↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
86/105

《AI Level.10》

誰かが端末を開き、《幾千神楽 Level表》を表示する。

《AI Level.1~4》 丙級~丁級


《AI Level.5~8》 下位乙級


《AI Level.09》 乙級上位


《AI Level.10》 乙級10~5位


《AI Level.11》 乙級5~1位


《AI Level.12》 甲級入りたて


観客の一人が、小さく息を呑む。


「おい……次はレベル10だろ?」


隣の男が腕を組む。


「今月、そこを越えた奴らは何人いた?」


「……まだ数えるほどしかいねぇ。」


「つまり――」


「ここから先は、甲級への登竜門ってわけだ。」


会場の空気が、少しだけ張り詰める。

その視線の先では、ECOが静かに刀を握り直していた。



《AI Level.10》


転送ゲートが淡く輝く。


次の瞬間。

キィィィン――


空気が震えた。


『――ッ!?』


ECOの【風】の感覚が危険を感知。


反射的に身体を捻る。


だが――


ズバッ!!


白い閃光が肩をかすめた。

装甲が焼け、火花が散る。


『……狙撃……確認。』


シンの怒声が会場に響く。


「伏せろーーーッ!!!」


ECOは考えるより先に身を低くする。


直後。


ECOの頭上を旋回していたシンのビットへ、二射目のレーザーが一直線に走る。


キィンッ!!


ビットを咄嗟に回避機動へ移る。


だが――


ジュンッ!!


一機が光に呑まれ、火花を散らしながら砂上へ墜落した。


「くそっ!」


残る二機が散開。


敵はECOを狙っていない。


支援能力を、先に潰しにきている。


ECOは静かに分析する。


『流石は《AI Level.10》と言ったところでしょうか。

 優先目標をマスターの支援装備と判断。極めて合理的です。』


「なるほど、解説助かるわ!」


シンは苦笑した。


観客席がどよめいた。


「速ぇ……!」


「見えなかったぞ……!」


「今のは俺でも無理!?」


シンは歯を食いしばる。


「……これが、《AI Level.10》か…」


すぐさま端末を操作する。


「ECOッ!! 防御だ!」


ガシャンッ!!


転送光が走る。


ありったけの巨大なシールドが、次々と戦場へ送り込まれた。


ドゴンッ! ドゴンッ!


砂地へ深く突き刺さり、即席の防壁を築き上げる。


シンはニヤリと笑った。


「大量に買っといて正解だったな!」


ECOは冷静に返す。


『発注数を間違えただけですよね?』


「大量に買えば安い!つまり実質、効率的ってことだ!」


『……その理論は理解できません。』


さらに――


「ビット! シールド展開してECOを護衛!」


残る二機のビットが高速でECOの周囲を旋回する。


淡い光の帯が互いを結び、光化シールドを形成。

幾重にも重なる防御壁。


「即席要塞の出来上がり!」


それは、シンが今できる最高の防御態勢だった。


その直後――


ギュンッ!!

三射目のレーザーがシールドに飛来する。


一枚目の盾を破壊する。


二枚目が砕け散る。


三枚目でようやく勢いが鈍り、最後は光化シールドが光を散らしながら受け流す。


ビットの警告音が一斉に鳴り響く。


『シールド耐久率、88%……79%……』


シンは息を呑む。


「まじかよ……一発で、ここまで削られるのか。」


ECOはレーザーの軌跡を目で追い、静かに計測する。


『……15秒です。』


「……え?」


『狙撃のインターバルは15秒。』


『初弾から次弾まで、誤差0.03秒以内。』


シンの表情が変わる。


「……15秒に一発撃ってきてるってかとか?」


『はい。規則性があります。』


シンはニヤリと笑った。


「よし!なら攻略可能だな!」


ECOに視線を向ける。


「15秒ごとに撃つなら――次の14秒でケリをつける。」


『了解。射出後、一気に距離を詰めます。』


シンは最速装備を換装させた。


巨大なシールドの陰から、息を潜める。


『……3。』


ECOが重心を落とす。


『……2。』


拳を握る手に力が入る。


『……1。』


シンが叫んだ。


「行っけぇッ!!一度フェイントをかけてからの最速ダッシュ!」

ECOは一度、左右に地面を蹴る。


ザッ!!


一直線に敵との距離を詰める。


だが――


『……来ません。』


攻撃が、来ない。


シンの表情が凍る。


「……え?」


シンも異変に気付く。


「一旦ストップッ!!」


その瞬間。


『――罠のようです!!』




勢いよく飛び出した。


だからこそ。


遮蔽物は、もう何もない。


《AI Level.10》は一歩も動かず、照準だけを静かに合わせる。


まるで、


“そこに来るように仕向ける”かのように。


キィィィィン……


銃口が淡く発光する。

シンが叫ぶ。


「間に合えぇぇぇぇぇッ!!!」


ズガァァァァンッ!!!


白い閃光が、一直線にECOへ放たれる。


キィィィンッ!!


二機のビットが瞬時にECOの前方へ割り込み、二重の光化シールドを展開。


轟音。


一機目が、光に呑まれた。


耐えきれず、そのまま蒸発する。


続けざまに二枚目のシールドへレーザーが食い込む。


「頑張れラスト1機ッ!!」


ギギギギギ……


残る一機は黒煙を噴き上げながらも、限界まで出力を絞り出す。


光を散らす。それでも――守る。


シンは喉が裂けるほど叫んだ。


「シールドまでーーー!! 走れーーーッ!!」


ECOは、なお前を見据える。


『いいえ。』


刀を握る手に力が入る。


『このまま距離を詰めます!』


「ECOッ!!」


シンの一喝が響く。

ほんの一瞬。

ECOは目を見開いた。


『……っ。』


そして、小さく息を吐く。


『……了解です。……ですが――』


刀を鞘へ納める。


『霧ノ太刀【霧隠】』


スゥ……

足元から白い霧が溢れ出す。

瞬く間に戦場を覆い隠し、視界を奪っていく。


《AI Level.10》の照準が、一瞬だけ揺らぐ。

その隙を逃さない。


ECOは納刀したまま身を翻し、霧の中を駆け抜けた。

一直線に、シールドが乱立する防衛圏へ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。