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【本編完結】異世界男の娘【連載版】  作者: 物部K
後日談、番外編

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デート後の話し合い、生と死への敬意

帝国が不穏な動きをする中、デートをした数日後の話。


アカネが突然、

「今日はピクニックに行こうか」

と言い出した。


俺はその突拍子もない発言に

「お、おう」

と、短い返事しか返せなかった。


ピクニックということで、昼食はお弁当のようだ。

色々なおかずを重箱に入れている。

多くないかな?って思って聞くと、

「目的地はユグの下だから、ワンちゃんたちにもと思って」

と、コロとポチを気遣ったようだ。


さすがに彼らの分もある重箱が複数となると、大変な量になる。

なので、『睡蓮』のドールさんたちも手伝っているみたいだ。

俺は何もしないのかというと、そうでもない。

外で快適に過ごせるグッズを、コアの『カタログ機能』から探しているのだ。

あんまりごちゃごちゃと持っていくのも荷物になるので、

シンプルにしたいとにらめっこ中だ。


よし、決めた!

テーブルと椅子、テーブルに刺せるパラソル。

それと飲み物用のクーラーボックスでいいだろう。


そこそこ大きな荷物だが、ダモナーたちが運んでくれるようだ。

すまないなと声をかけると、

「マスターたちのためなんダモナー!」

と、元気に返してくれる。


チビダモナーたちもついてくるようなので、遊び道具も用意してやる。

前回のデートでチビダモナーを見て、自身の子供を幻視してしまった。

もしかして、今回のピクニックはそのためか?

だとすると、ちょっと重たい話も覚悟しないとかな。




重箱の用意も出来て、荷物もダモナーやドールたちが持ってくれる。

今日のアカネの格好は珍しく薄青のロングのワンピースだ。

とても涼し気に見える。

まあ、季節的にはやや夏よりだもんな。

ちょっとだけ暑い気がする。


そんなアカネと二人で手を繋いで、家を出る。

道中は重箱の中身を聞いたりと和やかなムードで移動した。

聖樹が目的地なのだが、家の近所なのですぐに到着してしまう。

ダモナーたちがテーブルや椅子を広げている間に、

俺たちはユグに話しかける。



「ユグー。ちょっとピクニックさせてもらうなー」

『うん、いいよー。散らかさないでね』

「さすがにゴミは持ち帰るよ」


『ならいいよ。カオルは元気になった?』

「ん?何のことだ?」

「アンタ、この間のデートからたまにだけど…

虚ろな時があるわよ?気付いてる?」


「え?マジか。そんなことあるかなあ?」

「はあ。自覚なしか。どこか空元気なのよ、今のアンタは」

「…」

「話してごらんなさい、お姉さんに。

少しは元気が出るかもしれないわよ?」



アカネはアウトドア用のシートを取り出し、地面に敷く。

アカネがさっさと靴を脱ぎ、シートの上に座る。

そして、膝の上をポンポンと叩く。どうやら膝枕をしてくれるようだ。

俺は素直に膝の上に頭を乗せることにする。

そして、話し出す。



「この間のデートの時にな。

チビダモナーを抱いてるアカネを見たんだ。その時にな…」

「その時に?」

「もし、俺とアカネとの間に子供が出来たら、

こんな光景が見れたのかなって…」


「そう思っちまってな。その光景を想像してしまったんだ」

「そうだったのね…」

「そしたら、女神様の下につれていかれたんだ」


「あの女、まだカオルに執着してたのね」

「いや、女神様は俺たちのことを想って泣いていたんだ」

「そう…」


「アカネを悲しませるから帰してくれって、

もう一度チャンスをくれって願ったんだ」

「どうして?」

「俺は挫けそうになったからな、この運命に。

まだちょっとしか経ってないのにな」


「…後悔してるの?」

「後悔、ではないな。子供が作れない悔しさっていうのかな。

いや、羨ましさかな?そんな感情を抱いちまって、悲しくなったんだ」

「そっか。後悔ではないのね、よかったわ」


「よかったって?」

「アンタを私の都合で巻き込んじゃったからね。

アンタにはたくさん助けられてる。眠れなかったのを眠れるようにしてくれた。

一緒にいてくれるって約束してくれた」

「そうだな。約束した。俺はこの先ずっとお前の隣にいるって決めたんだ」



「私からは何も返せてあげられないのに…」




「ならば、子作りすればよいではないか。なぜ躊躇う」




「コロか。そういうわけにはいかないんだ。俺たちは必ず見送る側になる」

「私たちはそれに耐えられないのよ。きっと悲しんで、後悔する…」


「お主らは自分たちが自然の摂理から外れたことで、

摂理の内側にいる者たちに対する礼儀がなっていないな」


「礼儀?」

「そうね。たしかに礼儀は欠如しているかもしれないわ。

それでも失うことはもうたくさんよ…」


「この先、たくさんの別れが待っているというのに、

今からそんな状態でどうする。その者の生に感謝せよ。

その者が残したものを守り、見守るのがお主らの使命であろうに」


「…」

「…」


「お主らは悠久の時を過ごす。ならば、生と死を授かった者には敬意を払え。

お主らが手にできぬというのならな」


「…そうだな。俺たちは見守る側なんだ。この世界を。

この世に生きる人には敬意を払わなきゃな」

「だけど、敬意を払う必要ない奴もいるわ」


「何も生あるすべての者に敬意を払う必要はない。

お主が敬意を抱く者にだけでいい。そ奴らのことを想い続けよ。

それが『縁』と『繋がり』というものよ」


「そうね。私が尊敬できる人にだけ敬意を払うことにするわ。

その人たちのことはなるべく忘れないようにする」

「アカネも日記を書けばいいさ。

その人たちとの思い出を綴れば、いつだって思い出せるさ。

これから出会う人も、これから別れる人のことも…」



「それに、ボクたちは長生きだからね!

失った人たちだけに目を向けるんじゃなくてさ…

今を生きるボクたちのことも忘れないでほしいな!」



「ポチ…」

「そうだな。今を懸命に生きる人たちにも目を向けなきゃな」



「それで、お主らは子作りするのか?」



「…いや、しない。あの時、女神様にも言ったんだ。

代わりはいるってな。

ティクスやバーバラ、それに護衛や元侍従たちの子供がいる。

だから、大丈夫だ」

「そうね。子供は欲しいとは思うけど。

血のつながりがなくても、私たちにとっての子供って言えるものね」



『マスターたちは、ホントは自分たちの子供が欲しいの?』



「ユグ?ああ、そうだな。本当は欲しいな。その気持ちは嘘にはできない」

「ええ。欲しいけど、私たちは我慢するの。

別に、私たちと血が繋がってなくてもいいからって気づけたから」


『…そうなんだ。ねえ、マスターアカネ。魔力ちょうだい』


「今の流れでどうして、魔力を欲しがるんだよ。ユグ…」

「いいけど、私に魔力は大してないと思うわよ?」


『うん、ほんのちょっとだけでいいのー』


「わかったわ。カオル、ちょっとどいて。アタタタ、足がしびれちゃってる」

「大丈夫か?揉み解すか?」

「その笑顔に毒を感じるわ…」

「そんなことないってー!」

「視線を合わせてから言いなさい!

ユグ、地面に手を付けるだけでいい?魔力の送り方なんてわからないから」


『それでいいよ。こっちから魔力を吸わせてもらうよ』


「ちょっと怖いわね…」

「ユグ、あんまり吸うなよ?アカネは赤ん坊と変わらない魔力量なんだから」


『もう終わったから大丈夫だよー』


「あら、もう終わったのね」

「あれ?アンナのときでもそこそこ持っていったのに。どうしたんだ、ユグ?」


『今回はホントに必要な量が少なかったの。

ドールたちがこっちの様子を伺っているよ?

ピクニックの準備が出来たんじゃない?』


「あ、忘れてた!ドール、ごめーん!今から行くわ!!」

「コロ、ポチ。お前たちの分のご飯もあるぞ。一緒にどうだ?」


「我らの分もあるというなら頂こう」

「ごはん!?ボクたちのごはんがあるの?!やった!」



俺たちはダモナーやドールたちが用意してくれた席に座り、昼食を味わった。

コロとポチもガツガツと食っていたよ。

重箱があんなにあったのに、あっという間になくなっていた。

俺もアカネの料理に舌鼓を打ち、料理を作ってくれた感謝を述べる。



「アカネ、これもうまいな!いつもありがとうな」

「いいのよ、これくらい。趣味の範囲だからね」

「趣味の割には、だいぶ手が込んでる気がするけど…」


「腕が上がったと言いなさい、腕が上がったと!

アンタたちの学生時代のおかげでレベルアップしたわ」

「おー、あの学生生活はそんな恩恵もあったのか!」

「大変だったわ、あの生活は。

アレクとティナがお弁当を用意してほしい!って、

言い出したときはどうしようかと思ったけどね…」


「あー、お疲れ様?」

「アンタはアンタで朝起きないからね…」

「す、すまん…」


「帰ったら、あのマンガ作ってよ。最終巻まで作れるんでしょ?」

「あー、前言ってた奴な。作れるぞ。それだけでいいのか?」

「じゃあ、後ろから抱きかかえて」

「了解だ」



その後は、チビダモナーたちの遊びを眺めたりした。

近くを通りかかった王宮メイドさんと趣味の話をして、

アカネが興味深そうにしていた。

そして、夕方になったので、俺たちは帰ることにした。

夕食はアカネの希望によりピザだ。

これには、調理部門のドールたちが作ると言い出したので任せることにした。



「よし、荷物は持ったな?ゴミも落ちてないな?」

「うん、荷物はダモナーたちが。ゴミはドールたちが拾ってくれたよ」

「じゃあ、帰ろう!」






『パパ、ママ。待っていてね。すぐに会いに行くからね…』



後日、大変なことになるのを、この時の俺たちはまだ知らない。

ちょっと書き方を変えてみました。

こっちの方が読みやすいでしょうか?


読みやすければ、感想などで教えてください。

読みにくければ、今まで通りにします。

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