第13話 魔王より強いことを隠そうとしたら、測定器が壊れました
魔王より強くなったことは、できれば黙っておきたいレン。
そこで魔王軍最高級の測定器が用意されました。
魔王城。
玉座の間。
俺は。
また呼び出されていた。
「……なんで?」
昨日も来た。
できれば今日は。
普通に掃除したい。
俺の前には。
魔王ヴァルグレン。
そして。
勇者レオン。
さらに。
ゼルガ。
ガルド。
勇者一行。
魔王軍幹部。
結構な人数が集まっている。
「レン」
ヴァルグレンが口を開いた。
「はい」
「勇者から報告を受けた」
嫌な予感。
「お前が」
一拍。
「聖剣を折ったそうだな」
「事故です」
ざわっ。
「事故?」
「軽くモップが当たっただけで」
ざわざわざわっ。
なんで。
余計に騒ぐ。
レオンが。
横から言った。
「本当だ」
「勇者?」
「あいつは本当に軽く振っただけだった」
「ほら」
「それで俺の聖剣が折れた」
「そこまで言わなくていいです!」
しかも。
その後。
掃除したら。
聖剣は。
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伝説級
↓
神話級
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になった。
ヴァルグレンの目が細くなる。
「レン」
「はい」
「お前の現在レベルはいくつだ」
来た。
答えたくない。
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レン
LV115
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昨日の時点で。
魔王より。
総合戦闘力は上になった。
でも。
レベルそのものは。
まだヴァルグレンの185より下。
「115です」
「……115」
周囲がざわつく。
ゼルガが。
頭を抱えた。
「数日前まで1だったんだぞ……」
それ。
言わないでください。
ヴァルグレンが。
俺を見る。
「戦闘力は」
「分かりません」
嘘。
分かる。
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総合戦闘力:421000
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ヴァルグレン。
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総合戦闘力:390000
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超えてる。
絶対。
言わない。
「ならば測る」
「え?」
ヴァルグレンが。
指を鳴らした。
兵士たちが。
巨大な水晶を運んでくる。
高さ。
俺の胸くらい。
透明な球体。
中で青い光が揺れている。
「これは?」
「魔力測定晶だ」
ゼルガが答える。
「魔王軍で使われている最高級の測定器だ」
「へえ」
「対象の魔力、身体能力、保有スキルなどから」
ゼルガが。
俺を見る。
「総合的な戦闘力を算出する」
嫌だ。
ものすごく嫌だ。
「やらなくても」
「触れろ」
魔王。
命令。
仕方ない。
俺は。
水晶へ近づく。
でも。
その前に。
気づいた。
「……汚れてる」
「レン」
ガルドの声。
「やめろ」
「でも」
「絶対に今は掃除するな」
「指紋ついてます」
「どうでもいい!」
どうでもよくない。
透明な水晶に。
べったり。
指紋。
気になる。
「ちょっとだけ」
「レン!」
俺は。
布で。
キュッ。
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《魔力測定晶を清掃しました》
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ピロン。
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《測定精度が上昇しました》
87%
↓
100%
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「お」
「何をした」
ヴァルグレンが聞く。
「測定器を綺麗にしました」
「なぜだ」
「汚れてたので」
もう。
誰も怒らなかった。
みんな。
諦めた顔をしてる。
俺は。
水晶へ手を置く。
「これでいいです?」
「ああ」
水晶が。
光った。
青。
紫。
赤。
白。
どんどん。
光が強くなる。
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《測定中》
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「おお」
数字が出るらしい。
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100000
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「10万」
さらに。
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200000
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300000
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ヴァルグレンの顔が。
真剣になる。
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390000
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止まらない。
「陛下の数値を……」
誰かが呟いた。
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400000
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421000
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「…………」
玉座の間。
静か。
ものすごく静か。
俺は。
手を離そうとした。
でも。
表示が変わる。
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《潜在魔力を検出》
《補正開始》
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「補正?」
嫌な予感。
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500000
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「え?」
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650000
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「待って」
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800000
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「ちょっと待って!」
ヴァルグレンが。
立ち上がる。
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999999
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そして。
バキッ。
「…………」
水晶に。
ひび。
バキバキバキッ!
「うわっ!」
パリン!
魔力測定晶。
粉々。
沈黙。
俺。
魔王。
勇者。
魔王軍。
全員。
水晶だったものを見る。
「……壊れましたね」
「お前が壊したんだ!」
ゼルガが叫んだ。
「触っただけですよ!」
ヴァルグレンが。
ゆっくり。
俺を見る。
「レン」
「はい」
「今の数値」
「測定器の故障じゃないですか?」
「掃除した直後だろう!」
そうだった。
精度。
100%。
余計なことした。
「……忘れません?」
「無理だ」
即答。
勇者レオンが。
俺を見る。
「やっぱり」
「何です?」
「お前」
一拍。
「魔王より強いだろ」
「いや」
俺は。
粉々になった測定器を見る。
「測れなかったので」
嘘ではない。
最後まで。
測れなかった。
たぶん。
その時。
ピロン。
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《特殊条件達成》
《測定上限突破》
称号を獲得しました。
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《測定不能》
効果:
能力鑑定を無効化。
自身の能力値を任意表示可能。
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「……便利」
今後。
これで。
隠せる。
俺は。
少し安心した。
でも。
もう。
遅かった。
玉座の間にいた全員が。
俺を。
見ていた。
――測定不能の清掃員。
その噂が。
魔王城全体へ広がるまで。
1時間も。
かからなかった。
お読みいただきありがとうございます!
魔王軍最高級の測定器。
999999まで表示して破損。
そしてレンは称号
《測定不能》
を獲得しました。
次回――
勇者一行を見送っただけなのに、人間の王国で危険人物認定されました
魔王城の噂が、ついに外の世界へ広がります。




