第23話
雪山に行ったからなのか風邪をひいてしまった。
「師匠ごめんなさい。今日出発の予定だったのに…」
「超人的なお主でも風邪はひくんじゃな。焦るほど急いでおらんし、しっかり治してから参ろうかの。」
2日休んで宿を出るとフォルダムが待ち構えていた。
「もう発つのか?」
「そのつもりじゃよ。」
「そうか…マァトと再戦したかったが、仕方ないな」
「また今度やりましょう!」
また西への旅が始まった。
魔族領とを分ける山脈が一部低いところがある。トンネルが作られていて安全に通行できる唯一の道だという。
ここは龍神国への無理のない近道で魔族領との交易路である。
「ここからは龍人の国じゃ。魔族ともニンゲンとも交流をもっておるからどの姿でも気にせずおればよい。ただ、翼竜族以外を飛べないことで卑下してはならんし、トカゲと揶揄すれば大変な目にあうから忘れるでないぞ。あとプライドとグリードはしばらく姿を見せんほうが身のためじゃ。龍人からするとちょうどよいサイズのエサに見えるはずだからの」
「…たまに呼んであげられる時はあると思うけど、しばらく中から見ててね。」
二匹ともしぶしぶ中に入っていく。
もうあと一ヶ月もすれば12歳になる。それからあと3ヶ月もすれば入学だ。
この町に慣れる期間と思えば十分な時間だ。
「師匠!12歳になったら入学まで冒険者したい!」
「それもよいじゃろう。少しでもこの町に、この国に馴染むにはやって損ではないの」
12歳を超えれば冒険者ギルドにて冒険者登録が可能になる。
そこでは指定モンスター討伐や薬草採取など、町の外にでてリスクのある場所で指定された依頼をこなす。ある程度の戦闘能力や薬草、モンスター素材の知識等必要になってくる。
町について定宿を決めたら図書館にこもり様々な勉強をした。師匠がいて本当によかった。
「これだけわかっておれば大丈夫じゃろう。強さに関してはこの世界で敵うものなどいるのか疑問になるくらいだしのぉ。」
「もう少しで12歳になるからそれまで、ギリギリまでは勉強してるよ。」
「熱心じゃのう…無理して追い込みすぎるんじゃないぞ」
…
ついに12歳をむかえた。
追放されてから2年が経った。
短いようで長かった2年。
これからはまず冒険者登録をする!
この国においては冒険者証をもって年齢証明になるため、国籍がなくても学校に入学できるのだ。
そのために登録は必須。
「師匠!ギルドいこうっ!!」
「その前に…誕生日おめでとう。これは学校に行く時に使ってくれるとうれしいの」
ドラゴン皮の鞄だ。けっこういい値段するはずだ。
「ありがとう!大事にするね!」
「すでに色々と勉強したからお主はもう飛び級もできるんじゃないかの?」
ここの世界の学校は実力主義。できる者は低年齢でもさっさと昇級する。
入学試験の時点で好成績をおさめればいきなり中級へ飛び級も可能なのだという。
試験は3ヶ月後。
この3カ月の間ギルドに登録してからというもの依頼と図書館での勉強を交互に続けていった。
ギルドではA〜Gのランクが存在する。どんな者でもGから始まる。依頼によってポイントが設定されていてそれが加算されてランクアップしていく。勤勉に依頼をこなした結果3カ月でDランクになるまでになった。
「いよいよ試験じゃな。これはクラスの振分テストだから落ちる心配はしなくてよいのだ。緊張せずに楽にいくとよい。」
「ありがとう。でもせっかくやるなら目指すは満点だよ!いってきます!」
もちろん龍人ばかりだ…
ニンゲンがいないわけではないがかなり探さないと見当たらないくらいの割合だ。
席に着くと少し緊張感がこみ上げてきた。
「きゅうっ」
「ガウガウ」
胸に手を当てて
「お前たちも応援してくれるか…ありがとうな」
「試験を始める。事前に説明があったとは思うが、試験結果によっては飛び級からのスタートもありうる。身の丈にあったクラス分けをこちらもするためにカンニングなんかはもっての外だ。入学してから後悔することになるからな。試験用紙は届いたな?試験始めっ!」
…
…
…
できた!…はずだ。
「次は実技試験だ。戦闘系と製作系に分かれて各会場に移動するように。」
もちろん戦闘系だ。
「戦闘系の試験は打撃攻撃、魔法能力、模擬戦の3つだ。それぞれの講師のもとで試験をうけるように。終わり次第試験は終了。3日後結果発表を行うから学校の前に集まるように。」
打撃試験は打撃攻撃を吸収する泥のゴーレムに打ち込むようだ。
「技を使ってもいい。思いっきりゴーレムに攻撃をしてくれ。その攻撃力を魔道具が数値化してくれるのでそれが結果となる。」
「666番 マァト・テミスです!いきますっ!」
どんっ!!!
破壊されたゴーレムの泥はあちこちにとびちる。
「あっ!!すみません!壊れると思わなくて…本当にすみません。………本気ださなくてよかったー……」
試験官は耳ざとい。最後に口走った小声での言葉を聞き漏らさない。
「試験用のだから予備はいくらでもあるが、これで測れないのであればここでは測定不能としか判断できないな。これはこれでいくから次のを受けてきなさい。」
魔法能力試験は鑑定士による能力スキャンのようだ。
単純に実際に魔法を使うと爆発したりするから危険なためだ。
「次の方!」
「はい!666番です。」
視ている試験官の顔が怪訝な顔から青ざめて、最後に…吐いていた。
「君は…本当に…ニンゲンか??擬態や変身の魔法を使ってる魔族か何かじゃないのか??」
「れっきとしたニンゲンです!信じられないかもしれませんが、本当です。切傷作って血でも見せましょうか?」
「そうか…そこまでは求めてないが、信じられない数値だ。次の試験にいきなさい。」
さぁ最後の模擬戦だ!




