74.オネエをやめることになりそうです
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「あれっ。親父、来ていたんだ。」
3時間後ようやく解放された俺が居間に行くと親父とユウタたちが待っていた。
「その格好。エロっぽいな。」
思わず緩んでいた長襦袢の前合わせをキツく絞める。自意識過剰かも知れないがこの場に居る皆の視線に色欲を感じる。
「親父。息子にエロい視線を向けんな! 欲求不満かよ。」
「そうなんだよ。母さんがヤラセてくれなくて・・・・・・何を言わせる。それにしても、ここは相変わらず居心地悪い。」
相変わらず?
「親父。ここに来たことがあるのか。美人局にでもハメられたか?」
実は陽子さんのことを調べたときに親父の名前が出てきたのだ。タツヤが入学するときの推薦人になっている。
「お前・・・どうして・・・。ちっ・・・当てずっぽうかよ。」
カマを掛けてみるとズバリ核心をついたようだ。思わず笑みがこぼれてしまった。
「正直に話してね。場合によっては、母さんに報告するよ。」
親父くらいハンサムで金持ちならば周囲の女性は放っておかないだろう。妻が居ることも障害とは思って居ないに違いない。
「それだけは勘弁してくれ。母さんと付き合う前の話なんだがな。」
家で嫌になるほどイチャイチャしている両親を見せつけられてはいる。同じ高層マンションの賃貸よりもずいぶん広い分譲物件に移ってからは夫婦の寝室に籠もりっきりになることが多かった。
親父は母さんにベタ惚れだと解ったから、その辺りは疑っていない。更にお預けされても平気だなんてマゾなのかな。まあ性欲が少ないだけなんだろうけど。
「言い訳はいいから。」
親父から聞き出したところ、銀座のバーのホステスに入れあげたそうだ。何も欲しがらないホステスでそこが良かったそうだ。
ホテルに誘われ、ホイホイとついていったら、出てきたのはチンピラ風の男だったという。
そこへ現れたのがタツヤの父親で、銀座を荒らすヤツらをここを縄張りとするヤクザに引き渡していたそうだ。
「飲み友達だったんだ。銀座での遊び方もヤツに教えて貰ったな。それがあんなことになって。」
人のことは言えないがスジの人間とも友達になるなんて。度量が大きいというか何も考えて無いというか。まあ恩を感じていたのだろう。
「わざわざ、線香上げに来て下さったのよ。」
ビシッとした着物に着替えた陽子さんが隣に座る。ほんのり上気した頬の辺りが艶めかしい。
「奥さんはその頃、下のお子さんを身ごもっていらしたのに、今では息子の愛人かよ。何人娶るつもりだ?」
俺は陽子さんと目を合わすが話して無いみたいだ。
「バカなことを言うな親父。とうとうボケたか。」
「母さんから聞いたぞ。既に4人も居るそうじゃないか。もっと増えそうだと泣いていたぞ母さん。残るはグッと上の大年増・・・。」
親父は陽子さんに睨まれて首を竦める。怖いなら言わなきゃいいのに、何にも考えて居ないんだな。
「4人ってなんだ?」
「年下の美女だろ。同い年の美少女に年上の豊胸教師だろ。それに志保さん。」
指折り数えんな。
「志保さんは関係無いだろ。」
志保さんは期待するだけバカだ。あれで非常に身持ちは堅いのだ。誰もそうは思っていないが。
「本当か? 彼女の家に行ったきりで何時間も帰って来なかったそうじゃないか。」
志保さんの名前が出たとたん、周囲の温度がグッと下がった気がする。そういえば、ここには優子さんの家でもあるんだった。きっと部屋の外で聞いているのだろう。
「あれは食事を作ったり、演技の勉強をしていただけだよ。ほらボサボサ頭の志保さんを見て愕然としていたじゃないか。」
流石に半裸でマッサージをしていたとは言えない。優子さんの怒りの頂点など見たく無いからな。
勉強中の志保さんは本当に酷い。まあスッピンで1階のスーパーで買い物していても誰も気付かないけど。知っている人を見つけて挨拶されれば驚くわな。
何時もボサボサ頭の母さんは平気なのに美人女優のボサボサ頭は平気じゃなかったらしい。
「ところで学校から手紙が来ていたぞ。」
手渡された手紙は既に開封されている。用件はこれだったらしい。
「わざわざ持ってこなくても・・・た、退学・・・そんなバカな。」




