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世界書で恋の魔法は作れない  作者: rpmカンパニー


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84/133

84.三人でのワンパック来店

 教室から出てきた俺の前に立ちふさがって腕を組んでいる。

 ガイナ立ちをするなんてここから先は通さないぞという意思表示かな?


「え、その約束って有効なの?」

「さんざんアゴを触ったでしょ、あれ恥ずかしかったんだから」


 言われてみれば代わりだと言ってタプったんだっけ。

 でも恥ずかしいってなんだよ、陽菜はいつも気持ちよさそうにしてるぞ。


「なによ、荷物持ちぐらいしてくれたっていいじゃない」


 俺の反応が悪いので嫌がってると思ったようだ。

 別に荷物持ち自体はいいんだけど、平川さんの家まで距離あるしそもそも俺の家と反対方向だから帰るの大変だし……。

 せめて休みの日の昼とかにして、終わったあとにどこかに寄り道出来る時間があるといいんだけど……。


「お姉ちゃんも一緒だけど」

「さあ行こう、すぐ行こう、ハリーアップ」

「……まあいいけどね」


 そういうことは先に言おう。

 透子が一緒なら距離が遠かろうが反対方向だろうがなんでも良い。

 むしろ時間がかかるってことは一緒にいられる時間が長くなるってことだ。

 それはつまりハッピー。


 平川さんと一緒に玄関まで行くと物陰に透子が立っていた。

 日陰に咲く可憐な花みたいですごく良い。 


「決まったの?」

「嫌がってたけど一応行くって」

「嫌がってないよ!?」


 そんな誤情報はやめてほしい。

 そもそも最初から透子と一緒に行くと言ってくれれば全力でOKしてたのに。 


「真琴ってほんと女性の気持ち分からないんだから」

「分かったら苦労しないと思う」

「努力しないと良くならないわよ、ほらアタシが今何考えてるか分かる?」

「えーと、荷物持ちいるしいっぱい買おう、かな?」

「合ってる、合ってる、じゃあ次に考えていることは?」

「……何をおごってくれる?」

「バッチリじゃない!!」

「なんで奢らないといけないんだよ!?」

「美人に尽くすのが男の本望じゃないの?」

「ヒロイン相手ならね」

「こんなに綺麗なヒロインいる?」


 笑いながらいつものように俺の肩をバンバン叩いた後、なぜか失敗したという顔をしている。


「あ、あの、お姉ちゃんは真琴と喋らないの?」


 恐る恐るといった様子で透子に質問した。

 何をそんなにビビってるんだろう?


「久美が喋ってる」

「あ、アタシが喋るのがまずいなら」

「二人が楽しそうならそれで良い」

「お姉ちゃん……」


 なんだろう、この微妙な居心地の悪さは……。

 平川さんが黙ってしまったのでなんとか話題を探す。


「と、透子は何を買うの?」

「何も買わない」

「え、そうなの?」

「久美に誘われただけ」


 つまり平川さんが透子と一緒に買い物したかっただけか。

 用もないのに付き合うなんて面倒見良いよな。

 こういう所がほんとかわいい。


「それでどこに向かってるの?」

「おもちゃ屋さん」

「は?」


 平川さんの口から聞きなれない言葉が出てきた。

 てっきり服とかアウトドア用品とかを見るのかと思ってたのに。


「何よ、子どもっぽいっていうの?」 

「いや、でも印象と違うなって思って」


 一応否定はしたものの俺も子どもっぽいとは思う。

 それにインドアなイメージもなかったので二重に驚いた。


「で、その目的地のおもちゃ屋というのはどこに?」

「黙ってついてきなさい」


 一人で歩き始めたので慌てて後をついていく。

 ショッピングセンターの専門店街に有っただろうか?

 おもちゃ屋なんて小学生のころにしか行ったっきりだからどこにあるかさっぱりだ。

 しばらく街中を歩いた後、立ち止まった。


「ここよ」


 到着したのはまさかのワンパックだった。

 言われてみればたしかにおもちゃ屋ではあるものの、実質カードゲームショップなのでまったく考えていなかった。


「男性ばかりで入りづらかったのよね」


 そんなこと言いつつ堂々と入店してるし、一人でも入れるんじゃ?

 一瞬そう思ったけど言わないことにした。

 口は災いの元。


「えっとどこで売ってるのかな」

「俺が案内するよ」

「え、案内できるの?」

「よく来るからね、欲しいのは何?」

「かわどいのカード!!」


 かわどいというのはかわいいどうぶついっぱいの略。

 デフォルメされた動物が生活しているアニメだ。

 女性と子ども人気が極端に高く何期にも渡って放送している。


「それならこっちかな」


 カオスフィールドが展示してあるショーケースに案内する。

 かわどいってなぜかカオスフィールドとコラボしたんだよな。

 多分子ども人気を見込んだんだと思うけど、子どもってお金ないからそんなに売れなかった。

 そして女性層はそもそもカードゲーム売り場に来ないから売れないので結局人気は出なかったという残念な結果。


「うわぁ、ぴよちゃん可愛い」


 ショーケースにかじりついているのを見て回りの男性客がぎょっとしている。

 女性、それも美人がこんな所にいるなんてまずないので驚いているんだろう。

 知らない女性だったら俺も驚く。


「真琴ってカードゲームするんだ」

「翔もだよ」

「あ、そういえばたまにカードゲームの話してたっけ、たしかス、スなんとか?」

「スタイフル?」

「そう、それ!!」


 楽しそうに相槌を打ってくれた。

 見ている男性客の顔が緩むのがわかる。


「あれはM:tGだから違うね」

「そんなに種類あるの?」

「いっぱい出ては消えるからね」

「これは消えてない?」

「消えてないかな」


 まあポケカとかの人気と比べたら天と地の差があるけど一応人気のある方だろう。

 視線が移動しているのを見るとぴよちゃん以外にはお目当てはありそうだ。


「どのキャラのが欲しいの?」

「ぴよちゃんとうさうさとまじろん」

「ぴよちゃんはそこにあるとしてまじろんはこの辺かな」


 どれも人気キャラだけどうさうさ以外は安い。

 ぶっちゃけカード性能が弱いのでイラスト需要しかないからだ。


「わぁ、かわいい」


 目を輝かせてショーケースを見ている。

 周りの男性、特に年配の男性は完全に微笑ましいものを見る表情だ。


「真琴、うさうさはどこ?」

「うさうさは……あそこかな」


 高額商品が置かれたショーケースを指さす。

 そこに置かれた一枚のカードを見て平川さんが笑顔になる。


「何あれ、光ってるわよ、真琴!?」

「うん、知ってる」

「うさうさかわいい!!」

「うん、少し落ち着こうか」


 他の人の目を集めまくっている。

 それでなくても長身の綺麗系美人でおっぱいが大きいから目立つ上にあれだけ素直に喜んでる姿を見たら無理はない。

 ほら、おじさんが鼻の下伸ばしてるぞ。


「あれ欲しい」


 平川さんが指さすうさうさ値札には燦然と輝く百万円の文字。

 そう、百円ではなく百万円。

 人気キャラ・強力なカード性能・Foil・コラボカードなので再録される可能性が低い と言った要素が集まって百万円となっている。


「光ってないのにしておきなさい」

「えー、光ってるの欲しい」


 光ってないのなら一万円で買えるのでまだましだろう、いやそれでも一万円なんだけどね。


「買ってくれたらなんでも言うこと聞いてあげる」

「やめなさい」


 そんなこと言うから視界内にいた知らないおじさんが財布を開いてお金を確認し始めたぞ。

 まさか本気で買う……かもしれないな、平川さんを好き放題出来るなら安いとか言いかねない。


「ほらみんな注目してるよ」

「真琴が買ってくれれば万事解決なのに」

「久美」

「あ、うん、ごめんなさい」


 すごい、目力だけで平川さんが謝った。

 これがお姉ちゃんの貫禄なのか。


「お小遣いで買いなさい」

「はーい」


 そう言って店員を呼びにいった。

 え、ほんとに買うの?


「えへへー、かわいい」


 五分後、だらしない顔でカードを眺める平川さんがいた。

 もちろん光ってない方のカードだ。

 でもそれでも一万円するのに加えて保存用のハードカバーとかいろいろセットでかなりの金額になっている。

 その割にあっさり財布から出したんだよな。


「どう、真琴?」

「かわいいよ」

「え!? ……あ、うんかわいいよね」


 なぜそんな微妙な反応?

 もしかして男がこういうの見てかわいいって思うのがキモい?


「お、お姉ちゃんはどう思う?」

「かわいい」

「だよね!!」


 透子相手だとニコニコしているのでどうもキモかったらしい。

 こういう時にどう反応すればいいかさっぱりだ。


「ふふ、真琴のおかげで買えたー」

「何もしてないけどね」

「いいのー」


 結局荷物持ちで来たはずなのに何もしていないけどいいのかな。

 まあすごく喜んでるみたいだし余計なことは言わないでおこう。

 そしてそんな平川さんを見て透子がうっすら微笑んでるのがすごく良いなぁ。

 これが見れただけで来たかいがあった。


「次来る時は光ってる奴買うからね」

「まじで!?」

「それまでにお小遣い貯めないと」


 やる気になっている所をみるとどうやら本気らしい。

 どれだけお小遣い貯めれば届くんだよ。


「真琴くんも欲しいの?」

「いやいや、俺はイラストだけでその値段は出せないよ」

「そう」


 残念そうな顔をする透子。

 それなら。


「お、俺はと、透子のえ、笑顔がほしいかな」

「真琴、噛みすぎ(笑)」

「言いなれないんだから仕方ないだろ!?」


 せっかくのセリフも噛み噛みじゃ全然カッコよくなかった……。

 普段はペラペラ話せるのにどうして重要な時だけ駄目なんだよ。


「じゃあこの辺でいいから」

「あ、うん」


 あっさり目的地に到着してしまった。

 透子は平川さんの家に泊まるらしいのでここで二人ともお別れだ。


「また来週学校でね」

「うん、また」

「……またね」

「透子もまた来週会おうね!!」

「お姉ちゃんにだけ気合入りすぎでしょ」


 笑われてしまったけど好きな子に全力で何が悪い。

 いつか平川さんにそんな人が現れた時は全力で煽ってやるから覚悟しとけよ。

 そんなことを胸に秘めつつ帰路についた。

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