日本一負けた御子 ②
「「かんぱぁぁぁぁぁぁい!!」」
居酒屋『深夜の世界』に、グラスのぶつかる音が響き渡った。
「いやぁ~! まさかシンさんがねぇ!」
「流石ECOネ!アタシが見込んだ師匠ネッ!弟子として鼻が高いヨ!」
「もう~♡LIVE見ていてヒヤヒヤしたわ♡
けど、もう~あんな技使っちゃ駄目よ♡ミツオとの約束よ♡」
「まぁ、みっちゃんの言う通りだぜ、心臓に悪いって、亡くなったバアさんが目の前に現れたもんだぜ、」
「それオメーが死んでねぇか?」
「懐かしい顔だったぜ、、、バーァさーーん………(泣)」
「たく、大の大人が泣くなよ……俺まで会いたくなったじゃねぇか……バァちゃーーーん(泣)」
「ここは祝勝会会場で間違いありませんよね?」
「……たぶん」
「ちょっとぉ♡ お祝いの席で二人して湿っぽくしないのぉ♡」
二人を他所にみっちゃんがパンパンと手を叩く。
「ほらシンちゃん♡今日はECOちゃんが主役なんだから!何か言ってあげなさいよ♡」
ECOを見る。
「ECOぉぉ……!」
「はい」
「お前は死ぬなよぉぉぉ!!」
ガバッ!!
「――マスター!?」
シンがECOを抱きしめる。
「絶対だぞぉぉぉ!!」
「目の前で泣かれると…うるさいです。
そして、飲み過ぎです。」
「だッて、だってぇぇぇーー!」
「ぶははははははっ!!」
再び店内に笑い声が響き渡った。
「しかしよぉ、甲級クラスまで倒したんだろ?」
「大したもんじゃ」
「ありがとうございます。マスター…そろそろ離して下さい。」
ECOは少しだけ胸を張った。
「これで、日本一の御子へ一歩近づけました」
「…………」
シンがECOを見る。
「いや、」
「?」
「お前もう日本一じゃん!」
「……気が早いですよ?」
「ECOは“日本一負けた御子”だッ!」
「…………」
ECOはシンの顔面に向って回転蹴りを入れた。
バンッ
「いっっったぁぁぁ!!」
「新技を思いついたので試してみました。」
いつもと変わらない『深夜の世界』であった。




