失禁
時間を少し巻き戻す。
「お、この匂いは」
檻に閉じ込められたクララたちを置いてブラクモは事務室に向かおうとしたのだが、一緒にいたはずのマキンタは踵を返していた。
獣じみている魔族の彼は嗅覚も鋭い。
その鋭敏な鼻でクララの失禁を逃さずに嗅いでいた。
「戻ってきたよお嬢ちゃん。おじちゃんと遊ぼうぜ」
「い……い……」
クララとしては自分に欲情するマキンタの姿に嫌悪感しかないのだが、恐怖のあまり嫌とも言えない。
失禁のおかわりに床が濡れてマキンタの方へ液体が流れていった。
「これはオーケーのサインか?」
その水を指で掬い上げたマキンタはそのままペロリ。
これにはクララに惚れているパウロの目線でも「羨ましいを通り越して気色が悪い」という感情だ。
この手の性癖は世間的には異端性癖にあたるのだが、マキンタは存在自体が異端なのでその辺の常識も持ち合わせていない。
「そ、そんなわけ無いだろう」
マキンタの変態発言に異を唱えるパウロだが、彼の声にも震えが混じる。
二人が閉じ込められている檻は元々悪質ユーザーを幽閉するために作られたセカンド・ユートピアにおける凍結システムが転移により具現化したもの。
それによってゲームキャラ化して得た力を失っているのだから、変質者を前に恐怖が見えるのは仕方がない。
「お兄ちゃんは邪魔だな。そこで見ていな」
マキンタは反論するパウロを邪魔だと判断し、檻の外側から手錠と猿轡を噛ませてパウロを拘束した。
檻の効果で抵抗もむなしくあっけなく磔にされるパウロの姿にクララの恐怖も限界が近いか。
金切り声をあげるクララの泣き顔に、マキンタはさらなる興奮を覚えていた。
「おじさんもこの中に入ったら無力になるが、お嬢ちゃんみたいに華奢な子じゃ抵抗できないねぇ」
ゲヘゲヘとイヤらしい声を漏らすマキンタ。
ここまで来ると当事者のクララでなくても怖い。
「さーて御開帳」
そしてマキンタの手がクララの足に触れたその瞬間───
「ん、んー!」
「いやー!」
「ぐわー!」
三人のうめき声が周囲に響いた。




