第99話
「卒業したら本格的にって思ってたからさ。俺と一生一緒に生きてくれる覚悟があるならこれを受け取ってほしい。」
「覚悟って…もっと甘い言葉で泣かせてくれるのがプロポーズってもんじゃないの?」
「私もやり直しを要求する!」
「え?ダメだった?」
「「やり直し!」」
「だって2人に差をつけたくないし、一緒にしたいなって思ったから。本当に2人のことは大切に想ってる。これから冒険者として生きていくなかで様々な大変な目に遭うかもしれない。それでも俺は2人のことを守るって誓う。2人がいないと俺の人生はとってもつまらなくなる。俺の為にずっとそばにいてくれないかな?」
「まぁこれくらいで勘弁してあげる。ありがとうね。旦那様!」
「私はもっとも〜っと甘いのがよかったな〜。マァ君が私達を大切に想ってくれてるのはわかってるよ。これからもよろしくね。」
「思ったより感動しないもんだね?もっと感動の号泣シーンかと思ってたのに。」
「だってマァ君から言わなくてもいずれ私達からしてただろうし、言われなくても結婚するもの。心配しないでもずっと一緒よ。」
「そうそう。まだ結婚は早くても、いずれするのは決まってるんだから。指輪ありがとうね。大事にするわ。でもなんで今日だったの?」
〜6級冬休み〜
イメリアにて
「いつになったら婚約するの?」
「ジャンヌ様。まだ俺達学生だからもう少し待ってくださいよ。」
「わかったわ。2人にどうやって伝えるの?」
「それぞれに差をつけたくないんですけど、どうしたら?」
「う〜ん…別々に呼び出すのもいいけど、それじゃ前後しちゃうものね。いっそのこと3人いる時に一気に言っちゃえば?」
「え?それってなんか雑じゃないです?」
「まぁね。でもあの2人ならわかってくれるんじゃないかしら?」
「考えてみます…」
「ジャンヌ様とまだかまだかと言われてさ。でも学生の間は…って言ってたから今日卒業を機に俺もしっかり2人と向き合おうと思ってさ。」
「マァ君この指輪って夏に行ったナミールで見たやつ?」
「そう!よく覚えてたね。」
〜7級の夏休み〜
「マァ君たまにはおでかけしない?」
「私もいきた〜い!」
「よし!じゃあ3人で行こう。んでどこにする?そういえば学校の隣にある、中立貿易都市ナミールって見たことなかったよね?行ってみる?」
「いいわね!行きましょ!」
「さんせ〜い!」
貿易都市というだけあって様々な店が並んでいる
「お店がたくさん並んでるね。今日は宿も取ってあるしじっくり見て回ろう。」
「夜は夜で私は楽しみよ。ディケとパジャマパーティーだもの。」
「そうね!1日中楽しみましょ!」
世界各地からの食材や武器、防具、家具…
日頃見ることのない物を見て歩くだけでも楽しかった。
そしてとある魔石屋に入った。
「ここは世界各地の魔石を取り扱ってるよ。見ていってくださいな。」
「へぇ〜魔石って見てるとキレイなもんだな〜」
「そうね。宝石のようね。あ!これディケの目の色と同じよ。キレイな石ね。」
「こっちにはハルの目の色のもあるわよ。」
(店主さん、ここにある魔石で指輪とか作れる?)
(彼女らにプレゼントかい?できるからあれらをおさえとくよ。加工に少し時間がかかるから1ヶ月したらまたおいで。お代はその時でいいから。)
「マァトどうしたの?次行かないの?」
「っあぁ。今行く!」
(じゃあよろしく頼みますね!1ヶ月後また来ます。)
「店主さんと何話してたの?」
「色々あるからどういうとこから買い付けているのか聞いてた。スティアにも紹介してあげたらいいかなって思ってさ。」
「キレイな石だったから覚えてるわ。でもそれぞれの瞳の色に合わせた婚約指輪ってなかなかにキザね。」
「今度イメリアに行く時にお母様に自慢しなきゃ!ディケも一緒に見せにいきましょう!」
「もちろん!」
卒業パーティーを終えて部屋に戻ると手紙があった。
「卒業おめでとう。これからは世界各地を回る冒険の旅だね。危険が常に隣にあるだろうけど、無事を祈っているよ。卒業したら僕は実家に帰るからあっちに行くことがあれば顔を出してくれると嬉しいな。それではまた会うときまで元気で。 スティア」
卒業生はパーティー翌日には退寮しなければならない。皆、準備はしているものの、バタバタしていてまともに挨拶できる時間もない。なにより在学生は授業中だから立ち会えないので、スティアからは手紙が来た。
魔道具で話すこともできたのだが、これはこれで味のあってよいものだね。
翌朝俺たち3人は中立学園都市ゴンドヴィルを卒業して旅に出る。
まずはイメリアの隣の獣人自治区にある天使の試練を目指して。




