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【本編完結】異世界男の娘【連載版】  作者: 物部K
帝国との戦争

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戦場で語る思い出、ネックレス

Side コルネリウス


乾いた風が吹く。

今日は冷えるなと考え、小高い丘の上から敵陣の様子を遠眼鏡を使い眺める。

帝国の陣地は攻めあげるのみ、と言わんばかりに丸裸だ。

頭の悪い陣形にも見えるが…

こちらからすれば相手の数が数なだけに、それだけで恐怖するものだ。

自身の初陣がなんの誇りもない、ただ血が流れるだけの戦いだと報告で知った。

小さなころに描いていた心躍る戦というものは夢物語なのだと嫌でも理解した。

ため息をつき、遠眼鏡を下ろす。



そして、胸元から小さな魔石がついたネックレスを取り出す。

それを指で弄びながら、王都のある方向を遠くに眺める。

いつの間にか、隣にいた戦に慣れた大将と参謀が話しかけてくる。




「どうかしましたか、殿下。そのようなものを取り出して、遠くを見て」


「大将殿。

殿下はきっと、城に置いてきた大切な者たちのことを考えていたのでしょう」


「別に、これはエリーがくれたものじゃない。

ずっと昔にいたもう一人の、思い出の方がくれた大切なお守りだ」


「はっはっは、これは隅に置けませんな、殿下!

我らも昔、この方のためならと思っていた時期がありましたぞ。

その方のためにと、身体を鍛えていていましたな。なあ、参謀殿?」


「そうですな。今でも思い出せるほどの無邪気な笑い声をあげる方でしたな。

少々お転婆ではありましたが、あの方を守るんだと兵法を学んだものです」


「なんだ?お前たちがそれほど思える者があの城にいたのか?」



「ええ、いましたな。今はどこで何をしているのやら。

その方はいつも魔法訓練所に来ては、訓練所を弄り倒すのです。

それを元に戻すのに、まだ一兵士だった私はうんざりしていましたよ」


「ほお?訓練所の土を掘り返すほどか、その者は。

この戦場にいたら、さぞ優秀な魔法使いとして名をあげただろうに…」


「いえ、あの方にこのような戦場は似合いませんよ。

あの方の輝く無邪気な笑顔。叱られてバツの悪そうな顔。

怪我をしている我ら見つけては心配して、必死に治そうとする顔。

我らはこの方にこそ仕えようと思ったほどです」


「そうですな、大将殿。

あの方の伸ばし始めたであろう輝く『黒髪』に、瞳に見せる知性。

アレク殿下と何やら話して、アレク殿下が集中している間に土の要塞を満足そうに作りあげ、アレク殿下に叱られている姿には少々呆れてしまいましたがな」


「そんなこともあったな、くくっ。

…ですが、あの方はある日を境に、パタリと訓練所には顔を出さなくなりました」


「その後も城内で見かけることもなく、消えた我らの『姫殿下』。

今もどこかで我らを見守ってくれているのでしょうか…」




俺は遠くを見つめる二人の話を聞いて思ったのだ。

こんなところにも『思い出』として生きていたのかと。


あえて『彼女』と表現するが、彼女は彼女の大事な人と共にこの国を去った。

実際には近くにいると思っているのだが、俺にはそれがどこか見当もつかない。

ここ最近は母上も姿を消していると聞いている。

王宮のメイドたちが必死に探して、騒ぎになっていたのを覚えているからな。

だが、彼女たちはいつからか母上を探さなくなった。

恐らく、どこにいるのかがわかっているのだろう。

だから、きっと近くにいるはずなんだ。『彼女』たちは。



そういえば、エリーがお茶会でそれらしき人物と会ったと言っていたな。

その話を聞いた時は、もしかして勘違いされていたのか?と思ってしまった。

エリーを突き放し、あの帝国の女を侍らせていた時期だったからな。

だが、『彼女』はちゃんと見守ってくれているとわかり、俺は嬉しかった。

心配してくれているんだなと思えた。



もしかしたら、この戦場でも出会えるかもしれないと期待してしまう。

いや、甘えるのはやめよう。

これは、意味もない、誇りもない、ただ血が流れるだけの無為な戦いなのだ。

そんな浮ついた気持ちでいたら死ぬ。俺は死ぬわけにはいかないのだ。

俺の後ろにはたくさんの民が住む国があるのだから。



国を守るのだ。

父上の話を聞く限りは、帝国の奴らの非人道っぷりはひどいものだ。

そのような者たちを、この国に入れるわけにはいかない。

きっと、何もかも蹂躙される。

その中にはエリーも含まれてしまうかもしれない。

そんなことはさせない。決して。


守るのだ。

絶対にここから先には行かせない。

俺は強い意志を念じるように、願うようにネックレスの小さな魔石を握った。

わずかに魔石が温かくなったように感じる。

胸元に大事にネックレスをしまい、俺は二人に声をかける。




「戻るぞ、二人とも。その『姫殿下』のためにも、国を守らねばならぬのだから」

「そうですな、殿下。そのために我らは鍛えてきたのですから」

「ええ、磨き上げた兵法で奴らを蹂躙して見せましょう」






「奴らもそろそろ動き出しそうですな」

「我らも前に出ましょう」

「そうだな、陣を守るのは…」



「陣を守るのは私たちに任せなさい、コルネリウス」


「なっ、義姉上!?なぜここに!」


「アレクに願って、あなたのお手伝いをするためよ」


「殿下、きっと我らに発破をかけるためでしょう。これは…」


「参謀。だが、いくらなんでも義姉上を。

ティナ様をここに一人で残すのはまずいぞ。兄上は一体何を考えている…」


「大丈夫よ、コルネリウス。アレクも『共に』考えているわ。

近衛もちゃんと連れてきたのよ?」


「近衛と言ったって、たったの『七人』じゃないですか!?」


「あら?彼女たちのことを知らないの?

魔力量では、きっと私もあなたですらも勝てませんわよ?」


「なっ!?まさか!?」


「『わかった』でしょう?

魔法での探知、探索、感知は素晴らしいの一言に尽きるわ。

だから、私の心配はいらないわ、彼女たちが守ってくれるから。

あなたは後ろを気にせずに前を向きなさい」


「…わかりました。背中は任せます。ですが、お気をつけて。

いってきます、義姉上。いくぞ、お前ら!」


「ええ、いってらっしゃい」




「アレク、私たちの子をお願いね…」

「ティナ様、我らがついています」

「ティナ様には、指一本触れさせません」

「ティナ様に近づく者に死を!」


「大丈夫だよね、師匠?」

「ああ、先生との約束のために、こんなところで死ねるか」

「我らはまだやるべきことあるのだ」

「この程度の戦の陣地防衛など取るに足らぬ」




彼女たちは思い思いに大切な髪飾り、指輪に一度触れてから戦場を見やる。

そんな彼女たちに忍び寄る魔の手が近づいてるとは、誰も気づかずに。

最近書いてて思うのですが、拙い文章でもここまで書いてきたんだから、『完結』した時には感想がぜひ欲しいなと思っています。

面白いや面白くないでもなく、読みやすいとか読みにくいなって思った部分、きっと何かあると思うんです。

そういう感想が欲しいです。

あ、もちろん「お疲れ様です」とかそういう労いの一言でももらえると嬉しいです!

まだ面白い!と思わせられる自信はないんです。だから、読みやすい!と思わせることを意識してます。

なので『完結』した時には、この作品を読んだ感想をください!待ってます!

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