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女性専用刑務所の面会室:一線を越えた【危険な女たち】の犯罪告白  作者: 熾星


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【捨てられた妹の狂気】兄を騙して、夫の連れ子を殺させた 1.河川敷の黒焦げ死体

 

 2017年12月6日の早朝、長野県南部の使われなくなった河川敷で、黒く焼け焦げた身元不明の遺体が発見された。


 遺体は激しく炭化しており、現場には燃え残った衣類の一部と、黒く焦げた土だけが残されていた。司法解剖の結果、亡くなっていたのは九歳前後の男児とみられた。さらに残酷なことに、子どもは火で焼かれて死んだのではなかった。焼かれる前に、すでに窒息死していた。


 九歳の子どもが、誰にそこまで憎まれたというのか。

 なぜ殺したあとで、遺体まで焼かなければならなかったのか。

 長野県警は、行方不明になっていた児童の情報とDNA鑑定を照合し、まもなく被害者の身元を確認した。


 男の子の名前は、黒川悠斗。

 町立小学校に通う三年生だった。


 悠斗の父親、黒川蓮司は、地元で食品スーパーを経営していた。店は国道沿いにあり、規模もそこそこ大きい。近隣の集落からも車で買い物に来る客が多かった。悠斗は学校ではおとなしく、成績もごく普通だったが、礼儀正しい子として教師や同級生に知られていた。

 そんな子が、なぜこんな目に遭わなければならなかったのか。


 事件は当初、悪質な児童誘拐事件に見えた。

 しかし捜査が進むにつれ、捜査本部は気づくことになる。犯人は、誰よりもその子の近くにいた。


 まもなく、蓮司の妻である美咲と、美咲の兄、桐生明人が逮捕された。

 その知らせが流れると、町全体が揺れた。


 美咲はふだん、町立文化センターでダンス講師をしていた。主婦や子ども向けのレッスンも担当している。背が高く、顔立ちは整っていて、話すときはいつも淡く笑っていた。誰も、彼女を黒焦げになった子どもの遺体と結びつけることなどできなかった。


 明人は長年、名古屋で働いていた。地元へ帰ることは少なかった。物流会社で倉庫管理をしており、結婚して家庭もある。彼を知る人たちは、温厚で情に厚い男だと言った。子どもに手をかけるような人間には見えない、と。


 だが、捜査員たちの前に積み上がった証拠は、別の絵を少しずつ描き出していった。

 これは、見知らぬ者による誘拐ではなかった。

 ただの恐喝でもなかった。

 壊れた結婚と、恨みと、歪んだ血縁が、一人の子どもを底なしの闇へ引きずり込んだ事件だった。


 取材の依頼を受けたテレビ局の記者、前田沙也香は、拘置所へ向かった。そこで彼女は、美咲と明人にそれぞれ面会することになった。

 沙也香が初めて美咲を見たとき、思わず息をのんだ。


 美咲は拘置所の淡い色の服を着て、ガラスの向こうに静かに座っていた。身長は一七〇センチほど。背筋はまっすぐで、顔立ちは整っている。目立った動揺も、後悔も、その表情からは読み取れなかった。すべての感情を体の奥にしまい込み、表面に薄い膜だけを残したように見えた。

 沙也香が口を開く前に、美咲が目を上げた。


「聞きたいことは、わかっています」


 声は軽く、ほとんど揺れなかった。


「どうして私が、ここまで来てしまったのか。そう聞きたいんですよね」

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