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レイドボスAIは恋をした ~孤高の最強プレイヤーと、VRMMO生存戦争を駆け抜けた剣姫の物語~  作者: YY
第4章

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プロローグ TETRA始動

 4大タイトル全てが動いた戦いから、数日が経つ。

 THOの世界観は近未来的なもので、拠点となる都市もSFチックな雰囲気が強い。

 ビルのような高い建物が多いが、中心部には特別巨大な建造物が鎮座していた。

 MLOで言う大樹のような存在で、THOの象徴とも言える。

 ショップや装備の試射場など、様々な施設が集中しており、有力なチームは専用ルームを構えることも可能だ。

 そして最上階は、THO最強チームであるTETRAの、チームルームで埋め尽くされている。

 現在の時刻は、18時頃。

 白一色のチームルームに集まったTETRAのメンバーは、無機質な正方形のデスクを囲って作戦会議を開こうとしていたが、そこにはもう1人の姿があった。


『んじゃまぁ、チャチャっと始めてチャチャっと終わらせましょうよ』


 ウィンドウに映っているのは、欠伸を噛み殺しながら、明らかに面倒臭そうにしているTHO運営の男性。

 名前は笹本春貴と言い、年齢は30代半ばほど。

 色黒の肌に長い茶髪、下品なほどの耳ピアスと、外見上は遊び人だが、中身もしっかりとその通りだ。

 能力自体は低くないものの、やる気は全くと言って良いほどない一方で、上司に取り入るのは上手い。

 プレイヤーとの橋渡し役を買って出たのも、会議と言う名目でサボれると考えたからである。

 彼としては、THOがサービス終了しようが、給料が出るなら問題はなかった。

 案らしい案も出さず、TETRAも最初から当てにしていない。

 そんな笹本の会議開始の合図を聞いても、TETRAは誰1人として返事をしなかった。

 リーダーである、The SniperことZenith。

 黒い刺々しいフォルムの機械人で、身長は230cm。

 腕を組んで沈黙しており、起きているのかも疑わしい。

 更に、Zenithの指示でBKOに同盟を持ち掛けた、The SkyことEvol。

 背もたれに体を預け、頭の後ろで両手を組んでいる。

 残りのメンバーはThe SoldierことEdenと、The BlasterことNicole。

 Edenの身長はEvolと同等で、軽量型。

 鋭利なフォルムの金のボディが特徴的。

 Nicoleは最も身長が高く、260cmもある重量型。

 かなり威圧感のあるフォルムだが、色は可愛らしいピンク色。

 EdenとNicoleは普通に椅子に座ったまま、微動だにしない置き物状態。

 普通なら気まずくていたたまれなくなりそうだが、笹本は気にした素振りもなく机に突っ伏して、だらけている。

 これがTHOの日常だ。

 そうして30分が経過する頃になり、笹本が怠そうに身を起こして口を開く。


『時間なんで、俺は帰りますねー。 お疲れっしたー』


 軽い言葉とともに、返事も聞かず姿を消した笹本。

 全くもって無駄な時間だったが、TETRAにとってはこれからが本番。

 笹本がいなくなってすぐに、静寂が破られる。


「ホント、最悪。 あんなのが担当とか、マジで終わってるじゃん」

「お、Nicoleちゃん、言うねぇ。 まぁ、今に始まったことじゃねぇだろ?」

「そうだけど、ムカつくのはムカつくのよ。 Evol、あんたは違うの?」

「俺はいないもんだと思ってるからなぁ。 この30分もちょっとした休憩時間だと思えば、悪くねぇぜ?」

「呑気だね。 俺たちに、そんな余裕があるのかな?」

「余裕ってほどじゃねぇけど、焦る場面でもないんじゃねぇか、Eden? ここからが勝負なのは、間違いねぇけどな」


 NicoleとEdenに自身の見解を語ったEvolは、Zenithに目を向けた。

 それにつられるかのように、NicoleとEdenも視線を移す。

 メンバーの視線を一身に浴びても、Zenithは揺るがなかったが、自分のペースで話し出した。


「ナーガから、返事が来た」

「へぇ? 何だって?」

「こちらの案に乗るそうだ、Eden。 もっとも、BKOとしても他に選択肢はないだろう」

「利害が一致したってことね。 で? CBOにはいつ仕掛けるの?」

「Nicole、正確な日時は決まっていない。 のんびりし過ぎる訳には行かないが、この戦いは生存戦争の結末を左右しかねないからな。 BKOとの連携も踏まえて、他のプレイヤーも最大限動員出来るようにするべきだろう」

「ですねぇ、Zenithさん。 俺も、総力戦で挑むべきだと思いますよ。 CBOだけならともかく、SCOとMLOも一緒だとすれば大仕事だ」

「その通りだ、Evol。 だが、準備を整えながら、俺たちも少しずつ動くぞ」

「動くって、具体的にはどうすんのよ?」

「MLOへの侵攻で能力が露呈した、Evolを中心に攻める。 NicoleとEdenは引き続き防衛に専念して、なるべく戦わないようにしろ」

「オッケー、任せて下さい。 そんじゃあ、俺はメンバーを集めて、適当なタイトルを落として来ます」

「頼んだぞ。 NicoleとEdenも、構わないな?」

「まだるっこしいけど……しょうがないわね」

「俺も受け身になるのは好きじゃないけど、THOが勝つ為なら従ってやるさ」

「良し。 そろそろ19時になる。 各々、役割を全うしろ。 俺も防衛に参加する」


 会議を締め括ったZenithは立ち上がり、チームルームを出て行った。

 その背中を見送ったEvolも腰を上げ、ウィンドウを開きながら出口へと向かい、どことなく楽しそうに声を発する。


「さてと、今からどんだけの仲間を集められるだろうな」

「キミなら大丈夫だろうけど、油断しないでね? 名もなき強者がいる可能性だって、あり得なくはないんだから」

「心配すんなって、Eden。 お前らこそ、気を抜くんじゃねぇぞ? TETRAが3人もいて、落とされるとは考え難いけどよ」

「当然じゃない。 何なら、あたしだけでも充分だっての」

「Nicole、調子に乗るんじゃない。 今も残っているタイトルは、基本的には強力なところが多いんだ。 下手をすれば、俺たちでも足をすくわれるよ」

「わかってるってば、Eden。 ほら、あたしたちも行くわよ」


 重々しい駆動音を鳴らしながら、席を立つNicole。

 そんな彼女に嘆息しつつ、Edenも遅れずに付いて行く。

 Evolも含めて3人がチームルームをあとにすると、照明が落ちて真っ暗になった。

 その後、THOに攻めて来るタイトルはなく、Evolを中心とした侵攻組は1つのタイトルを脱落させる。

 こうして、守りを固めることの多かったTHOが、徐々に本領を発揮し始めた。

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