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女性専用刑務所の面会室:一線を越えた【危険な女たち】の犯罪告白  作者: 熾星


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6.離婚しても、彼は戻ってきた

真紀が本気で離婚を決意したのは、五月の連休前に起きた口論がきっかけだった。

その日、剛志は珍しく早く帰ってきた。夕食を終えると、服を着替え、車の鍵を手に取った。真紀は彼がどこへ行くのか知っていた。止められないこともわかっていた。


それでも、一言だけ尋ねた。


「どうしてそこまで私を苦しめるの」


剛志は鼻で笑った。


「苦しめてるんじゃない。向こうが俺を待ってるから、行ってやるんだよ」


そう言うと、テーブルの上にあった果物ナイフを取り、刃の背で真紀の頬を軽く叩いた。

真紀は唇を噛み切った。

その瞬間、家庭裁判所で離婚調停を申し立てると決めた。


調停では、真紀は電話の録音や傷の記録を出した。剛志の不貞や暴力の証拠も提出した。剛志は真紀がそこまで準備していたことを知らず、初めて取り乱した。


家に戻ると、真紀の前で土下座した。

神社で受けたお守りまで持ってきて、反省しているように見せた。

真紀はもう信じなかった。

調停は成立した。

二人は離婚した。


真紀は、何も求めなければ、後半生だけでも静かに暮らせると思っていた。

しかし家と息子と地方の親族関係は、簡単に切り離せるものではなかった。古い家の使用については、まだはっきり決まっていない部分があった。剛志はそこにつけ込み、数日後、また戻ってきた。


その日、真紀は和室を掃除していた。

剛志は旅行鞄を提げ、大股で玄関へ入ってきた。

真紀はその場に立ち尽くした。


「もう離婚したのに、どうして戻ってくるの」


剛志は鞄を床に置いた。


「ここは悠斗の家だ。悠斗が俺に出ていけとは言ってない」


真紀は彼を見たまま、言葉を失った。

数枚の服だけをまとめ、外へ向かった。


「わかった。家はあなたにあげる。私が出ていく」


その夜、真紀は美代の家に泊まった。

せめて一晩だけでも離れられると思っていた。

だが夜明け前、二本の電話が入った。

一本は剛志の母から。

もう一本は剛志の姉からだった。


「真紀、すぐ学校へ行って。あの子、刃物を持って悠斗のところへ行った」


剛志は、悠斗が真紀の命そのものだと知っていた。

そこをつかみ、彼女を家へ戻らせた。


真紀が学校へ着いたとき、足は震えていた。剛志は実際には何もしていなかった。ただ校門の近くに立ち、走ってきた真紀を見ると、勝ち誇ったような顔をした。

その日から、真紀はまた佐久間家へ戻った。


離婚は、彼女を自由にはしなかった。

むしろ剛志の怒りを深めただけだった。


調停で恥をかかされたと感じた剛志は、真紀への仕打ちをさらにひどくしていった。美代の家やほかの兄姉の家の前で騒ぎ、親戚の子どもたちまで脅すようになった。

美代は、剛志が家の前に立っていた日のことを今でも覚えている。


あの日、剛志の上着のポケットは不自然に膨らんでいた。中に何かを隠しているようだった。彼は庭先に立ち、家の中へ向かって怒鳴った。


「お前らがこれ以上真紀のことに口を出したら、子どもを殺す。大学生なんだろ。宮下家でまともに育ったのは、その何人かだけだろうが。一人ずつ刺してやるから、泣いても遅いぞ」


美代は戸を開けられなかった。

カーテンの陰に隠れ、震える手で携帯電話を握りしめていた。

その日から、真紀の中に一つの考えが芽生えた。


剛志が消えなければ、みんなが彼に引きずり込まれる。

警察へ行くことも考えた。

DV相談支援センターへ行くことも考えた。


けれど剛志は、悠斗を使い、実家の子どもたちを使い、集落の目を使って、真紀をあの古い家へ押し戻した。恐怖の中を何度も回り続けた末に、彼女は最も間違った道を、唯一の道だと思い込んだ。


真紀は拓也に連絡した。

拓也は翔太を誘った。

三人は、その道の果てまで進んでしまった。

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