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第6話 魔王軍幹部が地下へ調査に来た結果、清掃員に威圧される

地下の異常を調査するため、ついに魔王軍幹部がやって来る。

もちろんレンは、今日も普通に掃除しているだけです。



魔王城上層。


地下から続く異常な魔力反応を受けて、1人の魔族が呼び出されていた。


「地下牢の調査、ですか」


低い声。


黒い軍服。


腰には大剣。


額には1本の角。


魔王軍第3部隊長。


ゼルガ・グランツ。


魔王軍の中でも、上位に数えられる実力者だった。


「反応は依然として上昇中です」


部下が水晶球を示す。


「一時的に魔王級を超えました」


「……魔王級を?」


ゼルガの眉が動いた。


「侵入者の可能性は」


「不明です」


「封印個体の復活は?」


「確認できていません」


「なら、直接見るしかないな」


ゼルガは大剣を背負い直した。


「俺が行く」


「お1人で?」


「地下牢程度なら問題ない」


そう言って。


ゼルガは地下へ向かった。


その頃。


俺は。


「うーん」


地下牢の床を見ていた。


新しく手に入れた。


==========


《神魔清掃具・アブソリュートモップ》


==========


これ。


とんでもなく便利だ。


軽く振るだけで。


シュッ!


==========


《広域清掃を実行しました》


==========


床が綺麗になる。


もう一度。


シュッ!


==========


《壁面を完全清浄化しました》


MP+2380


==========


「楽すぎる」


昨日まで。


ゴシゴシ。


ゴシゴシ。


ずっと手作業だった。


今は違う。


ひと振り。


それだけ。


「文明の利器ってすごいな」


「それを文明の利器って呼んでいいのか……?」


横でガルドが呟いた。


「便利ですよ?」


「神話級だぞ、それ」


「モップですけど」


「だから、その感覚がおかしいんだって」


ガルドはもう疲れている。


俺は気にせず。


牢屋の鉄格子を掃除する。


シュッ!


==========


MP+4120


==========


ピロリン!


==========


LV43 → LV44


==========


「また上がった」


「聞こえないふりしていいか?」


「どうぞ」


俺も。


だんだん驚かなくなってきた。


その時だった。


コツ。


コツ。


コツ。


階段から。


誰かが降りてくる。


ガルドが振り返った。


そして。


顔色が変わる。


「げっ」


「どうしました?」


「ゼルガ様だ」


「誰です?」


「お前、本当に何も知らねえな!?」


ガルドが小声で叫ぶ。


「魔王軍第3部隊長だよ!」


「偉い人?」


「ものすごく偉い!」


なるほど。


上司の上司みたいなものか。


やがて。


黒い軍服を着た男が現れた。


でかい。


ガルドよりさらに大きい。


背中には大剣。


見るからに強そうだ。


==========


《ゼルガ・グランツ》


種族:上位魔族


LV:82


==========


「82……」


強い。


今の俺は44。


倍近い。


ゼルガが俺たちを見る。


「ガルド」


「は、はい!」


ガルドの姿勢が一気に良くなった。


「地下で異常な魔力反応があった」


「そ、それは……」


ガルドが俺を見る。


やめて。


こっち見ないで。


「何か見なかったか」


「ええと」


「見たというか」


ガルドがまた俺を見る。


ゼルガの視線も。


俺へ向いた。


「……そいつは?」


「新入りの清掃員です」


「清掃員?」


ゼルガが俺を見る。


上から下まで。


じっくりと。


「人間か」


「はい」


「なぜ人間が魔王城にいる」


「清掃員として採用されたみたいです」


「みたい?」


「転生したらここにいたので」


ゼルガが黙った。


「意味が分からん」


俺もです。


「まあいい」


ゼルガが俺の横を通り過ぎようとする。


だが。


その瞬間。


ピロン。


==========


《固有スキル》


《魔王威圧》


発動条件を満たしました。


==========


「え?」


ドンッ!


空気が。


変わった。


「っ!?」


ゼルガが止まる。


ガルドも固まった。


「な、なんだ……?」


ゼルガの顔から。


血の気が引いていく。


俺は首を傾げた。


「どうしました?」


「お前……」


ゼルガが。


一歩。


下がった。


「今、何をした」


「何もしてませんけど」


「嘘をつけ」


「本当に何も」


俺はモップを持って立っているだけだ。


でも。


ゼルガの額には汗が浮かんでいる。


==========


《魔王威圧》


対象との魔力差を確認。


威圧効果:中


==========


「……あ」


これか。


「何か思い当たったか?」


「いや」


言わない方がいい。


絶対に。


「本当に清掃員か?」


「はい」


「そのモップは何だ」


「清掃用です」


「そんなわけあるか!」


最近。


よく言われるな。


ゼルガは俺から距離を取ったまま。


地下牢を見る。


「……ここを掃除したのもお前か?」


「はい」


「全部?」


「まだ途中です」


「途中?」


ゼルガが周囲を見る。


床は光っている。


壁も綺麗。


牢屋の鉄格子も。


錆ひとつない。


「これで途中なのか……」


「奥がまだ残ってます」


ゼルガの表情が引きつった。


「奥?」


俺は指を差す。


古代魔王の玉座があった部屋。


そして。


さらにその先。


昨日までは見えなかった。


長い階段。


地下へ。


まだ続いている。


ガルドも。


ゼルガも。


黙った。


「……あんな階段、あったか?」


ガルドが呟く。


「ない」


ゼルガが即答した。


「魔王城の地下構造図にも記載されていない」


「え?」


俺は階段を見る。


昨日。


秘宝庫の清掃を終えたあと。


壁の一部が消えて。


出てきた。


==========


《未清掃区域を確認》


《古代封印区画》


推奨清掃レベル:200


==========


「……200」


また増えた。


ガルドが嫌そうな顔をする。


「レン」


「はい」


「まさか」


「掃除しますよ?」


「やっぱりか!」


ゼルガが。


俺を見る。


「待て」


「はい?」


「そこは魔王軍でも存在を把握していない区画だ」


「そうなんですか」


「危険だ」


「でも」


俺は階段を見る。


埃。


すごい。


「かなり汚れてますよ」


「話を聞け!」


ゼルガの叫びが地下牢に響いた。


俺はモップを肩に担いだ。


推奨清掃レベル200。


俺は現在44。


まあ。


まだ届いてない。


でも。


ここまで。


レベルなんて。


掃除していれば勝手に上がった。


なら。


「先に、この階段からやるか」


ピロン。


==========


《新規清掃依頼を受注しました》


《古代封印区画》


==========


「え?」


依頼?


今までと違う。


==========


《清掃達成報酬》


???


==========


「……報酬付き?」


俺は。


少しだけ。


やる気が増した。

お読みいただきありがとうございます!


レンの《魔王威圧》、本人の意思とは関係なく発動しました。


そして新たに現れたのは、

推奨清掃レベル200《古代封印区画》


続きが気になった方は、ブックマーク・評価で応援していただけると嬉しいです!


次回――

古代封印区画の階段を掃除しただけなのに、魔王軍幹部がドン引きする


清掃員、まだ地下へ行きます。

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