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16/30

第16話 王都が呪われているらしいので、出張清掃することになりました

初めての出張清掃。

行き先は人間王国の王都です。



魔王城。


会議室。


俺は。


ガルドの隣に座っていた。


「……なんで俺まで」


「原因を見つけたのがお前だからだ」


「掃除してただけですよ?」


「もうそれで全部済ませるのやめろ」


向かい。


王国調査団。


その隣。


魔王ヴァルグレン。


ゼルガ。


結構。


大ごとになっている。


テーブルの中央。


地図。


==========


《王都地下・封印聖堂》


汚染度:87%


推奨清掃レベル:500


==========


俺にだけ。


表示されている。


「封印聖堂について説明します」


大神官ローデル。


顔が。


重い。


「今から約800年前」


長そう。


「王国建国以前、この地には――」


「あの」


「何ですかな」


「掃除したら駄目なんですか?」


沈黙。


ガルド。


額を押さえた。


「レン」


「はい」


「話くらい聞け」


「でも汚染度87%ですよ」


「その87%が俺たちには見えねえんだよ!」


そうだった。


大神官が。


咳払い。


「封印聖堂には」


続ける。


「古代邪神の一部が封じられていると伝わっています」


「邪神?」


「はい」


エルナが。


資料を開く。


「近年、王都では原因不明の病、魔物の凶暴化、地下水の汚染が増えていました」


「それが」


「封印聖堂から漏れる呪詛が原因である可能性が高い」


なるほど。


汚れが。


漏れてる。


「じゃあ掃除しましょう」


「お前の結論だけ異常に早いな」


ゼルガが言った。


「でも」


俺は。


地図を見る。


「放っておいたらもっと汚れますよ?」


誰も。


反論しない。


ヴァルグレンが。


俺を見る。


「レン」


「はい」


「行くつもりか」


「仕事なら」


「王国だぞ」


「魔王城じゃないと掃除したら駄目なんです?」


考えたことなかった。


俺。


魔王城清掃部。


出張。


あるのかな。


ガルド。


腕を組み――


いや。


腕は組まなかった。


よかった。


「規則には」


書類をめくる。


「城外清掃禁止とは書いてねえな」


「じゃあ大丈夫ですね」


「そんな理由で決めていいのか?」


いいんじゃない?


大神官が。


立ち上がる。


そして。


頭を下げた。


「レン殿」


「はい」


「王国へ」


深く。


「来ていただきたい」


「分かりました」


即答。


「軽いな!?」


エルナが叫ぶ。


「だって掃除ですよね?」


「邪神の封印です!」


「汚れてるんですよね?」


「それは……」


「じゃあ掃除します」


また。


沈黙。


その日の午後。


俺は。


魔王城正門にいた。


荷物。


着替え。


雑巾。


ブラシ。


洗剤。


アブソリュートモップ。


「……洗剤いるのか?」


ゼルガが聞く。


「念のため」


「邪神相手だぞ」


「油汚れだったら困るので」


「油汚れの邪神って何だよ」


知らない。


馬車。


用意されている。


王国調査団と一緒に。


俺も乗る。


ガルドが。


見送り。


「レン」


「はい」


「頼むから」


真剣な顔。


「王都を消すなよ」


「掃除ですよ?」


「だから怖いんだよ!」


俺は馬車へ乗った。


出発。


初めて。


魔王城の外へ。


草原。


森。


川。


新鮮。


「異世界なんだな」


改めて思う。


エルナが。


俺を見る。


「今更ですか?」


「魔王城からほとんど出たことなかったので」


「あなた」


一拍。


「転生者なんですよね?」


「みたいです」


「みたい?」


自分でも。


結構。


適当だと思う。


数時間後。


街が見えてきた。


大きい。


城壁。


塔。


家。


人。


王都。


その瞬間。


俺の視界。


真っ赤になった。


「うわ」


==========


《警告》


《大規模汚染領域へ侵入》


==========


「何です?」


ダリウスが聞く。


「いや」


街。


全体。


薄い。


黒い膜。


俺にだけ。


見える。


==========


《王都全域》


汚染度:34%


==========


「……全域?」


封印聖堂だけじゃない。


王都。


丸ごと。


汚れてる。


そして。


さらに。


表示。


==========


《緊急清掃クエスト発生》


対象:


王都全域


推奨清掃レベル:600


達成報酬:


???


==========


「600」


「また何か見えてるんですか?」


エルナ。


もう慣れてきた。


「王都全体」


俺は言った。


「掃除対象みたいです」


馬車の中。


静かになった。


「……王都全体?」


「はい」


「人口80万人ですよ?」


「そうなんですか」


結構。


多い。


「時間かかるかな」


「問題そこ!?」


でも。


アブソリュートモップなら。


広域清掃できる。


試しに。


窓から。


モップの先。


少しだけ出す。


「レン殿?」


「ちょっとだけ」


「何を――」


「広域清掃」


シュッ。


ブワアアアアアア!


光。


馬車から。


広がる。


街道。


城門。


周辺の家。


一気に。


包む。


「なっ!?」


==========


《王都外縁部を清掃》


《汚染除去》


==========


MP+520000


==========


「52万!?」


ピロロロロロン!


==========


LV143 → LV168


==========


「25上がった!」


エルナ。


顔を引きつらせる。


「何が25?」


「なんでもないです」


さらに。


==========


《王都全域》


汚染度


34%


↓


31%


==========


「3%しか減ってない」


俺は。


王都を見る。


広い。


相当。


広い。


でも。


逆に。


少し。


楽しくなってきた。


これだけ。


掃除する場所がある。


「よし」


俺は。


モップを握り直す。


「徹底的にやるか」


エルナが。


俺を見る。


「その顔」


「はい?」


「魔王城で地下牢を見つけた時も」


一拍。


「そんな顔してたんじゃないですか?」


「さあ?」


でも。


多分。


そうだった。


王都。


人口80万。


汚染度31%。


そして地下には。


推奨清掃レベル500の封印聖堂。


仕事。


大量。


俺は。


モップを肩に担いだ。


「まず」


城門を見る。


黒い。


「入口からですね」


こうして。


魔王城の清掃員による。


王都史上最大の大掃除が。


始まった。

お読みいただきありがとうございます!


レン、ついに魔王城の外へ。


そして王都へ到着した瞬間――


王都全域が清掃対象になりました。


人口80万。


推奨清掃レベル600。


レンは現在LV168。


次回――

王都を掃除していただけなのに、住民から聖人扱いされ始めました


清掃員の知名度までインフレします。

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