第29話 世界最強になったので、今度は世界中の清掃依頼をまとめて片づけます
LV999になったレン。
緊急依頼3件を午前中で終わらせても、まだ残りは8469件。
なら――
まとめて掃除します。
魔王城清掃部。
午前中に緊急依頼を3件終わらせた俺は、再び大量の依頼書を見ていた。
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《未処理依頼》
8469件
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「減ってないな」
「3件しかやってねえからな」
ガルドの言う通りだった。
緊急依頼は終わった。
でもその下には、
高:18件。
中:420件。
低:8031件。
まだ山ほど残っている。
「これ、全部行くの無理ですよね」
「普通はな」
「普通じゃなかったら?」
ガルドが俺を見る。
「嫌な聞き方するな」
俺はステータスを開いた。
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職業:《世界清掃員》
LV:999
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世界清掃員。
世界そのものを清掃対象として認識できる。
そして俺には、
《超広域清掃》
もある。
「もしかして」
世界地図を表示する。
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《清掃依頼地点を表示》
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赤。
黄。
青。
無数の光点が世界中に現れた。
「全部見えるな」
「まさかお前……」
ガルドが嫌そうな顔をする。
俺はアブソリュートモップを持った。
「まとめてできないかな」
「できたら清掃員って何なんだよ」
俺にも分からない。
でも試すだけならタダだ。
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《世界清掃員》
《超広域清掃》
《世界規模清掃》
実行可能
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「できるみたいです」
「できるのかよ!」
新しい表示が出る。
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《対象指定》
現在受注中の清掃依頼
8469件
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《一括清掃しますか?》
YES/NO
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「便利だな」
迷わずYESを押す。
「待てレン!」
「はい?」
「お前、それ本当に大丈夫なのか?」
「何がです?」
「8469件だぞ!」
「でも清掃対象って出てますよ」
「そういう問題じゃ――」
もう押した。
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《世界規模清掃》
開始
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アブソリュートモップが光る。
次の瞬間。
魔王城から白い光が空へ伸びた。
そこから何千もの細い光へ分かれ、世界中へ飛んでいく。
王国北部。
100年以上放置されていた呪われた古城。
「また呪いが!」
騎士たちが身構えた瞬間。
白い光が降り注ぐ。
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《呪われた古城》
完全清掃
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「……消えた?」
南方帝国。
何世代にもわたって残っていた瘴気の谷。
白い光が通過する。
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《古代瘴気》
完全除去
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「空が……青い」
竜王国。
巨大な古代竜が自分の鱗を見る。
『この呪詛は1000年消えなかったはず……』
キラッ。
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《古代竜》
呪詛除去完了
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『……消えた』
海底王国。
藻だらけだった王宮。
シュン!
一瞬で真っ白になる。
「王宮が!」
「藻が全部消えたぞ!」
「誰が!?」
もちろん俺だ。
たぶん。
さらに。
魔王城。
玉座の間。
魔王ヴァルグレンが右の肘掛けを見る。
「……汚れが消えた」
ゼルガがため息をついた。
「まさか」
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《清掃依頼達成》
玉座の右肘掛け
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「本当にやったのか」
勇者レオン。
王都。
聖剣を磨こうとしていたところへ光が落ちる。
キラン。
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《聖剣定期清掃》
完了
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レオンはしばらく聖剣を見た。
「……頼んだけどさ」
世界中。
次々と清掃が終わっていく。
呪い。
瘴気。
埃。
泥。
油。
苔。
魔力汚染。
全部。
対象になっているものだけが綺麗になっていく。
魔王城清掃部では、表示がものすごい勢いで流れていた。
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《清掃依頼達成》
《清掃依頼達成》
《清掃依頼達成》
《清掃依頼達成》
《清掃依頼達成》
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「速すぎて読めない」
ガルドはもう黙っていた。
数十秒後。
ピロン。
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《世界規模清掃》
完了
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《本日の清掃依頼》
8469/8469
完全達成
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「終わった」
ガルドがゆっくり俺を見る。
「全部?」
「はい」
「世界中?」
「たぶん」
「午前中に?」
時計を見る。
昼前。
「そうですね」
ガルドは椅子に座った。
「もう清掃部いらなくねえか?」
「困ります」
「なんでだよ」
「俺の職場なくなるじゃないですか」
「世界最強だろ、お前!」
「清掃員ですけど」
そこは変わらない。
俺は依頼書の山を見る。
さっきまで部屋中を埋めていた紙。
全部処理済みになっている。
これでようやく。
普通の仕事に戻れる。
そう思った時。
ピロン。
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《世界清掃員》
《特別報酬》
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「まだ何かある」
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《世界中の清掃依頼を達成しました》
報酬:
《万能清掃権》
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「何それ」
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《万能清掃権》
使用者が「汚れ」と認識したものを、
清掃対象として処理可能。
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「今までとそんなに変わらない気がする」
「絶対変わってるだろ!」
ガルドが叫ぶ。
でも。
今のところ使う予定はない。
世界は綺麗。
依頼も全部終わった。
ようやく静かになった。
「じゃあ」
俺はモップを持つ。
「通常業務に戻ります」
「まだ掃除するのか」
「仕事ですから」
ガルドが笑った。
「世界を全部掃除した直後に言うことじゃねえな」
「でも魔王城、まだ全部終わってないですよ」
「……そうだったな」
そう。
世界を綺麗にしても。
俺の仕事は終わっていない。
魔王城には、まだ掃除する場所がある。
俺は清掃予定表を開いた。
明日の担当場所。
地下。
第7廊下。
「……懐かしいな」
俺が最初に掃除した場所だった。
お読みいただきありがとうございます!
世界中の清掃依頼、
8469件。
まとめて完全清掃。
ついにレンは、世界最強どころか
世界全部を一括で掃除できる清掃員
になりました。
そして次回、最終話。
すべての始まりだった魔王城地下第7廊下へ戻ります。
最後まで、いつも通り掃除します。




