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第4話 推奨清掃レベル100の玉座を掃除したら、レベルが一気に上がった

推奨清掃レベル100。

でも、汚れているなら掃除するしかない。


黒い扉の向こう。


そこには、巨大な玉座があった。


真っ黒な石で作られている。


背もたれには禍々しい角。


肘掛けには獣の頭。


どう見ても、普通の椅子じゃない。


そして。


==========


《古代魔王の玉座》


推奨清掃レベル:100


==========


「……100」


俺のレベルは6。


差は94。


普通に考えれば、触らない方がいい。


絶対に。


「レン」


後ろからガルドの声がする。


「近づくな」


「やっぱり危ないですか?」


「危ないなんてもんじゃねえ」


ガルドの顔は真剣だった。


「この魔力……俺でも近づくだけで気分が悪くなる」


確かに。


部屋の中には黒い霧のような魔力が漂っている。


でも。


俺には。


==========


《吸収可能》


==========


としか見えない。


「……掃除だけなら」


「するな」


「でも埃が」


「埃は今どうでもいい!」


ガルドが叫ぶ。


俺は玉座を見る。


確かに汚い。


座面には分厚い埃。


背もたれには黒い染み。


床にも灰のようなものが積もっている。


「これ、放置したらダメですよ」


「お前、清掃員として妙に真面目だな!?」


「仕事なんで」


俺はモップを持ち直した。


「レン!」


「ちょっとだけです」


「その言葉が一番信用できねえ!」


まず。


玉座の前の床。


ゴシッ。


ピロロロロン!


==========


《古代魔王級残留魔力を吸収しました》


MP+3120


==========


「……3120?」


いきなり。


昨日の総量を軽く超えた。


もう一度。


ゴシゴシ。


==========


MP+2874


==========


「待て待て待て」


おかしい。


完全におかしい。


ピロリン!


==========


《レベルが上がりました》


LV6 → LV8


==========


「2つ!?」


まだ床を2回拭いただけだぞ。


「レン、何が起きてる?」


「ちょっとレベルが」


「上がったのか!?」


「はい」


「掃除で!?」


「はい」


ガルドが頭を抱えた。


「もう何が普通なのか分からなくなってきた……」


俺もです。


でも。


まだ終わってない。


次。


玉座の肘掛け。


雑巾でひと拭き。


ピロロロロロン!


==========


《古代魔王の残留魔力を吸収しました》


MP+5210


==========


「5000!?」


ピロリン!


==========


LV8 → LV11


==========


「3つ上がった!」


ガルドが目を見開く。


「お前、今なんて言った?」


「なんでもないです」


「絶対なんでもなくねえだろ!」


俺は無視した。


次。


背もたれ。


ゴシゴシ。


==========


MP+6840


==========


ピロリン!


==========


LV11 → LV14


==========


「……やば」


もう。


完全に止まらない。


掃除すればするほど。


数字が跳ねる。


==========


MP+4912


LV14 → LV16


==========


==========


MP+7330


LV16 → LV19


==========


==========


MP+6021


LV19 → LV21


==========


「21……」


昨日まで。


俺はレベル1だった。


たった2日で。


21。


「レン」


「はい」


「さっきから何をブツブツ言ってる」


「数えてます」


「何を」


「レベルを」


「…………」


ガルドの顔が引きつった。


「今、いくつだ」


「21です」


「は?」


「21」


「朝は?」


「4でした」


「…………」


沈黙。


「嘘だろ」


「俺もそう思います」


「なんで掃除しただけで17も上がってるんだよ!」


「分かりません」


「お前、そればっかりだな!」


でも本当に分からない。


ただ。


ひとつだけ分かる。


「この玉座……まだ汚れてるな」


「お前、まだやるのか!?」


「途中でやめる方が気持ち悪いです」


「命より掃除を優先するな!」


俺は玉座を見る。


座面。


一番汚れている。


そこだけ。


黒い何かがこびりついていた。


血?


焦げ?


いや。


違う。


近づくと。


文字が出た。


==========


《古代魔王の呪血》


危険度:極大


《清浄化》使用推奨


==========


「極大?」


嫌な言葉だ。


でも。


清浄化推奨。


つまり。


掃除できる。


「清浄化」


俺が手を向ける。


淡い光が広がった。


黒い汚れが。


ジュウウウウ……。


音を立てて消えていく。


その瞬間。


部屋全体が揺れた。


ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!


「な、なんだ!?」


ガルドが叫ぶ。


そして。


今までで一番大きな音。


ピロロロロロロロロロン!


==========


《古代魔王の呪血を完全浄化しました》


MP+30000


==========


「さん……」


俺は目をこする。


「3万!?」


ピロリン!


==========


《大量の魔力吸収を確認》


LV21 → LV30


==========


「30!?」


一気に9。


さらに。


==========


《特殊条件を達成しました》


《古代魔王の呪血を浄化》


《固有スキルを獲得します》


==========


来た。


まただ。


==========


《固有スキル》


《魔王威圧》


自身より大幅にレベルの低い対象を威圧する。


弱い魔物は戦闘不能になることがある。


==========


「魔王威圧……」


清掃員なのに。


どんどん清掃員から離れてる気がする。


いや。


元は全部掃除だ。


多分。


その時。


さらに表示が出た。


==========


《清掃完了率》


古代魔王の玉座


99%


==========


「99?」


あと1%。


どこだ?


俺は玉座を見る。


座面。


背もたれ。


肘掛け。


全部綺麗だ。


「……あ」


見つけた。


玉座の一番下。


脚の裏。


小さな黒い汚れ。


「ここか」


「レン?」


俺はしゃがみ込む。


雑巾で。


ひと拭き。


キュッ。


==========


《清掃完了》


古代魔王の玉座


100%


==========


次の瞬間。


ズズズズズズ……。


「え?」


玉座が。


動いた。


「レン、下がれ!」


床が割れる。


玉座の下から。


何かがせり上がってくる。


黒い。


巨大な。


宝箱。


==========


《隠し報酬を発見しました》


《古代魔王の秘宝庫》


清掃達成報酬


==========


「……掃除しただけで宝箱?」


ガルドが固まっている。


俺も固まった。


そして。


宝箱の蓋に。


また。


埃が積もっている。


俺はモップを見る。


「……これも掃除対象?」


==========


《YES》


==========


「だよな」


「何がだよ!?」


俺は宝箱へ近づいた。


掃除すれば。


レベルが上がる。


スキルが増える。


そして。


今度は。


宝まで出てきた。


清掃員。


思っていたより。


ずっといい職業かもしれない。

お読みいただきありがとうございます!


レベル6だったレン、玉座を掃除しただけでレベル30へ。


そして今度は、まさかの「清掃達成報酬」が出現しました。


続きが気になった方は、ブックマーク・評価で応援していただけると嬉しいです!


次回――

古代魔王の秘宝庫を掃除したら、伝説級アイテムが出てきた


清掃員、ついに装備までおかしくなります。

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