第26話 世界に残った3.1%の汚れを掃除したら、レベル998になりました
世界汚染率、残り3.1%。
LV999まで、あと12。
レンは世界中の「残り汚れ」を片っ端から掃除します。
世界汚染率。
==========
3.1%
==========
そして俺のレベルは、
==========
LV:987
==========
999まで、あと12。
「3.1%か」
数字だけ見れば少ない。
でも、世界全体の3.1%だ。
普通に考えればかなり広い。
視界に表示を出す。
==========
《世界汚染残存地点を検索》
==========
世界地図の上に、赤い点が次々と浮かんだ。
海。
山。
砂漠。
氷原。
遺跡。
地下。
「結構あるな」
隣で元虚無王のネグラが地図を見ている。
『貴様、本当に全部やるのか』
「はい」
『世界中だぞ』
「汚れてますから」
『……聞くまでもなかった』
理解が早い。
俺はアブソリュートモップを握った。
==========
《空間移動》
==========
「順番に行きますか」
最初は大陸北部。
永久氷原。
シュン!
景色が一瞬で変わる。
どこまでも続く白い大地。
その中に、一か所だけ真っ黒な場所があった。
==========
《古代汚染氷床》
汚染度:100%
==========
「分かりやすいな」
俺はモップを振る。
「超広域清掃」
シュッ!
白い光が氷原を走った。
黒く染まっていた氷が、次々と本来の色へ戻っていく。
==========
《古代汚染氷床を完全清掃》
MP+80,000,000
==========
ピロリン!
==========
LV987 → LV990
==========
「990」
あと9。
次は西方砂漠。
シュン!
転移した先では、巨大な黒い砂嵐が渦巻いていた。
==========
《呪砂嵐》
汚染度:100%
==========
「これも掃除対象か」
砂嵐そのものを掃除するというのも、よく考えると変な話だ。
でも表示が出ている。
なら掃除できる。
「清浄化」
シュッ!
モップを振った瞬間、黒い砂嵐が白い光に包まれた。
風が止まる。
舞っていた砂が地面へ落ち、本来の黄金色へ戻っていく。
==========
《呪砂嵐を完全清掃》
MP+94,000,000
==========
ピロリン!
==========
LV990 → LV992
==========
「あと7」
次。
海。
シュン!
目の前に広がった海は、何百キロ先まで黒く染まっていた。
==========
《深海瘴気汚染》
汚染度:91%
==========
「海も掃除できるのかな」
==========
《清掃可能》
==========
できるらしい。
「超広域清掃」
シュッ!
海面から白い光が広がる。
黒かった海が、遠くから順番に青さを取り戻していった。
==========
《深海瘴気汚染を浄化》
MP+103,000,000
==========
ピロリン!
==========
LV992 → LV994
==========
「あと5」
そこから先も早かった。
古代遺跡。
地下迷宮。
死霊平原。
長い年月をかけて溜まった汚染を、片っ端から掃除していく。
==========
《世界汚染率》
3.1%
↓
2.2%
↓
1.4%
↓
0.8%
==========
ピロリン!
==========
LV994 → LV996
==========
「あと3」
ここまで来ると、さすがに気になってくる。
LV999。
到達したら何が起きるんだろう。
次の残存地点へ向かう。
シュン!
そこは小さな無人島だった。
青い海。
白い砂浜。
緑の森。
見た限りでは普通に綺麗だ。
「どこだ?」
==========
《汚染源を検索》
==========
矢印が出た。
下。
「地面?」
矢印の場所まで歩き、モップの柄で地面を突く。
ズボッ。
土の中から、小さな黒い石が出てきた。
==========
《古代汚染鉱石》
汚染度:100%
==========
「これか」
表面を軽く拭く。
キュッ。
==========
《古代汚染鉱石を完全浄化》
==========
ピロリン!
==========
LV996 → LV997
==========
「あと2」
世界汚染率を確認する。
==========
《世界汚染率》
0.3%
==========
「0.3%」
本当にあと少しだ。
もう一度検索する。
==========
《残存汚染地点》
1件
==========
「1件?」
表示された場所を見る。
魔王城。
「……魔王城?」
最初にいた場所だ。
俺は空間移動を使った。
シュン!
次の瞬間、魔王城清掃部の前に立っていた。
ちょうどガルドが廊下を歩いてくる。
「おう。戻ったか」
「戻りました」
「世界はどうなった」
「あと0.3%です」
ガルドは特に驚かなかった。
「そうか」
慣れすぎじゃないだろうか。
俺は表示を確認する。
矢印は清掃部の奥を指していた。
「こっちか」
「何がだ?」
「世界最後の汚れです」
「うちにあるのかよ!?」
矢印の先は倉庫だった。
嫌だな。
俺たちの職場に世界最後の汚れがあるらしい。
扉を開ける。
中には掃除道具が山積みになっていた。
古い棚。
バケツ。
使わなくなったブラシ。
壊れたモップ。
その一番奥。
床に小さな黒い染みがあった。
==========
《世界汚染最終残存地点》
==========
「これ?」
小さい。
かなり小さい。
ガルドも横から覗き込む。
「ただのシミじゃねえか」
「そう見えますよね」
==========
《汚染度:100%》
==========
でも100%。
「じゃあ掃除します」
この程度ならモップを使うまでもない。
近くにあった雑巾を取る。
キュッ。
==========
《世界汚染最終残存地点を浄化》
==========
ピロリン!
==========
LV997 → LV998
==========
「…………」
止まった。
998。
もう一度確認する。
==========
LV:998
==========
あと1。
世界汚染率は、
==========
0%
==========
全部掃除した。
なのに999じゃない。
「ガルドさん」
「なんだ」
「世界、全部綺麗になりました」
「よかったじゃねえか」
「でも」
「今度は何だ」
「レベルが998で止まりました」
ガルドが少し黙った。
「知らねえよ」
ですよね。
その瞬間。
ピロン。
==========
《メイン清掃クエスト》
《世界を清掃せよ》
達成率:99.9%
==========
「……99.9%?」
世界汚染率は0%。
なのにクエストは終わっていない。
==========
《未達成条件あり》
==========
「何だろう」
表示が切り替わる。
==========
《最後の清掃対象》
???
==========
場所は出ない。
汚染度も出ない。
「最後って何を掃除するんだ?」
その時だった。
ガルドが俺の顔を見る。
「レン」
「はい」
「お前、顔汚れてるぞ」
「顔?」
「頬だ」
近くの鏡を見る。
確かに頬に小さな黒い汚れが付いていた。
さっき倉庫の床を拭いた時に付いたんだろうか。
すると。
==========
《清掃対象を確認》
《レン》
==========
「……俺?」
==========
《自己汚染度》
0.1%
==========
「俺だったの!?」
ガルドが首を傾げる。
「何が?」
世界最後の汚れ。
俺の頬。
俺はさっきの雑巾を持ち上げた。
「これを拭けば終わりか」
==========
《警告》
《最終清掃条件》
==========
さらに表示が続く。
==========
《自己清掃完了時》
《メインクエスト完全達成》
==========
そして。
==========
《到達予測》
LV998
↓
LV999
==========
「…………」
ついに来た。
鏡に映る、自分の頬。
そこに付いている小さな黒い汚れ。
LV999まで。
あと、ひと拭き。
俺は雑巾を頬へ近づけた。
そして止める。
「……明日にするか」
ガルドが固まった。
「なんでだよ!」
「勤務時間終わったので」
「そこは拭けよ!」
俺は雑巾を置いた。
世界は綺麗になった。
今日の仕事も終わり。
続きは明日でいい。
==========
LV:998
==========
999まで。
あと1。
お読みいただきありがとうございます!
世界汚染率――
0%
レン――
LV998
そして最後に残った清掃対象は、
レン本人。
LV999まで、
あと1。
次回――
顔の汚れをひと拭きしたら、レベル999になりました
ついにタイトル回収です。




