気のせいで次の攻撃が読み切れなかった師匠にクリーンヒット!
「うっ!……見事。してやられたわ。」
「師匠大丈夫??」
「そこまでヤワにできておらんわ!それにしても今のはどこから攻撃が来たのか全然わからんかったぞ!」
「師匠は俺の殺気を受けてそれに合わせて剣を出すのはわかってたから、わざと殺気を強めに出してそれを囮にして本命が次の攻撃ってことさ。」
「そういうことか…してやられたな。もっと磨いて自分の技となるように修練は欠かさぬようにな。2年…長いようであっという間に過ぎてしまったのぉ。最初はお主は少し強そうな程度かと思っておったが日々成長するスピードに驚かされるばかりだったよ。これからは学校で多くのことを学んでそこで得た知識で世界を見てくるのだ。お主にしか見えない何かが必ずあるはずじゃ。」
試験が終わり宿へ戻った。
師匠はまだ他の受験生の相手もあるから残っていった。帰ってくる頃には陽もだいぶ落ちて暗くなってからだった。
「お疲れさまでした。」
「さすがに疲れたのぉ。お主も今日までよくがんばった。流派をもつ師範なら免許皆伝でも与えるのだろうが、あいにくそのようなものはワシにはないのでな。」
穏やかに過ごした3日間はあっという間に過ぎ去った。
学校に集まった受験生は自分の結果の掲示に一喜一憂しているようだ。
「666…666…666…666どこだ!?」
665と667の間にあるはずの番号がない。
あくまで振分の試験なんだろ?
落第とかないっていってたじゃないか!!
……
一通り掲示板を見ていくと最後の板に666はあった。
「今回の成績最優秀者マァト・テミスはすでに初級の域をでている実力のため中級学校からの入学とする。」
とのことだ。
筆記は満点、実技に関しては満点以上の成績だ。
「師匠ありがとう。本当にあなたのおかげです。」
「いやいや、お主のがんばりが実を結んだんじゃよ。これから中立学園都市じゃな。時間もなかろう。さっさと準備せんと入学に間に合わなくなるぞ。」
「ここまで…なんだもんね…?師匠と一旦お別れか…寂しいけど、寂しくて辛いけど、俺頑張るよ。絶対また魔族領に遊びに行くからごちそう用意しといてよ!」
「ワシらは長命な種族だ。まだ300年くらいは余裕で生きておるから世界一周でも終わったらまた2周目に入るスタート地点はワシのところから始めたらよかろう。元気でな。体に気をつけるんじゃぞ。」
「はいっ!必ずまた会いに行きます!」




