第14話 勇者一行を見送っただけなのに、人間の王国で危険人物認定されました
勇者一行、王国へ帰還。
魔王城で見た「清掃員」について報告します。
翌日。
勇者一行が。
魔王城から帰ることになった。
「魔王を倒さなくていいんですか?」
俺が聞く。
レオンは。
ものすごく疲れた顔をした。
「今は無理だ」
「なんで?」
「お前のせいだ」
また。
俺?
「魔王より強い奴が清掃員として普通に働いてる城で」
レオンが。
ため息。
「どうやって安心して戦えっていうんだ」
「俺は参加しませんよ?」
「信用できるか!」
ひどい。
俺は。
本当に。
掃除しかしてない。
……大体。
「それに」
勇者一行の魔法使い。
ミリアが。
俺を見る。
「調査が必要」
「調査?」
「魔王城に」
一拍。
「あなたみたいな存在がいるなんて、王国は知らない」
俺。
そんなに。
大事件なのか。
「清掃員ですよ?」
「それを王国で言ったら絶対怒られる」
なんで。
城門。
ガルド。
ゼルガ。
何人もの兵士が。
勇者一行を見送る。
俺も。
今日は。
城門周辺の清掃担当だった。
「じゃあ」
レオンが言う。
「また会うことがあるかもしれない」
「その時は」
俺は。
勇者の靴を見る。
泥。
「靴拭いてから入ってください」
「最後までそれか!」
勇者一行は。
魔王城を出ていった。
俺は。
手を振る。
「気をつけて」
レオンたちの姿が。
遠ざかる。
その時。
ピロン。
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《清掃対象を確認》
《魔王城正門前》
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「さて」
仕事。
仕事。
勇者たちが歩いたせいで。
結構。
泥がついている。
俺は。
アブソリュートモップを構える。
「広域清掃」
シュッ!
ブワアアアア!
魔王城正門。
橋。
石畳。
周囲の壁。
全部。
光に包まれる。
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《魔王城正門周辺を完全清掃》
MP+132000
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ピロリン!
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LV115 → LV124
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「9つ」
順調。
さらに。
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《長期間蓄積した瘴気を浄化》
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「瘴気?」
見回す。
今まで。
魔王城の周囲には。
黒い霧みたいなものがあった。
それが。
消えている。
青空。
見える。
「おお」
明るい。
後ろで。
ゼルガが。
固まっていた。
「レン」
「はい」
「お前」
「何です?」
「魔王城を覆っていた防御瘴気」
「はい?」
「消したぞ」
「…………」
まずい。
「戻せます?」
「戻せるか!」
怒られた。
でも。
その頃。
城から離れていた勇者一行も。
異変に気づいていた。
「待て」
レオンが。
振り返る。
「魔王城が」
黒い霧。
消失。
魔王城が。
はっきり。
見えている。
ミリアが。
目を見開く。
「あの瘴気」
「なんだ?」
「歴代勇者が誰も消せなかった結界よ」
「……は?」
「魔王級の魔力で維持されているはず」
4人。
魔王城を見る。
そして。
城門前。
小さく見える。
1人の人影。
モップ。
「……まさか」
レオン。
頭を抱えた。
「またあいつか」
数日後。
人間王国。
王都。
王城。
勇者一行は。
国王の前にいた。
「それで」
老王が。
レオンを見る。
「魔王討伐には失敗したと」
「はい」
「理由を述べよ」
レオンが。
沈黙。
どう説明する。
魔王城に。
魔王より強い。
清掃員がいました。
普通なら。
信じない。
「陛下」
ミリアが。
前へ出る。
「魔王城に」
言葉を選ぶ。
「未知の存在がいます」
「未知?」
「人間です」
王が眉を寄せる。
「人間が魔王城に?」
「はい」
「捕虜か?」
「いえ」
「奴隷?」
「いえ」
「では何だ」
ミリアが。
答える。
「清掃員です」
沈黙。
「…………」
王。
大臣。
騎士。
全員。
黙った。
「ミリア」
王が。
低い声で言う。
「余は真面目な報告を求めている」
「真面目です!」
ですよね。
レオンは。
そうなると思った。
「そいつの名は」
「レン」
「戦闘能力は」
「不明です」
「勇者のお前でも分からぬのか」
レオンが。
ゆっくり。
答える。
「魔王以上の可能性があります」
玉座の間。
ざわつく。
「馬鹿な!」
「人間が?」
「そんな存在が魔王城にいるはずが!」
レオンは。
聖剣を抜いた。
「これを見てください」
神話級。
完全に浄化された。
聖剣。
「この剣は」
レオンが続ける。
「レンに一度折られました」
「折られた!?」
「モップで」
「…………」
「そのあと」
嫌だ。
言いたくない。
でも。
言うしかない。
「同じモップで掃除されて」
一拍。
「神話級になりました」
誰も。
言葉を発しなかった。
大臣の1人が。
震える声で聞く。
「その男は」
「はい」
「何者なのだ」
レオンは。
魔王城で。
何度も聞いた答えを思い出した。
そして。
言った。
「本人は」
一拍。
「清掃員だと言っています」
その日のうちに。
王国最高機密文書へ。
1人の男の名前が追加された。
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危険人物指定
名称:レン
所属:魔王城清掃部
危険度:測定不能
遭遇時:
絶対に敵対してはならない。
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そして。
その本人は。
そんなことになっているとは。
当然。
知らない。
「ガルドさん」
「なんだ」
「正門の瘴気消しちゃった件なんですけど」
「ああ」
「怒られます?」
「もう誰もお前を怒れる奴いねえよ」
「え?」
俺は。
今日も。
モップを持っていた。
お読みいただきありがとうございます!
レン、今度は歴代勇者にも消せなかった魔王城の瘴気を清掃。
そしてついに人間王国でも、
危険度:測定不能
絶対に敵対してはならない
と認定されました。
次回――
王国から調査隊が来たので、歓迎のために城を掃除します
本人だけ、完全に通常勤務です。




