第27話 顔の汚れをひと拭きしたら、レベル999になりました
世界汚染率0%。
レンLV998。
最後に残った汚れは――本人の頬でした。
翌朝。
魔王城清掃部。
俺は鏡の前に立っていた。
頬には、昨日から残っている小さな黒い汚れ。
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《清掃対象》
《レン》
自己汚染度:0.1%
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そして俺のレベルは、
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LV:998
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あと1。
世界中の汚れを掃除して。
邪神も。
黒天柱も。
虚無王も。
王都も。
海も。
空も。
全部綺麗にして。
最後に残ったのが、自分の頬だった。
「……これか」
横でガルドが呆れた顔をしている。
「昨日のうちに拭けよ」
「勤務時間終わってたので」
「世界最強まであと1で帰るやつがあるか!」
「ありますね」
「お前だけだよ!」
俺は鏡を見る。
頬の汚れ。
本当に小さい。
これをひと拭きすれば。
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《到達予測》
LV998
↓
LV999
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「999か」
さすがに少しだけ緊張する。
ここまで来るとは思ってなかった。
最初はLV1だった。
職業は清掃員。
武器はモップ。
それが今では、世界中を掃除してLV998。
「じゃあ」
俺は雑巾を持った。
「拭きます」
「宣言いらねえよ」
頬に当てる。
キュッ。
汚れが落ちた。
一瞬。
何も起きない。
「……あれ?」
次の瞬間。
ピロロロロロロロロロロロン!
「長い!」
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《自己清掃完了》
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《世界汚染率》
0%
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《メイン清掃クエスト》
《世界を清掃せよ》
完全達成
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そして。
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《レベルが上がりました》
LV998
↓
LV999
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「…………」
表示をじっと見る。
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LV:999
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本当に上がった。
「999」
ガルドが俺を見る。
「上がったのか?」
「はい」
「いくつだ」
「999です」
「…………」
ガルドはしばらく黙っていた。
「何です?」
「いや」
頭を掻く。
「もう驚くの疲れた」
ひどい。
でも表示はまだ終わらない。
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《LV999到達》
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《世界上限レベルへ到達しました》
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「上限?」
さらに続く。
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《称号獲得》
《世界最強》
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「そのままだな」
効果も表示される。
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《世界最強》
この世界に存在する全生命体に対し、
基礎能力値で上回る。
全状態異常無効。
全属性耐性MAX。
全清掃スキル効果+999%。
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「最後だけ清掃なんだ」
まあ、俺は清掃員だからいいけど。
さらに新しい表示が出る。
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《職業進化条件を達成》
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「職業?」
自分のステータスを見る。
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職業:清掃員
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これが変わるらしい。
勇者。
賢者。
英雄。
魔王。
そんな職業になるんだろうか。
正直、あまり変わってほしくない。
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《職業進化》
清掃員
↓
世界清掃員
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「…………」
変わった。
でも思ったより変わってない。
ガルドが聞く。
「どうした」
「職業変わりました」
「何になった」
「世界清掃員です」
「なんだそれ」
俺も知らない。
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《世界清掃員》
世界そのものを清掃対象として認識可能。
汚染・呪詛・瘴気・邪気・空間異常を清掃可能。
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「便利そうですね」
「お前、もう十分便利だろ」
それもそうか。
その瞬間。
ドンッ!
魔王城が大きく揺れた。
「今度は何だ!?」
ガルドが窓を見る。
空が光っている。
さらに遠くから、いくつもの鐘の音が響いてきた。
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《ワールドアナウンス》
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「え?」
嫌な予感がする。
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《世界初》
《LV999到達者が誕生しました》
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「ちょっと待って」
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《到達者》
レン
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「名前出すな!」
遅かった。
世界中に通知された。
その頃。
人間王国。
王宮。
国王が椅子から立ち上がる。
「レン殿!?」
勇者レオンは表示を見て頭を抱えた。
「やっぱり行ったか……」
王国魔導士たちも騒ぎ始める。
「LV999!?」
「世界上限!?」
「本当に人間なのか!?」
魔王城。
玉座の間。
魔王ヴァルグレンも同じ表示を見ていた。
「……999」
隣にいたゼルガが深いため息をつく。
「陛下」
「何だ」
「もうレンを戦力換算するのはやめませんか」
ヴァルグレンは少し考えた。
「同感だ」
大神殿では、大神官が祈りを止めていた。
「世界最強……」
各地の冒険者。
騎士。
魔族。
商人。
全員が同じ表示を見る。
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《世界最強》
レン
職業:世界清掃員
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「世界清掃員?」
「何だそれ?」
「誰だ?」
「清掃員なのにLV999?」
世界中がざわついている。
一方。
本人。
俺は頭を抱えていた。
「最悪だ」
ガルドが笑う。
「何が」
「絶対、また人来ますよね」
「来るだろうな」
「仕事増えるじゃないですか」
「世界最強になった感想がそれかよ」
だって俺は、戦いたかったわけじゃない。
偉くなりたかったわけでもない。
世界最強になりたかったわけでもない。
ただ掃除していただけだ。
その結果が、
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LV:999
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それだけ。
「まあ」
俺はアブソリュートモップを持った。
「今日の仕事やりますか」
ガルドが目を丸くする。
「まだやるのか?」
「途中なんで」
清掃部の倉庫。
昨日、世界最後の汚れを見つけた場所。
世界は綺麗になったけど、倉庫そのものはまだ少し散らかっている。
「広域清掃」
シュッ!
白い光が倉庫を包む。
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《魔王城清掃部倉庫を完全清掃》
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レベルは上がらない。
当然だ。
もう999だから。
でも床は綺麗になった。
棚も。
バケツも。
掃除道具も。
全部綺麗。
俺はその光景を見る。
「よし」
こっちの方が。
少し嬉しい。
世界最強になっても。
結局。
俺は清掃員だった。
お読みいただきありがとうございます!
ついに。
LV999。
タイトル回収です!
さらに称号、
《世界最強》
職業、
《世界清掃員》
を獲得。
そして世界中に名前まで公開されました。
次回――
レベル999の清掃員に、世界中から依頼が殺到しました
世界最強になっても、仕事は増えます。




