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赤い悪魔と白い悪魔  作者: ぺんぎん


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6/7

弾

夜番を始めてから三日、何も起きなかった。


誰も安心はしなかったが、三日目になると、見張りに持っていく物が少しずつ増えた。水だけだった男が黒パンを持ち、古い毛布を肩に掛け、交代の時間を正確に決めるようになった。


恐怖にも、仕事と同じように手順ができる。


ステパンはそれが嫌だった。


慣れたくなかったが、慣れなければ朝まで起きていられない。


昼は畑へ出た。


馬がいない分、作業は遅れていた。ミハイルの牝馬は借りられる時間が限られており、重い仕事の多くは人の肩と背中へ戻っていた。


パーヴェルも午前中は麦を運んだ。


昼を過ぎると赤い兵たちのところへ行く。


もう「道案内」とは言わなくなった。


ステパンも聞かなくなった。


その日の夕方、二人は納屋の前で縄を巻いていた。


パーヴェルが言った。


「兄貴、昨日の夜はどうだった?」


「何もない」


「一昨日も?」


「山羊も来なかった」


「平和だな」


ステパンは縄を引いた。


「平和なら銃を持って寝る奴はいない」


パーヴェルは返事をせず、少し笑った。


笑えるうちは、まだよかった。


ダーリヤが家から出てきた。


「今夜の分」


布に包んだ黒パンと玉ねぎを渡す。


ステパンが受け取る。


「多い」


「昨日、帰ってから二人分食べたでしょ」


「ミハイルが食った」


「じゃあ今日はミハイルの分も入れた」


「俺が食う」


「知ってる」


パーヴェルが笑った。


「兄貴、全部ばれてるぞ」


「うるさい」


その時、村の東側で犬が吠えた。


笑いが止まった。


西ではない。


見張りを置いている道とも違う。


ステパンはパンをダーリヤへ戻した。


「中へ」


「何人?」


「まだ分からん」


パーヴェルはすでに小銃を取っていた。


二人で道へ出ると、村の東端から少年が走ってきた。


「馬! 三人!」


「誰だ」


「知らない!」


「赤い布は?」


「ない!」


ステパンは家の壁に立てていた小銃を取った。


弾は五発だけ借りていた。


一発ずつ数える癖が、まだ抜けない。


パーヴェルが言う。


「西だけ見てたな」


「ああ」


「回られたか」


「分からん」


三人の騎馬が見えた。


ゆっくり来る。


昨日の略奪隊ほど散らばってはいないが、正規の隊列にも見えない。


一人が何か叫んだ。


聞き取れなかった。


村の男たちが戸口や柵の陰から出てくる。


銃を持っている者は三人。


ほかは斧や棒だった。


ミハイルも走ってきた。


「またか」


「三人だけだ」


パーヴェルが言った。


ミハイルは騎兵を見た。


「三人だけなら、後ろにいるかもしれん」


ステパンは道の左右を見た。


畑。


家。


乾いた溝。


人影はない。


「止まれ!」


村の誰かが叫んだ。


騎兵は止まらなかった。


先頭の男が手を上げた。


武器を持っている。


ステパンの肩が固くなった。


「止まれ!」


今度はパーヴェルが叫んだ。


男が返事をした。


「水だ!」


「馬から降りろ!」


「何でだ!」


「武器を置け!」


騎兵たちが顔を見合わせた。


一人が笑った。


その笑い声が、妙に腹立たしかった。


「水を飲みに来ただけだ!」


ミハイルが低く言う。


「帰らせろ」


パーヴェルは答えた。


「昨日みたいに?」


「昨日みたいになる前にだ」


騎兵の一人が馬を前へ出した。


ステパンは小銃を上げた。


「来るな!」


男は止まらない。


距離が縮まる。


五十歩ほど。


もっと近いかもしれない。


銃を持った相手が近づくと、距離は数字ではなくなる。


あと何秒でこちらへ来るか、それだけになる。


「止まれ!」


ステパンが叫んだ。


男は笑わなかった。


今度は何かを言ったが、風に消えた。


パーヴェルが兄の横で銃を構えた。


「兄貴」


「分かってる」


「近い」


「分かってる」


先頭の騎兵が、肩に掛けていた銃へ手を伸ばした。


その瞬間、村の後ろで何かが倒れ、大きな音がした。


誰かの荷車だった。


馬が驚いた。


三頭が同時に首を上げる。


先頭の男の銃が肩から滑った。


ステパンには、それがこちらへ向けられたように見えた。


引き金を引いた。


音が胸の内側まで突き抜けた。


肩を強く殴られたような衝撃が来る。


火薬の匂い。


馬が跳ねた。


騎兵が何か叫ぶ。


誰かが撃ち返した。


弾が柵の板を割った。


村の男たちが伏せる。


パーヴェルも一発撃った。


どこへ撃ったのか、ステパンには見えなかった。


ミハイルが怒鳴った。


「下がれ!」


騎兵たちは馬首を返した。


一人の馬が大きく横へ跳ね、男が落ちかけた。


それでも三人とも道を戻っていく。


村からさらに二発、ばらばらに銃声が上がった。


ステパンは撃たなかった。


銃を肩につけたまま、離れていく背中を見ていた。


「追うな!」


老人が叫んだ。


誰も追わなかった。


騎兵が畑の向こうへ消えるまで、村人は伏せたままだった。


静かになってから、ステパンはようやく息を吐いた。


耳がよく聞こえない。


パーヴェルがこちらを見ている。


「兄貴」


「何だ」


「当たった?」


ステパンは道を見る。


血はない。


人も倒れていない。


馬も走っていった。


「分からん」


「狙ったのか」


ステパンは答えるまで少しかかった。


「馬の前だ」


本当にそうだったのか、自信がなかった。


人には当てたくなかった。


だが引き金を引いた瞬間、どこへ飛ぶかまで考えていたかと聞かれれば、違う。


ただ来るなと思った。


来るな。


それだけだった。


ミハイルが割れた柵を見ていた。


板に新しい穴が開いている。


「向こうも同じだな」


ステパンが聞く。


「何が」


「こっちが銃を持ってると分かったら、撃つ」


パーヴェルが言う。


「撃たなきゃ入ってきた」


「かもしれん」


「じゃあ撃つしかないだろ」


ミハイルは首を振った。


「それを決めるのが早いって言ってる」


「昨日、何されたか忘れたのか」


「忘れてない」


二人の声が強くなる。


ステパンは割れた板へ手を当てた。


弾は板を貫き、その後ろの土壁へ食い込んでいた。


そこはコーリャがよく座る場所だった。


日が暮れる前なら、子供がいたかもしれない。


ステパンは指で穴の縁をなぞった。


木がささくれている。


自分の一発は、あの三人のどこへ飛んだのだろう。


道の土に入ったのか。


馬の腹の下を抜けたのか。


遠くの畑へ飛んだのか。


見えなくなった弾は、もう戻せない。


ダーリヤが家から出てきた。


子供たちは中に残している。


「誰か怪我した?」


「いない」


「向こうは?」


「分からん」


ダーリヤはステパンの銃を見る。


「撃ったの」


「ああ」


彼女は一度だけうなずいた。


「何発」


「一発」


「あと何発」


ステパンは弾薬袋を触った。


「四発」


「覚えておいて」


「何で」


「次に必要になるかもしれないから」


ダーリヤはそう言って、割れた柵を見た。


「これも直さないと」


ステパンは苦笑した。


「今それか」


「今だから」


それ以上の話はしなかった。


夕食のあと、パーヴェルが外へ出てきた。


ステパンは柵を直していた。


弟が板を押さえる。


「兄貴」


「そこ持て」


「うん」


釘を打つ。


二度。


三度。


木槌の音が、昼の銃声よりずっと小さかった。


「俺も撃った」


パーヴェルが言った。


ステパンは手を止めなかった。


「聞こえた」


「当たってないと思う」


「そうか」


「怖かった」


ステパンは釘をもう一本取った。


「俺もだ」


パーヴェルが少し驚いた顔をした。


兄がそう言うと思っていなかったのかもしれない。


「でも撃ったな」


「ああ」


「俺も」


二人で板を押さえた。


しばらくして、パーヴェルが言った。


「兄貴」


「何だ」


「次は、当てなきゃならないかもしれない」


木槌が止まった。


ステパンは弟を見なかった。


「次が来たらな」


「来ると思う?」


「知らん」


また釘を打った。


今度は一度で入った。


その夜、ステパンは小銃を枕元へ置いた。


昨日までなら、銃が家にあること自体が怖かった。


今は違う。


怖いのは、撃てることだった。

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