↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
69/110

小さな革命 ③

戦う御子の誰もが憧れる夢の舞台『大神楽』

しかし、今年の『大神楽』は異様な空気に包まれていた。


誰もがスマホを開きニュースを確認する。


《有名サイトのトピック》

『大神楽出場予定だった甲級選手二名が、直前で出場辞退?!』


ラジオやニュース、


アナウンサー達も困惑を隠せない。


「繰り返します。本日開催予定の大神楽ですが――」


「甲級ランキング3位、『月影の魔女』アリス・ゲートのマスター・流門寺選手。」


「そして、“直感主義者”として絶大な人気を誇る天草選手が、出場を辞退しました。」


「事件事故の可能性は無いと公式から発表がありましたが……理由は公表されておりません。」



ーーーーー


SNSは瞬く間に炎上した。

『流門寺ィィィィッッ!!』

『大神楽ボイコット!?』

『運営と揉めたってマジ?』

『今年終わった……』


誰も理由を知らない。

本人たちも姿を見せない。


そして翌日。


神楽協会から正式発表が行われた。


【神楽協会公式発表】


『大会規定第十四条に基づき、大神楽当日に正当な理由なく出場を辞退したため――』


『流門寺選手、天草選手の甲級資格を剥奪。』


『両名を乙級へ降格処分とします。』


日本中が騒然となった。


「甲級が……降格?」

「流門寺まで?」

「天草はいつもの遅刻だろ!」

「…………はぁ?」

「もう二人とも大神楽には戻れないだろ……」


誰もがそう思った。誰もが。


ただ二人だけを除いて。


ーーーーー


数日後。流門寺邸。



縁側で湯飲みを片手に座る二人。

天草はスマホを見ながら、くすくす笑っている。


「いや~、すごいねぇ~SNS、大炎上だよ~♪」


流門寺は静かに茶を啜った。


「まぁ当然でござる」


「しかし、予定通りでもある」


天草が悪戯っぽく笑う。


「ねぇねぇ〜流門寺くん。僕たちさぁ____乙級になったんだよね?」


「そうでござる。」


「じゃあさ〜、甲級限定の《年一回しか『萬神楽』へ出場できない》って規則、もう関係ないよね?」


流門寺は口元を緩めた。


「……その通り」


二人は顔を見合わせる。


「つまり――」


天草が指を一本立てた。


「一月。」


流門寺が指を折る。


「二月。」

「三月。」

「四月。」

「五月。」

「六月。」

「七月。」

「八月。」

「九月。」

「十月。」

「十一月。」


二人の声が重なる。


「「全部、出られる」」


天草は満面の笑みで立ち上がった。


「やったぁ♪」


「これで全部取れるね♪」


流門寺も立ち上がる。


「一月は拙者が担当」


「じゃぁ二月は僕が〜」


「三月以降は相談でござるな!」


「十二月。」


その言葉だけは、二人とも同時に口を閉ざした。

やがて天草が静かに笑う。


「そこだけは。」


「シン君――君の番だからね。」


風が吹く。静かな縁側。世間はまだ、


"甲級二人が失墜した"


そう思っている。

誰も知らない。これは失敗ではない。

誰にも気付かれないように始まった、


神楽史上、“最も馬鹿で、最も本気な作戦”


たった三人の大神楽を実現するための――

小さな革命。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。