第7話 古代封印区画の階段を掃除しただけなのに、魔王軍幹部がドン引きする
推奨清掃レベル200。
レンはとりあえず、入口までの階段から掃除します。
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《新規清掃依頼》
《古代封印区画》
推奨清掃レベル:200
清掃達成報酬:???
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俺は表示を見つめた。
「推奨200か……」
現在。
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LV:44
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足りない。
全然足りない。
普通なら。
やめるべきなんだろう。
「レン」
後ろからゼルガが声をかけてきた。
「そこには入るな」
「まだ入らないですよ」
「……まだ?」
「先に階段を掃除します」
「そういう意味ではない!」
なぜ怒る。
汚れているから掃除する。
清掃員として普通だと思う。
俺はアブソリュートモップを構えた。
古代封印区画へ続く階段。
一段目。
埃がびっしり。
「じゃあ、ここから」
シュッ。
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《古代封印区画・第1階段を清掃》
MP+7820
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「お」
いい数字。
もう一段。
シュッ。
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MP+9110
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さらに。
シュッ。
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MP+10420
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「1万超えた」
「……何がだ?」
ゼルガが聞いてくる。
「なんでもないです」
「さっきから絶対何か起きてるだろ」
ガルドが小声で。
「聞かない方がいいですよ、ゼルガ様」
「なぜだ」
「疲れます」
ひどい。
俺はそのまま階段を下りていく。
シュッ。
シュッ。
シュッ。
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MP+8620
MP+12740
MP+11980
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ピロリン!
頭の中に、例の俺にしか聞こえない通知音が鳴った。
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《レベルが上がりました》
LV44 → LV47
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「47」
「……また上がったのか?」
ゼルガの顔が引きつる。
「はい」
「階段を掃除しただけで?」
「はい」
「……ガルド」
「はい」
「これは普通なのか?」
「普通なわけないでしょう」
即答された。
俺は気にせず進む。
階段は長い。
かなり長い。
しかも。
下へ行くほど。
埃が増えている。
「清掃しがいがあるな」
「お前だけ楽しそうなのが怖い」
ゼルガが呟いた。
さらに10段。
さらに20段。
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MP+14400
MP+15320
MP+13810
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ピロリン!
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LV47 → LV52
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「52」
ゼルガが止まった。
「待て」
「何です?」
「さっき44だったな」
「はい」
「今52?」
「はい」
「階段を掃除して?」
「はい」
沈黙。
「……意味が分からん」
俺も。
最初はそう思っていた。
でも。
もう慣れてきた。
掃除する。
魔力が増える。
レベルが上がる。
単純だ。
一番下が見えてきた。
巨大な扉。
黒い金属。
その表面には。
真っ赤な文字が浮かんでいる。
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《警告》
《古代封印区画》
侵入危険度:極大
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「極大か」
ゼルガの表情が変わる。
「ここまでだ」
「え?」
「この先は俺でも保証できん」
ゼルガ。
レベル82。
そんなゼルガでも危険。
なら。
やっぱり。
危ないんだろう。
俺は扉を見る。
そして。
気づいた。
「……汚れてる」
「またそれか!」
扉。
ものすごく汚い。
何百年放置したんだ。
黒い埃。
こびりついた何か。
赤黒い染み。
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《清掃可能》
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「可能って出てるんで」
「何が出てるんだ!」
俺はモップを伸ばす。
「レン!」
シュッ。
その瞬間。
ドオオオオオン!
階段全体が震えた。
「なっ!?」
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《古代封印扉を清掃》
《超高濃度残留魔力を吸収》
MP+48000
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「4万8000!?」
ピロリン!
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LV52 → LV59
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「7つ!」
ゼルガが。
完全に固まっている。
「お前……今」
「はい?」
「今の魔力」
「何です?」
「一瞬だけ」
ゼルガの額に汗が浮かぶ。
「俺より強くなかったか?」
「まさか」
俺はレベル59。
ゼルガは82。
まだ下だ。
たぶん。
「気のせいですよ」
「絶対気のせいではない!」
ガルドが横から言った。
「ゼルガ様」
「なんだ」
「諦めた方がいいです」
「何を」
「レンを理解することを」
失礼だな。
俺は扉の残りを掃除する。
シュッ。
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MP+52110
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シュッ。
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MP+49820
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ピロリン!
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LV59 → LV66
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「66」
ゼルガが黙る。
俺も黙る。
あと16。
もう。
ゼルガが見えてきた。
その時。
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《古代封印扉》
清掃完了率:100%
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カチッ。
扉から。
嫌な音がした。
「……あ」
「レン」
「はい」
「まさか」
「開きますね」
ギギギギギギ……。
巨大な扉が。
ゆっくりと開いていく。
暗闇。
そして。
奥から。
声がした。
『――誰だ』
低い。
地面が震えるような声。
ゼルガが大剣を抜く。
「下がれ!」
闇の中。
2つの赤い目が開いた。
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《封印個体を確認》
《古代殲滅兵・バルガス》
LV:150
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「150?」
ゼルガが息を呑む。
「そんなものが封印されていたのか……!」
俺は。
表示を見て。
その次の表示も見た。
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《清掃対象を確認》
《古代殲滅兵・バルガス》
清掃可能部位:
全身
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「……全身?」
ゼルガが俺を見る。
「レン」
「はい」
「なぜモップを構える」
「汚れてるので」
「そいつは掃除対象じゃない!」
表示には。
掃除対象と書いてある。
俺はアブソリュートモップを握った。
次の仕事。
決まった。
お読みいただきありがとうございます!
階段を掃除していただけなのに、レンはLV44からLV66へ。
そして古代封印区画の中にいたのは――
LV150《古代殲滅兵・バルガス》
ところがステータス上は、まさかの「清掃対象」。
次回――
レベル150の古代兵器をモップで掃除したら、一撃で終わった
清掃員にとっては、敵も汚れも大差ないようです。




