第5話 古代魔王の秘宝庫を掃除したら、伝説級アイテムが出てきた
古代魔王の秘宝庫。
中に入っていたのは――まさかの清掃員専用装備でした。
古代魔王の玉座。
その清掃を100%完了した結果。
玉座の下から、巨大な宝箱が現れた。
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《隠し報酬を発見しました》
《古代魔王の秘宝庫》
清掃達成報酬
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「……掃除しただけで宝箱って出るんだな」
俺は宝箱を見つめた。
黒い金属でできている。
表面には古い文字。
鍵もついている。
見るからにヤバそうだ。
そして。
とにかく。
「汚い」
埃だらけだった。
「レン」
後ろでガルドが疲れた声を出す。
「まさかと思うが」
「はい」
「それも掃除する気か?」
「もちろんです」
「だよなあ……」
もう止める気もないらしい。
俺はモップを置き、雑巾を手に取った。
まずは蓋。
キュッ。
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《古代魔王の秘宝庫を清掃しました》
MP+8420
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「8420」
もう驚かなくなってきた。
いや。
本当は驚く数字なんだろうけど。
さっき3万を見たせいで感覚がおかしい。
次。
側面。
キュッ。
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MP+7650
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次。
取っ手。
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MP+9120
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ピロリン!
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《レベルが上がりました》
LV30 → LV34
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「4つ上がった」
「……今また上がったのか?」
ガルドが聞いてくる。
「はい」
「いくつだ」
「34です」
「聞かなきゃよかった」
どういう反応だ。
俺はそのまま宝箱を磨く。
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《清掃完了率》
62%
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「まだ結構あるな」
「いや、もう十分だろ」
「中途半端は気持ち悪いです」
「お前の掃除への執念が一番怖えよ」
俺は無視して続ける。
角。
底。
金具。
細かい隙間。
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MP+3810
MP+5220
MP+6740
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ピロリン!
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LV34 → LV37
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そして。
最後。
鍵穴の周り。
細いブラシで埃をかき出す。
キュッ。
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《清掃完了》
古代魔王の秘宝庫
100%
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カチッ。
「ん?」
宝箱の鍵が。
勝手に外れた。
「おい」
ガルドが一歩下がる。
「それ、開くぞ」
「みたいですね」
「いや、待て」
「何です?」
「古代魔王の秘宝庫だぞ?」
「はい」
「絶対ロクなもん入ってねえだろ!」
確かに。
でも。
俺は宝箱を見る。
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《開封可能》
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「開けます」
「待てって!」
俺は蓋に手をかけた。
ゴゴゴゴゴ……。
重い音と共に、宝箱が開く。
中から。
眩しい光が溢れた。
「うわっ!」
俺は目を細める。
光が収まる。
そして。
宝箱の中にあったものを見て。
首を傾げた。
「……棒?」
「棒じゃねえ!」
ガルドが叫ぶ。
中に入っていたのは。
長い黒銀色の柄。
先端には白い繊維のようなものがついている。
どう見ても。
「モップじゃないですか」
「それをモップって呼ぶな!」
じゃあ何だ。
触れてみる。
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《神魔清掃具・アブソリュートモップ》
等級:神話級
攻撃力:12000
魔力:+50000
固有効果:
《魔力吸収効率+50%》
《清浄化効果+200%》
《破損無効》
《自動洗浄》
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「…………」
二度見した。
もう一度見る。
変わらない。
攻撃力。
12000。
今まで使っていたモップは。
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攻撃力:1
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だった。
「1から12000……」
「何がだ?」
「なんでもないです」
絶対言わない。
今度こそ。
俺は新しいモップを持ち上げる。
軽い。
見た目よりずっと軽い。
手に馴染む。
まるで最初から俺専用だったみたいだ。
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《装備条件を満たしました》
《職業:清掃員》
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「清掃員専用?」
なんだそれ。
ガルドが恐る恐る近づいてくる。
「レン」
「はい」
「それ、本当にモップなのか?」
「ステータスには清掃具って書いてあります」
「絶対ただの清掃具じゃねえだろ!」
それは俺もそう思う。
試しに。
床の埃を軽く払ってみる。
シュッ。
その瞬間。
ブワアアアアア!
部屋全体に光が走った。
「なっ!?」
黒い霧が一気に消える。
床。
壁。
天井。
部屋中の汚れが。
全部。
消えた。
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《広域清掃を実行しました》
《対象エリアを完全浄化》
MP+45800
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「4万!?」
ピロリン!
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LV37 → LV43
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「6つ上がった!」
「またか!?」
ガルドが頭を抱える。
「もう勝手にしてくれ……」
俺はアブソリュートモップを見る。
これは。
ヤバい。
ただの掃除道具じゃない。
「でも」
握り心地は悪くない。
「仕事は楽になりそうだな」
「そこかよ!」
その時。
魔王城上層。
巨大な会議室。
何人もの魔族が集まっていた。
中央。
水晶球が激しく点滅している。
「まただ!」
黒鎧の魔族が叫ぶ。
「地下から異常な魔力反応!」
「数値は!?」
「上昇中!」
「ありえん!」
別の魔族が水晶球を睨む。
「この反応……魔王級を超えているぞ!」
ざわめきが広がる。
「地下牢に何がいる?」
「封印個体か?」
「侵入者では?」
その時。
奥に座っていた男が立ち上がった。
赤い瞳。
黒い角。
部屋の空気が一瞬で静まる。
魔王城を統べる者。
現魔王。
ヴァルグレン。
「……確認しろ」
低い声だった。
「地下で何が起きている」
「はっ!」
兵士たちが動き出す。
その頃。
俺は。
そんなことになっているとは知らず。
新しいモップを眺めていた。
「これなら地下牢、今日中に全部終わるかもな」
俺の仕事は。
まだまだ残っている。
お読みいただきありがとうございます!
レン、ついに神話級装備
《神魔清掃具・アブソリュートモップ》を手に入れました。
そして地下の異常を、ついに魔王城上層が察知。
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次回――
魔王軍幹部が地下へ調査に来た結果、清掃員に威圧される
レン本人は、何もしているつもりがありません。




