第30話 クロスケ
拠点西側の戦いは、苛烈を極めていた。
「おらよ!」
『ぬん!』
ゼロの【放たれる暗器】を、白太は前足で難なく弾き飛ばす。
人間形態のときは多少なりともダメージが入っていたが、今は全くのノーダメージ。
スピードとパワーだけではなく、防御力も上がっているようだ。
そのことにゼロは舌打ちしつつ、むやみに踏み込むことはしない。
慎重に距離を測り、安全圏から手裏剣を投げ続ける。
一方の白太は、一気に距離を詰めてゼロを仕留めようとしていた。
ところが、それが中々上手く行かない。
それは、ゼロの駆け引きが絶妙だからと言う側面が強いものの、他にも要因がある。
『ふん……流石はホームだな。 上手く立ち回っている』
「まぁ、使えるものは何でも使わねぇとな。 超獣化なんて化物を相手にしてんだからよ」
白太の賛辞に、ゼロは動きを止めないまま答えた。
草原に転がる岩を利用して身を潜め、白太を撹乱しつつ攻め立てる。
CBOと言う地の利を活かした、ヒットアンドアウェイ。
その戦法によって白太は攻め切れずにいる訳だが、ゼロの言葉には異を唱えたかった。
『良く言うな。 俺たちからすれば、CBOと言う超高難易度ゲームでトップクラスにいる、お前たちの方が化物だ』
「はは、褒め言葉として受け取っておくぜ」
『実際、感心している。 だが、簡単に負けはせん。 四獣王などと言う肩書きに拘りはないが、1人のプレイヤーとして挑戦させてもらおう』
「どちらかと言うと、俺が挑戦する立場な気がするけどな……。 少なくとも超獣化状態のお前と、正面からやり合う気はねぇよ」
『ふむ……。 やはり、知っているようだな。 超獣化の弱点を』
「まぁな。 うちのトップは、知識面でも最強なんだよ。 超獣化は強力だが、時間制限があるんだろ? だったら、このままやり過ごさせてもらうぜ」
『そうは行かない。 ここまでは良いようにやられて来たが、そろそろ反撃させてもらう』
宣言した白太は低い姿勢を取り、力を溜め始めた。
その姿を見たゼロは警戒心を露わにしつつ、手を止めることはしない。
【放たれる暗器】を繰り出しては隠れるのを繰り返し、超獣化の時間切れを狙う。
そうして、幾度目かの【放たれる暗器】が発動され――
『おぉッ!』
叫喚を上げた白太が、手裏剣を全身に受けながら突貫した。
当然ながらダメージはあるが、決定打には程遠い。
そして、この行動には大きな意味がある。
これまでゼロの戦法が通用していたのは、白太が【放たれる暗器】を防ぐと言う前提があったから。
しかし、その手間を排除したことで、ゼロに隠れる時間を与えない。
あらん限りに目を見開いたゼロの眼前に、白太の巨体が迫る。
既に前足を振り上げており、あとは振り切るだけでゼロを仕留められるはずだ。
そう考えた白太は、渾身の一撃をお見舞いしようとしたが、彼はあることを失念している。
『む……!』
フレンのクラウソラスの結界が作用し、白太に軽微なダメージを与えた。
だが、効果は絶大。
白太が一瞬動きを止めた隙に、ゼロが【断糸の脅威】を放つ。
両手の指から伸びた極細の糸が白太を斬り裂き、尚且つ短時間だけ行動を阻害した。
そのときには既にゼロは姿を消しており、白太からすれば元の木阿弥。
自身の浅慮を嘆いた白太は、反射的にフレンに目を向ける。
もっとも、今の彼にそれを気にする余裕などなかったが。
「はぁッ!」
『たぁッ!』
クラウソラスとエクスカリバーの二刀流を駆使して、ミントを攻撃するフレン。
こちらはゼロたちとは打って変わって、常に接近戦を繰り広げている。
恐るべきは、フレンの双剣に対して角のみで渡り合う、ミントの超獣化。
角を剣や矛のように扱っているのだが、その練度が途轍もなく高い。
とは言え、やはり優勢なのはフレンだ。
ミントの攻撃は完封されているのに対して、フレンは何度かヒットさせている。
これには、光の結界の効果も役立っていた。
証拠として、両者のHP差は少しずつ開いており、このままならいずれはミントを倒せるかに思われたが――
『舐めないで下さい!』
角が発光し、ミントのHPをかなり回復した。
エリスの【リザレクション】は他者専用魔法だったが、彼女は自分で自分を癒すことも可能。
その事実にフレンの顔が僅かに強張ったが、それでも彼は負けると思っていない。
ところが、ミントの真骨頂はまだ発揮されていなかった。
『行きますよ!』
再び角が発光し、ミントの体を優しく包む。
何が起きるか身構えていたフレンだが、すぐに答えは判明した。
「く……!」
ミントのパワーとスピードが増している。
超獣化【ユニコーン】は、癒やすだけではなくバフを撒ける能力も備えていた。
ただし対象は単体なので、白太に回せるリソースはない。
1つ1つの効果は突出している訳ではないものの、ミントの超獣化もやはりかなり強力である。
フレン有利だった形勢が傾き始め、ミントの角が彼の体を捉え始めた。
次第にダメージを蓄積させ、HPゲージが半分を切ろうとしたが、そこでフレンが次なる一手を打つ。
「そろそろか」
ミントの角を大きく弾き、僅かばかり空白の時間を作った。
その際にエクスカリバーを鞘に納め、自己回復を開始する。
フレンは被弾回数が増えるほど回復力が上がる特性を利用して、敢えてギリギリまで粘ったのだ。
そしてここからは、クラウソラスの両手持ち。
手数は減ったが、一撃の威力は上昇している。
超獣化の時間制限があるミントは、一気に押し切りたかったところだが、それが難しいと直感していた。
仕切り直すべく正面から睨み合い、攻め込むタイミングを窺う。
また、どうしても彼女は、聞かずにはいられないことがあった。
『どうして、CBOの味方をするんですか? CBOがどうなっても、貴方たちには関係ないじゃないですか』
「いいや、関係ある。 少なくとも、同盟を結んでいる現時点ではね。 いずれ決着を付けるとしても、今はそのときじゃない」
『同盟だなんて、単なる口約束でしょう? 裏切られるかもしれませんよ? いえ、雪夜ならきっとそうします』
「雪夜くんが裏切る、ね……。 悪いけど、想像出来ないな」
『どうしてですか? 彼は……雪夜は、コースケさんを騙し討ちするような人なんですよ?』
「コースケ……。 四獣王の1人だったプレイヤーか。 彼が脱落した経緯は知らないが、僕は雪夜くんの仕業だとは思えない。 彼は誠実な人だからね」
『そんなことありません! 貴方が知らないだけで、あの人は卑怯なんです!』
「逆に聞くけど、キミは雪夜くんと面識があるのかな? まさか、ろくに知りもせずに、誹謗中傷しているんじゃないよね?」
『そ、それは……』
「キミが酷く傷付いているのは、充分に伝わって来た。 でも、怒りを向けるべき相手を間違えたらいけない。 本当に雪夜くんがやったのか、まずはしっかり確認することだ」
『……わかりました。 貴方を倒して、直接問い質します。 その上で事実だとわかったら、改めてわたしが雪夜を倒します』
「うん、順番的にはそれが正しいと思うよ。 ただし……」
言葉を切ったフレンが、クラウソラスを力強く構える。
彼の雰囲気が変わったことに気付いたミントも、迎撃態勢を整えた。
しかしフレンは構うことなく、自身の思いを叩き付ける。
「僕も、任された以上は譲れない。 キミは必ず抑えてみせる」
『……だったら、わたしは突き進むまでです。 貴方と言う巨大な壁を、打ち破って雪夜の元に向かいます』
「良い気迫だね。 受けて立つよ」
『行きますッ!』
言うが早いか、ミントが馬の脚力で駆け出す。
対するフレンは1歩も動くことなく、宣言通り迎え撃った。
年齢も性別も性格も立場も何もかもが違う両者だが、勝利を欲していることだけは共通している。
そうしてフレンたちの戦いが更なる局面に移っていた頃、ゼロと白太の戦況も変わろうとしていた。
「まったく、若いなぁ」
『お前も、まだそんなに年寄りと言う訳じゃないだろう?』
「いやぁ、俺はもうゲームプレイヤーとしては、結構な歳だと思うぜ?」
『そうなのか。 だが、関係ない。 現実では衰え始める年齢だとしても、ゲーム内のお前は間違いなく強いからな』
「おいおい、衰えるとか言うなよ。 確かに若くねぇが、まだまだ俺はこれからだぜ。 ただ、やっぱりどこかで、安全策を取ろうって思考になりがちだったかもな。 若い頃は結構無茶もしてたのによ」
『何が言いたいか知らんが、これ以上付き合う気はない。 超獣化が時間切れになったら困るからな』
「ちッ! 流石に忘れてなかったか。 まぁでも、俺としてもこっからは真っ向勝負だ。 行くぜ、守護王。 俺の本気を見せてやるよ」
ニヤリと笑ったゼロが、姿勢を低くして短刀を握り直す。
彼の言葉がハッタリではないと察した白太は、鋭く目を研ぎ澄ませた。
そのまま両者無言の時間が流れたが、先に動いたのはゼロ。
白太に向かって一直線に踏み込み、短刀を繰り出す。
本当に正面から向かって来たことに、白太は少なからず驚いたが、冷静に対処した。
ゼロの攻撃を前足でガードして、彼の肩口に噛み付く。
強靭な顎がゼロを襲い、大ダメージを与えようとして――
「ここだ!」
消えた。
目の前からゼロがいなくなったことに、白太は驚く――ことなく、反転しながら尾を薙ぎ払う。
CBOの『隠密』で警戒すべきアーツ筆頭なのが、【刹那の刻】。
瞬時に背後を取って斬り掛かるこのアーツの脅威は、ノイとエリス戦で他のタイトルに知れ渡っていた。
その対策も万全だった白太は、尾による一撃を背後のゼロに食らわせる。
見事に脇腹にヒットし、今度こそ手痛い1発になるかに思われたが、ゼロはその先を行った。
『何!?』
まさかの事態に、白太が驚愕の声を上げる。
尾の攻撃を受けたゼロが木材となり、本人は再び白太の背後を取ったのだ。
【刹那の刻】と【変わり身】のコンボ。
完璧に相手の動きを読んでおり、見事と言うほかない。
瞬時に白太もそう感じたが、このあとの展開を考えて歯噛みする。
「もらうぜ!」
最大のチャンス得たゼロによる、【五月雨の如く】。
分身体と同時連撃を放ち、白太のHPゲージを削った。
だが、守護王の名は伊達ではない。
ゼロの強力な攻撃をまともに受けても尚、まだ残りHPには余裕がある。
それほど、白太の耐久力は馬鹿げていた。
ところが、ゼロに落胆した様子はない。
むしろ会心の笑みを浮かべ、後方宙返りして距離を取ってから言い放つ。
「おし、入ったな」
『毒か……。 厄介だな』
「お前みたいな奴には、地味に効くだろ? こう言うのは、HPが多かったり耐久が高い奴にほど有効なんだよ」
『確かにその通りだ。 とは言え、流石に永続と言うことはないはず。 これだけで勝ち誇るには早いぞ?』
「良いこと教えてやるよ。 俺の装備の特殊能力には、毒の継続時間を伸ばすものもある。 甘く見てると、痛い目を見るぜ?」
『……なるほどな。 だとしても、大勢に影響があるほどとは思えん。 さっきは完璧にやられたが、2度目はない』
徐々に減って行くHPを気にも留めず、白太は再び姿勢を低くした。
ここで少しでも焦ってくれれば、ゼロとしては楽だったが、そうは問屋が卸さない。
白太の強さが単なる戦闘力に収まらないことを痛感したゼロだが、だからと言って彼が揺らぐこともなかった。
「悪いな、守護王。 実はもう、準備は出来てんだよ」
『準備だと?』
「俺の切り札はちょっと特殊でな、発動条件がメンドクセェんだ。 けどよ、流石に今回ばかりはそんなこと言ってられねぇから、この戦いが始まる前に条件を整えてたんだよ」
『なるほど。 なら、その切り札とやらを発動する前に終わらせてやる』
「そうは行かねぇ。 俺は切り札を、絶対に有効な場面でしか使わねぇ主義だからな」
勝気な笑みを湛えたゼロが口元のマスクを下ろし、指笛を吹いた。
どう言うつもりかと訝しんだ白太が、全周囲に注意を払っていると――頭上に影が落ちる。
咄嗟に上を見た彼の目に映ったのは、巨大な鴉。
一瞬モンスターかと白太は思ったが、すぐにそうではないと思い知らされた。
「やれ! クロスケ!」
ゼロが白太をビシッと指差しながら、大声で叫ぶ。
それを受けた巨大鴉――クロスケは、大きく翼をはためかせた。
すると数多の羽根が射出され、弾丸となって白太に殺到する。
驚愕しながらも反応した白太は、なんとか最小限の被弾で済ませた。
ダメージもさほど受けておらず、これなら大丈夫かと安心しかけたが――
『……! これは……』
毒による継続ダメージが上がっている。
白太の耐久力をもってしても、無視出来ないほどだ。
ゼロのフィニッシュアーツ、【口寄せ】。
発動条件は、敵に状態異常付与した時間が100秒を越えること。
効果は見ての通り、使い魔であるクロスケの召喚。
ただし、1日に1度まで。
そしてクロスケの能力は、毒の強化。
また、クロスケ自身に毒を付与する力はない。
つまり、ゼロが白太を毒状態にしなければ、何の意味もなかった。
毒の強化と言う使いどころの難しさもあり、ここまで披露する機会がなかったが、今回は強烈に刺さっている。
それを確信したゼロは、気を緩めないまま言い放った。
「これで、いくらお前でも長くはもたねぇはずだ。 勝たせてもらうぜ」
『……お前の言う通り、俺はここで落ちるかもしれん。 だが、ただでは終わらんぞ』
「おいおい、刺し違えようってのか? やめとけよ。 超獣化の時間制限も近付いてる。 それに、クロスケの毒強化はまだ上がる。 はっきり言って、詰んでるぜ」
『だとしてもだ。 お前さえ倒せば、ミントは生き残れるかもしれない。 なら、諦める訳には行かん』
現在進行形でフレンと激闘を繰り広げている仲間を一瞥し、白太は決意を固めた。
そんな彼に鋭い目を向けたゼロは、真剣な声音で語る。
「良いぜ。 どうしてもやるってんなら、俺も最後まで付き合ってやるよ」
『当然だ。 今更、見逃せと言うつもりもない』
「……お前みたいな奴、嫌いじゃねぇんだけどな。 仮にも戦争をしてる以上、仕方ねぇか」
『そう言うことだ。 ……行くぞ』
決死の覚悟を抱いた白太が、ゼロに跳び掛かる。
何の工夫もなく、最短距離を突っ切った。
しかし、逆にそのことがゼロの虚を突いて、僅かながら反応が遅れる。
もっとも、充分に巻き返せる程度ではあったが。
「クロスケ!」
後方に跳躍しながら指示を出したゼロに従って、クロスケが羽根の弾丸を繰り出す。
だが、白太はそれを完全に無視して、愚直に前に出た。
より一層、毒が強化されたことでHPの減りが速くなったが、それがどうしたと言わんばかり。
それによってゼロとの距離は縮んだが、恐らく彼に辿り着く前に力尽きる。
ゼロもそう計算しており、白太もそのことをわかっていたが、それでも最後まで諦める気はなかった。
そうして守護王は、敗北を喫するかに思われたが――
『……ッ!』
「な!?」
白太が限界まで目を見開き、ゼロが思わず声を上げる。
それほど、2人にとって予想外の出来事が起こった。
流れて来た淡い光が白太を包み込み、毒を解除した上でHPを半分程度回復する。
それが何を意味するか察したゼロと白太は、反射的に視線を転じた。
そこにいたのは、【ユニコーン】形態のまま微笑んだミントと、彼女に斬り掛かる直前のフレン。
ミントが自分を犠牲に助けようとしたことを悟った白太は、大声を上げそうになったが――
「……参ったな」
フレンの斬撃が止まる。
その顔には苦笑が浮かんでおり、今度はミントが驚く番だった。
必勝のタイミングを狂わされて、固まるゼロ。
敗北寸前で生き延びた白太。
白太の代わりに、自分が負けると思っていたミント。
トドメを刺すつもりが、攻撃を中断してしまったフレン。
その場に気まずい空気が流れ、誰も何も言えずにいる。
すると白太とミントの超獣化が解け、ゼロのクロスケも帰って行った。
それが切っ掛けとなったかは定かではないが、盛大に嘆息したゼロが口を開く。
「引き分けってことにしねぇか?」
「引き分け、ですか……?」
「そうだよ、一角王。 つっても、この戦いに関してだけだ。 決着は付ける」
「……つまり、他の連中の結果を見守ると言うことか?」
「そう言うことだな、守護王。 もし、雪夜やケーキちゃん、Aliceちゃんたちが負けるようなら、俺も大人しく落ちるぜ。 その代わり、あいつらが勝ったらお前らは退けよ」
「ちょっと待った、ゼロくん。 その場合、僕はどうなるのかな?」
「フレンはあくまでも、同盟関係だ。 どちらに転んでも、SCOに帰れば良い。 もう充分に、義理は果たしてくれたぜ」
そう言ってニッと笑い、フレンにサムズアップするゼロ。
対するフレンは複雑そうな顔をしつつ、白太とミントの返答を待った。
ミントは困ったように眉を落とし、白太の判断を窺っている。
自分に注目が集まっていると知りながら、白太は泰然とした態度で思考を巡らせ、やがて判断を下した。
「わかった。 ひとまず、お前の案に乗ろう。 ミントも良いか?」
「……はい。 わたしは本来、もう脱落してたはずですし」
「それを言うなら、俺もそうだ。 それにゼロ、お前も同類だろう?」
「まぁな、守護王。 一角王に回復されたあと、そのまま攻撃されていたら俺は終わってた」
「そのつもりだったんだがな。 第一星がミントを見逃したことで、気が変わった」
「僕としては、容赦しないつもりだったんだけどね。 気付いたら止まってたよ。 我ながら甘いと思うけど、結果的には悪くなかったのかな」
「その結論を出すのは早いぜ、フレン。 雪夜たちが負けちまったら、結局CBOは終わりなんだからな」
「そんなことを言いながら、キミ自身が勝つって信じてるよね?」
「そりゃ……まぁな」
ニコリと笑ったフレンの指摘に、ゼロはそっぽを向きながら頬をポリポリと掻いて、小声で呟いた。
彼が照れていることに気付いた白太とミントは、顔を見合わせて苦笑し、改めて自分たちの立ち位置を明言する。
「とにかく、今は休戦だ。 ただし、少しでもおかしな動きをすれば、即座に再開するぞ」
「わたしも、完全に雪夜への疑いが晴れた訳じゃないです。 ただ……貴方たちのことは、信用しても良いと思いました」
「はは、そうかよ。 そんじゃ、それぞれ適当にしておこうぜ」
「厳密に言えば僕が残る必要はなさそうだけど、結末は見届けよう」
そう言ってゼロとフレン、白太とミントに分かれて距離を取り、此度の戦いに一応の終止符を打つ。
先ほどまでの激しさが嘘のような静けさが訪れ、同じ頃、別のバトルも終焉を迎えようとしていた。




