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【本編完結】異世界男の娘【連載版】  作者: 物部K
帝国との戦争

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エピローグ

今日は新年の前日、所謂大晦日って奴だ。

こっちの世界にそういう文化はないのだがな。


そんな日なのだが、今日は家の中が朝から少々バタバタとしている。

実は隠れている身でありながら、王家の身内を出迎えることになったのだ。

そのため、食材の確認、調理手順の確認などと忙しない。

主に新旧ドールさんたちが。



俺の能力も、久々に会った王家のみんなには伝えてある。

まだ全容は把握しきれていないとも伝えた。

まあ、全能感はあるから、ざっくりと言えば、なんでもできると言えるんだが…

自分からそれを言っちゃうのはなんか恥ずかしいのだ。


そらそうだろ。

「俺、実はなんでもできるんだぜ!」

なんて言ってみろ、場がしらけるぞ。


とまあ、そんなことを考えて現実逃避してる場合じゃない。

どうしよう。気まずい。

今、俺の目の前にエリザベス嬢がいる。

嬢ってのも、失礼だな。もう立派な大人だもんな、さん付けで対応しよう。



「あー。エリザベス、さん?」


「へぁ!いえ、あの、コルネリウスの兄君にさん付けで呼ばれるのは…

その、ちょっと、恐縮するので、ぜひ呼び捨てで…」


「わかった、エリザベス。それで?なんでそんなに緊張しているの?」


「あの、いえ、その…

ディネットさんが姉君だと思っていたのです。

でも、実際は兄君でディーノさんだとわかって…

それがここではカオルさんだと聞いて、ものすごく混乱しています」


「ははっ!そういう理由だったのか。気にしなくていいぞ、俺のことは。

今は貴族でも何でもないただのカオルだ。

ただちょっと、王家に縁があると言うだけのな」


「王家に縁があるだけで、十分緊張しますよ…」


「そうか?俺の元護衛や元侍従たちなんかは、随分と慣れたようだがな?」




「うぅ、その身の神々しさが一般人とまず違うのです。

何なのですか、その髪の輝きは!?」


「ん?これか?シャンプーとリンスを使っているだけだが…」


「しゃんぷー?りんす?」


「ああっと、こっちで言うとだな。髪の毛専用の石鹸だな。それも液体のな。

だから、頭皮までしっかり洗えて、髪の毛先までバッチリまとまる」


「なっ、なんですかそれ!?私も使いたいです!」


「じゃあ、帰りにお土産セットとして持ち帰れるように頼んでおくな」


「カオルぅ?私にもそのお土産セットはあるんでしょうね?」


「ぐっ、義姉さん。あ、あります!用意するように言っておきますよ!」




「前からお義母さまの髪質がどんどんよくなっているのが気になっていましたの。

聞いても秘密だとしか答えてくれませんのよ!?それが悔しくて悔しくて!

こんなところに秘密があっただなんて!!」


「だって、仕方ないでしょ~?話すとあなたたち欲しがるでしょう?

カオルちゃんやアカネちゃんに迷惑かけるわけにはいかなかったんですから」


「ぐぬぬ、お義母さまだけずるいですわ!毎日入り浸って!

私たちも毎日来たいですわ!」


「義姉さんたちはこれからが仕事でしょうに…」


「むきぃ~!私は戦場にも立ったのですよ!ご褒美が欲しいですわ!!」



「あ~、じゃあ、アカネに聞いてほしいんですけど…

肌に塗る化粧水や保水液の相談をしてもらうのはどうでしょうか?

まあ、魔法のあるこちらの方が肌関係の化粧品は充実していそうですけど。

とりあえず、アカネに化粧品限定でコアの生成権限を渡すんで…」


「カオルさん!それは肌がもっと綺麗になるということですか!?」


「カオル、そういうのはもっと早く言いなさいよ!

アカネさんはどこ!?アカネさーん!!」


「カオルちゃん?私も肌に関してのものがあるだなんて聞いていないわよ?

こちらのものもいいかもしれないけど、それはそれ、これはこれよ。

アカネちゃんにすべての化粧品の権限を渡したのですね?

確認しに行きますからね?」


「はい、母上。化粧品ならすべて生成できると思います。

思い思いに試してきてください…」




「はははっ、兄上も本物の女性には敵わないようだな」


「無茶言うな、コルネリウス。女性の美に関する情熱はあんなもんじゃないぞ?」


「そんなになのか、兄上」


「エリザベスの手元から俺の化粧品が消えてみろ?おねだりされる役目はお前だ」


「なんだと!?兄上!どうにかならんのか!?」


「どうにもならん。俺は表舞台には出ないと決めている」


「そんな!?化粧品の配達だけでも、頼む!」


「化粧品だけでいいのか?さっきのシャンプーやリンス。

それにアカネに話を聞きに行ったから、ヘアオイルとかも要求されるぞ?」


「まだ増えるのかよ!?た、頼む!兄上!は、配達を!」


「そうは言うがな~?」



俺は本当にどうしようかなと迷うのだった。

俺自体は本当に姿を隠した方がいいだろう。

うーん、ドールさんたちにお願いするしかないかなあ?



「わかったよ。お前の国を思う気持ちと引き換えに、だ。

ドールさんたちを配達に向かわせよう」


「本当か、兄上!

って、国を思う気持ちって、あの時の独り言、聞いていたのか!?」


「ああ、バッチリな!

なんなら綿毛鳥さんたちによるモノマネをさせてもいいぞ!

あの時、肩にとまっていたからな」


「なんだって!?ああああ」


「はっはっは!お前は一生、俺には頭が上がらんな!」


「うぅ、仕方がない。戦場では助けられたんだ。

これくらいは甘んじて受け入れよう」


「おっ!そうか、じゃあ、夕食時にでも綿毛鳥にモノマネを…」


「それはやめてくれ、兄上!!」



そうして、コルネリウスと談笑してると、父上とアレクもやってきた。



「ふう。やっと仕事が片付いた。まだ多少残っていたが…

どうにか部下に押し付けてきたわ」


「私の方も同じですね。どうにか自分たちでも処理して欲しいです…」


「いらっしゃい、二人とも。

仕事の書類にひな形や決まった書式は使っていないのか?

あと、ちゃんと部署を分けているか?」


「何の話だ?仕事が楽になる話なら聞かせろ。来年はもっと早く来てみせる」


「俺にも教えろ、もっと部下に仕事を押し付けたい」


「じゃあ、話すが。メモはいいか?」


「ああ。ドールさんが今、サッと渡してくれた。

私にもこんな優秀な部下が欲しいよ、まったく」


「俺も準備できた。頼む」



そして、俺は向こうの世界で使われていた、なんとなくな役所知識を披露した。

二人は目を輝かせ、質問したり、ちょっと待てと言ってメモを取っていた。

来年の部下さんたち、ご愁傷様。

話を聞く限り、随分と仕事を回されると思います、頑張って。



「くそぅ、これだけのことができるのか。来年は部署整理からだな」


「私はその間にひな形と書式に関してまとめたいと思います。

ついでに印刷技術も第三魔術師支部に回します」


「おー、懐かしいな。第三魔術師支部。あそこも元気にしているのか?」


「元気にしているぞ。

グリドールの嫁、リルフィーネ殿が愛想よくお茶を配ったりしている。

そのおかげで、あそこは円滑に回っている。時に意見も出しているそうだぞ」


「そうか、あの帝国の女も役に立っているのか。

てか、グリドール結婚したのか。ははっ!男を見せたな!」


「というよりも、そうせざるを得なかったってところだな。

愛想よく振る舞うものだから、告白する者が後を絶たなかったようだぞ」


「ははっ!グリドールは恨まれているだろうな、同僚たちに!

それを止めているあの女の姿が浮かんで笑えてくる」




「ちちうえ~、おじうえ~!この家の探検おわったー!広かったー!!」


「おかえり、ティクス。私はまだ見ていないんだがな…」


「おー、おかえり!じゃあ、ティクス。バーバラも含めて遊ぶか!」


「バーバラもあそぶ!」


「ははっ、一緒に遊ぼうな!そうだな?

七並べしようか!数字はもう読めるかな~?」


「読めるよ!ちちうえのようになるために、勉強頑張ってるもん!」


「バーバラも読める!母上が厳しいの…」


「そうかそうか!ティクスはアレクのようになるのかー、大変だぞ?

バーバラはエリザベスが厳しいのか?でも、嫌いじゃないんだろ?」


「お、おじうえ、た、たいへんなのですか!?」


「バーバラ、母上きらいじゃないよ!勉強がちょっといやなだけー」


「アレクはすごく厳しい面も見せるからなー。

コルネリウスも昔、泣かされたからな!」


「コルネリウスおじうえが…」


「バーバラは勉強が苦手かー。

じゃあ、なるべく楽しくできるように協力してやろう!

あとでエリザベスと一緒においで」


「うん、わかった!楽しく勉強したい!母上を後で連れてくるね!」



「よし!じゃあ、七並べだ!

父上、アレク、コルネリウス、お前たちも混ざれ!

こういうのは人数がいた方が楽しい!」


「おう、孫のためだ。真剣に楽しませてやろうではないか」

「わかった。子供でもわかるルールなんだろうな?」

「俺が泣いていたことを、さらっとバラさないでくれよ。兄上…」

「ははっ、すまんな。じゃあ、ルール説明するぞ?」



そうして、夕食まで七並べを楽しんだ。



夕食の前には、バーバラとエリザベスで面談した。

こうしたら勉強は楽しめると知育セットを渡した。

トランプでの数字の勉強方法も教えてあげた。

ブラックジャックなんて楽しく計算出来て、為になると思うんだよな。




夕食は鍋だ!

メイン食材に鶏団子を使って、旬の野菜やキノコ、豆腐をかつおと昆布の合せ出汁で炊いたものだ。

調理部門の和食『睡蓮』のドールさんがメインで頑張ってくれたぞ!


みんなで同じ鍋をつつきたいとこだったが…

さすがに人数が多いので、三卓に別れた。




子供たちは肉も野菜もバランスよく食べた。

野菜には出汁が染みていて、とても美味しいとのことだ。

鶏団子は柔らかい上に、出汁がしっかりと染みている。

子供たちも大人たちですら、一口食べた後は貪るように無言で食べていた。




そして、具材がなくなり、みんなホッと一息ついてるようだが…

これで終わりではないのだ。〆のうどんがある。


だが、子供たちはもう満腹~!と言って横になる。

横になっているところに行儀が悪いですよと怒られるまでがセットだ。


俺はそんな子供たちに、鍋の出汁をちょっと掬って、飲ませてやる。

子供たちの顔がビックリして明るくなるので、ここで説明だ。



「今、飲んだ出汁のうまさはわかったか?

それをこのうどんにたっぷりと吸わせる。その上で卵を回しかけてっと…」



これには大人たちも喉を鳴らせる。このビジュアルは食の暴力だもんな。



「まあ、この人数で食べるんだ。一人当たりの量は少ない。

少しくらい食べないか?ティクス、バーバラ?」

「た、たべる!」

「バーバラも!ちょっとなら食べられる!」


「私も頂こうかしら?」

「お義母さまが頂くなら、私も」

「こ、子供だけでは食べきれませんからね。残すのはもったいないですし!」


「そうだな。帰るのは明日の昼過ぎなんだろ?

女性陣は午前中に今日の食事分運動すればいい。それで解決だろ?」


「なんなら、その後のお風呂でシャンプーとかの使い方をまとめて教えるわ」




「そうね、動けばいいんだわ。明日の私が頑張ってくれるわ!」

「そうよ。カオル、なにか用意しておきなさいよ!」

「頑張って運動した後には、この家のお風呂を堪能できる…

カオルさん!マッサージもありますか!?」



そうして、男性陣は肩をすくめ、一緒になってうどんを食べたのだった。

女性陣がお風呂に先に入っている間に、男性陣でちょっとだけお酒を飲む。



「こうして年末に集まるのもいいものだな」


「父上、すでに来年もとせがまれていますよ」


「俺もです。妻が止まりそうにないです。主に兄上のせいで」


「そんなジト目を向けるなって、コルネリウス。

いいじゃないか、一年に一回だけだ。それくらい許されるさ」


「そうだな、年末に一度、だ。それくらい許される、うむ」


「ああ、私も来年が楽しみだ。仕事にも張りが出る」


「俺も妻や娘に尻に敷かれないようにしないとな」


『それは無理だな』


「なんだよ、三人揃って。頑張ればどうにか…」


『無理だな…』


「なんだよ、その実感のこもったため息は…」

「お前にもいずれわかるときがくる。俺のようになるぞ」

「くくっ、こればっかりはな。私にも無理だ」

「お前はまだ若いもんなあ、コルネリウス」




「来年は何鍋にしようかなあ?」


「なんだと?あれには種類があるのか?」


「ええ、ありますよ、父上。レシピを渡したいところなんですけど…

手に入らない材料があるので、だいたい再現不可なんですよね。

『ポン酢』は瓶だから、常温保存できるので渡してもいいのですが…」


「あの出汁とかいう奴か、こっちの世界にもありそうか?」


「どうですかねえ?海産物ですからね」


「海にはこの国も面しているが…

あのようなものが市場に流れているとは、私は聞いたことがないぞ」


「かつお節は難しいでしょうね。あれは結構複雑ですから。

昆布は市場にもあったという話は、俺は聞いたことがありますね。

もしかしたら昆布なら漁村だけで、消費されているかもしれませんね」


「ふむ。一度、視察に出るべきか」


「そういう視察は父上に任せますね。俺は次期王としての仕事があるので」


「ああ、リリーと視察という名目の旅行だ。楽しみだな」


「はあ、日焼け止めを要求されるな。これは」


「なんだ、兄上。また化粧品か?」


「みたいなものだ…」




『皆様方、奥様たちがお風呂から上がりました、入浴の準備を』


「ああ、ドール。ありがとう。

そうだ!どうせなら布団で寝るか、ベッドで寝るかを聞いておいてくれ。

これも彼らの経験だ」


『了解しました。マスターアカネに話を持っていき、相談させていただきます』


「なんだ?布団とは?」


「風呂の中で説明しますよ、父上。さあ、行きましょう」



ベッドか布団かを聞いてみた結果。

ティクスを含むアレクたちは布団で寝てみることになった。

バーバラは寝慣れたベッドがいいと言うので、コルネリウスたちもベッドだ。

コルネリウスは、ちょっとだけ布団を羨ましそうに見ていた。



翌日の午前中。

朝食を控えようとする女性陣に注意した。

この後燃やすための燃料がないということになると説明したのだ。

説明のおかげで、女性陣はしっかりと食べてくれた。


そして、食休みを挟み、始まるのがこれだ。

某教官によるスパルタ式の運動だ。

女性陣には動きやすいジャージに着替えてもらっている。



「きょ、教官、ま、待って、休ませて…」

「水が、水がありえないほどにおいしいわ…」

「もっと、自分を、追い込むのよ、エリザベス…」



と、息も絶え絶えという感じになっていた。

子供たちはそれを見て見ぬふりをした。


だが、しばらくすると、影響されたのだろう。

子供たちも体感訓練機で運動していた。

ティクスはこの後、女性陣とお風呂行きだな。

恥ずかしいだろうが、頑張れ。




そして、昼食前にお風呂に入ることになり、ティクスも連行されていた。

彼女たちの目的は各種化粧品だろうからな。

ほとんど放置されるさ。ティクス、よかったな。


それと、ドールさんたちによるマッサージ。

激しい運動をしたんだ。しっかりと筋肉を揉み解してもらうといい。

いつかは使うだろうと思って、マッサージ部屋も作っておいてよかったぜ。



昼食はせっかく燃やしたんだからと控えめだ。

とは言っても、栄養素は取らせる形でねばねば系の素麺だ。

女性陣は見た目に引いていたが…

一口食べたらこのねばねばがいいのねとズルズルと食べていた。


美容にもいいからな、の一言もでかかったようだがな。

バーバラも親の必死さを見て、いずれ自分もこうなるのかと、遠い目をしていた。



男性陣にはざるラーメンだ。

こちらもさっぱり系ではあるが、付け合わせでがっつりとさせた。

チャーシューや煮卵、極太メンマなどで堪能してくれたようだ。




昼食を食べ、食休みに入ると別れの時間が迫ってくる。

女性陣はお土産セットを受け取り、大いに喜んでいる。

そして、問題になったのが俺とアレクの秘密の文通手段だ。



「あなたたちに連絡手段があるのであれば。

私たちもアカネちゃんとの連絡手段を求めます!」


「アカネさんと連絡とることで、化粧品が確保できるのです!」


「もうシャンプーとリンス、ヘアオイルが手放せませんわ…」



アレクと視線を合わせ、父上を見る。

視線を逸らさないでください、父上!諦めないで!

コルネリウスはすでに遠い目。説得されたんだな、お前は…



「仕方ありませんよね、兄上…」

「これは仕方がないだろう、カオル…」



俺たちは根負けして、文通手段を説明することにした。

女性陣は勝ち取ったと誇らしい顔をしていた。






「いーやーだー!もうちょっと遊びたーい!」

「バーバラも、この子持って帰りたい」




別れの時間。

ティクスが我儘を言い、バーバラはスライムキャットを持っていこうとする。

うーん、スライムキャットくらいならいいんだが、地上での扱いがな。

それにスライムキャットは死なない。

命という情操教育にはよくないだろう。ここは心を鬼にする。



「ティクス、すまないな。俺たちも理由があって、ここに隠れているんだ。

ハッキリ言って、ここに長居されると困るんだ」


「理由があって、ここに隠れているの?僕たちがいると困るの?」


「ああ、困る。その理由は大きくなるにつれて、想像できるだろう。

そのときにはちゃんと説明する。

だから、今はお別れだ。わかってくれるな?」


「うん、わかった。帰る!また年末になったら来ていいんだよね?」


「よし、いい子だ。また年末に会おう。約束だ」


「うん、約束!」



これでティクスはよしっと。

アレクとティナは少し寂しい目をしているな。

いつかこの子が気づいた時には、簡単に説明してやってくれ。

その後は、責任もって自分たちでちゃんと説明するから。



次はバーバラだな。



「バーバラ、その子はうちの子なんだ。

地上に連れていかれると、おじさんたちが困るんだ」


「困るの?バーバラ、ちゃんと面倒見るよ?」


「それがダメなんだ。その子は面倒を見る必要がない。

自分のことは自分で出来るんだ」


「そうなの?」


「ああ。

だから、いつかバーバラが自分で面倒を見ないといけない子見かけたら…

親に相談して飼ってみなさい。

そして、命というものに触れてみなさい」


「いのち…?」


「ああ。とても、とっても尊いものだ。

この言葉をいつか思い出して、大事に命を育んでほしい」


「まだよくわかんない。けど、わかった。

いつか自分で生きていけない子を見かけたら助ける。

そして、大事に育てる」


「ああ、それでいい。

バーバラは悲しむかもしれないけど…

それでもその子はありがとうって、思っていることだけは忘れるなよ?」


「…?うん。バーバラ、忘れない」



よし、これでバーバラの問題は先送りになるが、解決っと。

あとは親の仕事だ。

これ以上は親の仕事を、俺が取り過ぎてしまう。

お前たちも一緒になって悩むんだぞ?

コルネリウス、エリザベス。




「では、父上、母上、みんな。お別れだ。また年末に」


「ああ、世話になったな。早く王位を譲って、楽をしたいもんだ」

「はあ、さすがに今日は帰らないとね。またね、カオルちゃん、アカネちゃん」


「帰ったら、ひな形に書式、印刷技術。やることが多いな、まったく。

これも年末に楽するためと諦めるしかないか…」

「アカネさん、化粧品ありがとう。なくなったら連絡するわね?」

「おじうえ!また年末に!約束だよ!」


「はあ。犬猫をそんな簡単に拾ってこられても、困るわ…」

「そのときはそのときさ。兄上が言う命の尊さを学ぶ、いい機会になるさ」

「またね、おじさん。ねんまつにまたその子に会いに行く」



「じゃあ、それぞれ扉を繋ぐな?また年末に!」






そうして、扉をくぐって、みんなが帰った。



「行っちゃったね?」

「ああ、これで静かになるな。寝正月にでもするか?」

「そうね。午前中頑張ったから、私も眠たいわ」

「一緒に昼寝でもするか~」

「ええ。たまにはいいでしょ」




俺たちが寝ようと思い、家の中に戻ろうとすると、隣人たちがやってくる。



「カオルさま、アカネさま!

昨日の美味しそうな香りはなんなんっすか!?

気になって、寝れなかったっすよ!!」

「ごめんなさいね、主人が。

でも、たしかに美味しそうな香りで、子供がそわそわしちゃって困ったわ」


「カオル様、アカネ様。新年おめでとうございます。

昨日の料理内容を教えてほしいのですが…」

「もう、あなたってば!

どうせ作るのは私でしょっ!食べたいのなら、手伝ってよね!?」


「カオル様、アカネ様。新年おめでとうございます。

昨日は陛下たちが来ていたのでしょう?

どんな料理で持て成したのか気になりましてな!」

「ちょっと、ヴォルクスさん!?図々しいですよ!

でも、私も気になります!

うちの子もそろそろ料理を教えてもいい頃合いなので…」




「~!お前たち!うるさい!今日は寝るって決めたんだ!

明日だ、明日!明日にしろ!」


「カオル~?私、先に寝るねー」


「あっ、ちょ、アカネさん!?」




「明日っすね!明日のいつぐらいっすか!?」

「いや、ペティさん?俺も手伝うから、ね?この通り!」

「カオル様、子供でも扱える包丁ってありますか?」


「だ~!俺ももう寝る!明日の夜だ、夜!

夕方前くらいに来い!以上だ、解散!!」




その後、こいつらにも鍋が数種類もあることを知られた。

その結果、年末から年始にかけては鍋を食べるハメになった。

俺たちはこの期間を、鍋週間と呼ぶようになったとさ。

作り方も教えたんだが…

結局みんなで集まって、ワイワイと食べる方がうまいと確信したね。



はあ、今年もやることは多いけど、何から手をつけよっかなあ?

年末が近づけば、何鍋にするかも考えないとか。

それも調理部門のドールさんと一緒になって相談しないとなあ。

いずれダークエルフの街に鍋専門店が出来るな、こりゃ。




はー、忙しい忙しいっと。もう今日はこれくらいでいいか!

帰りましょうったら、帰りましょ!

結局寝正月にもならんかったしな。

今日くらいはアカネと一緒になってゴロゴロするんだ!!


みんな、おやすみ!!



~完~

ま、間に合った…

この話が一番文字数多いですね。8000文字て・・・


この後、感想欄や検索キーワードの設定を行います。

前話の方から言っているように、

・面白い、面白くないは言われてもわからない。

・読んでいる間のキャラのこういうとこが好き!など。

・読みやすさにこだわってみてはいたので、こうしたら読みやすいのではないかというアイデア募集。

・面白かったよ!お疲れ様!目、大丈夫?などの労いは正直嬉しい。

なんて感じの感想をぜひぜひください!欲しがります、自分!


では、今後はプロローグからの改行修正、文章のおかしなとこ修正をメインにします。

後日談の追加話は書けるのかな?わかんないけど、できるように設定はしてみせます!

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