異端
「キュロス? あなたなの?」
静かな声だが、市場のざわめきを切り裂くほど鋭い。
すべてが止まる。頭がその声の方へと向く。小柄なゴブリンがそこに立っている、肌は明るい色で、いつもの深い黒というよりほとんど灰色に近い。細身の体。食料の入ったバスケットが、震える手の中で揺れている。
「ああ、俺だ」
キュロスがゆっくりと答える、まるでその言葉が落ち着くまでに時間が必要であるかのように。
「追放されたと思ってた。死んだとすら……」
ウリオスが近づいてくる。バスケットが地面に落ち、手が震えながら差し伸べられる。その瞬間、緊張が高まる。セイブル・ヴェイルがわずかに身構え、手が武器へと漂う、何が起きても対応できるように。
そのゴブリンが歩み寄り、それから――
ウリオスがキュロスの手を掴み、持ち上げる。
「本当に、あなたが死んだと思ってた!」
一瞬で、緊張が解ける。
グループ全体が一斉に息を吐く。静かな安堵の波が、周囲の空気を緩めていく。
「ああ。俺は、あの暴君からこの村を解放するために戻ってきた」
「そうだと思ってた」ウリオスの声が柔らかくなる。「あなたが戻ってくる理由なんて、それ以外にないもの」
一拍の間が過ぎる。その手がゆっくりとキュロスの手から離れていき、頭の動きから判断するに、ようやく他のメンバーに気づいたようだ。
「この人たちは?」
「ああ、彼らはサ――」
「バインデッド・オース。それが俺たちの組織の名前だ」
キュロスが言い終える前に、コルスが割り込む。
「俺の名はヴィルヘイム」
「サラよ」アリヴィアが付け加え、小さく手を振る。
「私はガースと呼ばれています」アサカワが平坦な声で言う。
「名前はリヴィアよ」ナヴィが頷きながら締めくくる。
一瞬、キュロスが歩みの途中で凍りつく、まるで体が動き方を忘れたかのように。それから瞬きし、我に返って動き出し、ウリオスの方を向く。
その歯がわずかに剥き出しになっている。よく見ると、肩もこわばっているようだ、まるで一瞬、何か獣が乗り移ったかのように。
数秒後、それは何事もなかったかのように溶けて消える。
「皆さん、こんにちは」彼女が言う。「歓迎します」
これは、見過ごされなかった。
「……申し訳ありません、ウリオス。あまりにも単刀直入なのは気が引けますが、タイロクスに対する俺たちの計画に役立つことを何か知っていますか?」コルスが尋ねる。
「ああ、なるほど。仲間を連れてきたのね」ウリオスがキュロスの方を向く。「彼らも、かなりの手練れに見える」
そのゴブリンは、マスクを観察してから、外で動き回るゴブリンたちへと視線を移す。表情はほとんど変わらないが、声が低くなる。
「ここでは話せない。あまりにも危険すぎる。どうか、私の家までついてきて」
疑念が、冷たいすきま風のようにグループの中を流れる。無言で、視線が交わされる。誰かの家に真っ直ぐついていくというのは、物語の中では普通、命取りになる類の決断だ。
キュロスが前に進み出る。
「これがどう見えるか、理解しています。ですが、ウリオスは信頼できます。彼女は俺たちの民の再建に、何度も助けてくれました。暴君が来る前から」
ウリオスが小さな小屋の戸口で立ち止まり、バスケットを手にしたまま振り返る。どうやら、今の会話は聞こえていなかったようだ、あるいは聞こえていないふりをしているのか。
「まあ、何が問題だっていうの、正直」アリヴィアが呟く。「あたしたち4人よ。それに、キュロスは今のところ何も間違えてない。あたしたちを罠に導くとは思えない」
壁の隙間から風が滑り込んでくる。外でゴブリンたちが話す音が、世界が彼らを置いて進み続けているという事実を思い出させるかのように漂ってくる。
「……選択肢はひとつしかない」ついにコルスが言う。彼が立ち上がり、椅子の脚が床に大きく擦れる音を立てる。時間が静止する。
一人ずつ、他のメンバーも立ち上がる、その動きは着実で準備が整っている。
最後の重みがテーブルから離れると、テーブルがきしむ。
「行きましょう」ウリオスが言い、外へと足を踏み出す。
―――――――――――――――――――――――
その家自体は、奇妙なほど心地よい雰囲気を持っていた。光が窓から差し込み、埃が梁の間を、小さな漂う魂のように舞っている。入り口の中央にはソファが置かれ、何か綿のような素材が詰められていて、少し信用しがたいほど柔らかそうに見える。
左側にはキッチンがあり、鍋や食器の集まりのおかげで特に見つけやすい。そして右奥には大きな寝室があり、隅に置かれたマットレスがそれを物語っている。
「ようこそ」ウリオスが中に入りながら言い、バスケットを床に落とす。「理知的種族には特に、少し手狭かもしれませんが、これでなんとかなると思います」
入り口で小さな小競り合いが起きる、アサカワとアリヴィアが互いにぶつかり合い、それぞれ先に押し入ろうとしている。
ナヴィがアリヴィアの背中に手を置いて中へと押し込むことで、それは即座に解決される。
アリヴィアがよろめきながら前へと進む。
「きゃっ――!」
体勢を立て直し、危うく転びそうになる。素早く振り返り、攻撃者を睨みつけるが、ナヴィはまったく興味なさそうに、すでに歩き去っている。
アサカワもそれをまったく気にせず、その後を滑るように通り過ぎていく。
コルスが後ろに立ち、ゆっくりと首を振る。グループの半数がティーンエイジャーであることを、明らかに忘れていた。
「どうぞ、座って」ウリオスが言う。「お茶を持ってきます。それから、お話ししましょう」
彼女はほとんど全力疾走でキッチンへと向かい、後に小さな埃の煙を残していく。金属がガチャガチャ鳴る音が続く。
一行がソファに落ち着く、体重がかかるたびに構造がしなる。アサカワが最初に座る。
ナヴィがその隣に座る。
アリヴィアがスペースの不足にうめき、それからアサカワの膝の上に直接座ることを決める、黒髪の少女から即座に嫌悪の視線を得る。
マスクの下で、アリヴィアの顔に得意げな笑みが広がる。
「筋肉ひとつでも動かしたら、あんたを吹き飛ばすわよ」アサカワが警告する。
アリヴィアが手を上げ、からかうようにその口調を真似るが、その乗り物がポニーテールを引っ張るだけに終わる。
コルスは立ったままでいることを選ぶ、混沌の山――つまり、混み合ったソファに座るよりはましだと判断して。
キュロスも同じ理由で、彼の隣に立つ。
彼らは落ち着かない沈黙の中に座る。今の状況について話したい衝動は魅力的に感じられる、だが、こんなにも見知らぬ相手が近くにいる中で何か機密性の高い話をするのは、危険を伴う。
疑念の空気はまだ残っている。
もし彼女が裏切ろうとしても、セイブル・ヴェイルなら簡単に対処できる。その計算こそが、実際、コルスが彼女についていくことに同意した唯一の理由だった。5対1だ、そんな比率なら、確実に彼女の敗北に終わるだろう。
「……キュロス。ウリオスとはどうやって出会ったのですか?」アサカワが尋ねる。アリヴィアの周りに頭を傾け、ゴブリンを見ようとしながら。何らかの会話を始めるための質問だ。
キュロスが答える前に視線を下げる。
「……ご存知の通り、ゴブリンは通常、野蛮で無思考の生物と見なされています。それが、この場所が長い間そうであったものです」
「ですが俺は、それを変えたかった。荒廃させるのではなく、守る社会を望んでいました。ウリオスは、その使命の最も重要な部分でした」
「くっ、アサ、あんたの鞘、あたしの腰に刺さってる!」
鋭い肘鉄が、アリヴィアを即座に黙らせる。
「進展を得るまでに何年もかかりました」キュロスが続ける。「長い間、誰も講演に耳を傾けませんでした。誰も改革に興味を持ちませんでした。当然でしょう? なぜ、これほど長く続けてきた生き方を変える必要があるんです? 彼らの人生は彼ら自身の手の中にある。なぜ規則が彼らを縛る必要があるんです?」
「……ですがある忠実な日、俺と同じくらいの年齢の若いゴブリンが俺に近づいてきて、俺が何のために立っているのかを尋ねました」
彼が一拍置く。
「俺たちは長く語り合いました。予想していたよりもずっと長く。そして彼女は耳を傾けてくれました。生物の本能に逆らうこと、生まれ持ったものを作り変えること、それはほとんど不可能です。だからこそ、ウリオスには衝撃を受けたのです。彼女は俺の最初の成功でした、俺の情熱に火をつけたものでした。あんなに慎重に俺の言葉に耳を傾けてくれた人を、それまで見たことがありませんでした」
彼が一拍置く、まるで感嘆しているかのように。
「彼女の転向のすぐ後、俺たちは村の前任の長老と協力し、年長者にも若者にも言葉を説き、愛と仲間意識の考えを植え付けようとしました」
彼が息を吐く、肩がこわばる。
「ですが、空が黒く感じられる日がなかったと言えば、単なる嘘になるでしょう。あるゴブリンが別のゴブリンを傷つける、あるいはもっとひどいことをする。それはまるで、再び深淵へと落ちていくような感覚でした。時折、これに何か意味があるのかと疑問に思うこともありました。これが本当にうまくいくのかと」
彼の手が拳へと丸まる。
「彼女の言葉が俺を支え続けてくれました。『私たちならできる』。それが呪文でした。疑念に落ち込むたびに、彼女が俺を引っ張り出してくれました。『私たちならできる』。『私たちならできる』。数年後、彼女は『改革団』の隊長職にすら任命されました」
「……あの長い演説を覚えています、まるで何らかの呪文で、皆の心を情熱の炎へと駆り立てていたかのような。彼女には人を魅了する力がかなりありました、一種の『魔法』のようなもので、誰もが同時に、それが存在すると感じ取っていました」
「そしてついに、俺たちは使命を成功させました。俺たちの民を文明化することに。もう、ほんの些細な理由で互いを殺し合うことはなくなったんです」
「……ですが、その後、暴君が現れて、すべてを破壊しました」
「なかなかの展開ね」アリヴィアが言う。
彼が頭を下げる。
「その後は、ご存知の通りです。ですが要するに、俺はウリオスに深く感謝しているのです」
グループは静かに彼を見つめている、彼らの背後にウリオスが立っていることに気づいていない、トレイに6つのカップを乗せて。その手が震えている。
「あ、ありがとう」彼女が言う、声が震えながら。「……私の言葉が、そこまでの意味を持っていたなんて、思いもしなかった」
彼女がカップを置く。かすかにカチンと音がする。「でもキュロス、あなたがいなければ、改革なんて何ひとつなかったわ」
ナヴィが身を乗り出し、カップを覗き込む。液体は深い緑色で、小さな塵の粒が表面をゆっくりと漂っている。細い蒸気の筋が空中に立ち上り、ほとんど抵抗なく消えていく。
「いや、ウリオス。手柄はあなたのものだ」キュロスが答える、首を振りながら。
「やめてください。買いかぶりすぎです」ウリオスが両手を頬に押し当て、前腕でトレイを胸に抱えながら言う。
「……とはいえ……」彼女が手のひらを再び下ろし、トレイを掴む。「私たちの努力にもかかわらず、私たちの成果は、終わりを迎えてしまったようです」
沈黙が落ち着く。
「いや」キュロスが、断固として言う。「俺がこれを変える」
ウリオスが、長く疲れたため息をつく。
「――そんなに簡単に諦めるなんて、あなたらしくないですね、ウリオス」キュロスが彼女の感情的な様子に触れて言う。
「私は決して諦めていません。ただ、あなたの使命に一人で立ち向かうことがほとんど不可能だと知っていただけです。正直に言えば、心のどこかで、ずっと待っていたんです」
「なるほど」
タップする音が部屋中に響く。その音はウリオスのもので、指が木の板を叩いている、その板は彼女の胸に抱きしめられている。目がないにもかかわらず、彼女が遠くを見つめていたのだろうと結論づけられる。
「あまり長い時間ではなかったとわかっています。それでも、こんなにも長く感じるなんて……」
「ウリオス、あなたはこれまでずっと耐えてきた、あなたの信頼を裏切ることはしない」キュロスが断固として言う。彼女の肩に手を置く。
「もし俺に物事を変えてほしいなら、あなたはいくつか、危険を伴うかもしれない決断をしなければならないでしょう」
彼女が頷く。
「さあ。俺たちが知る必要があることを教えてください」
「……」
「キュロス」
「?」
「あなたが去った後、兵士の一団が家に来たこと、知ってますか」
キュロスの動きにかすかな乱れが生じ、それが困惑した表情として表れる。
「確か、ウヨス、フヨス、ザイロスだったと思います。あの三人がどんなだったか、覚えてますよね? あの三兄弟がいつもだらだらして、いつも陰気だったこと。地域の仕事のために送り出すたびに、いつも文句を言ってた」
彼女は軽く笑う、まるで幽霊を思い出しているかのように。
「昔は、あの三人、みんな同じ心を持ってるんじゃないかって思ってました。三つ子みたいだって」
彼女がゆっくりと息を吐く。
「ある日、彼らが来たんです。何かの助言のために来たんだと思ってました、自分を改善するための言葉を求めて。でも今回は、武器を持って来た。それに、なぜか妙なことに……」
彼女が一拍置く。
「あの時は、なぜだかわかりませんでした。でも……」
彼女の頭が上がり、微笑みながら歯が輝く。
「彼らは、幸せそうでした。あんなに幸せそうな彼らを、見たことがありませんでした」
キュロスが凍りついていた。
「彼らはいつも呻いて、いつも文句を言ってた」
「ウリオス……?」
沈黙。外の風が壁に沿って囁いている、家の中に残された唯一の音。
「彼らは有頂天だったんです、キュロス。何が起きたのか尋ねたら、彼らは、解放されたって言ったんです。もう鎖に縛られていないって」
キュロスの呼吸が止まる。
「あなたはたぶん疑問に思ってるでしょうね。どうやって? なぜ? 彼女は何を言っているんだ、って」
「まあ。彼らは私を、リーダーのところに連れていきました。タイロクスという名のオークです。正直、彼を実際に目にするのは恐ろしいものでした。彼は私の上にそびえ立って、その目はただ、深い赤い睨みを私に向けるだけでした。まるで底なしの穴が胃の中にできたような感覚でした」
「ウリオス……」
「いいえ。お願い。最後まで言わせて」彼女が板を強く握りしめる。「彼は私に、私の芯を根底から揺さぶるような何かを尋ねました。正直、彼にそこまで深い思考ができるとは思ってもいませんでした」
キュロスが手を伸ばす。「ウリオス――」
「私は彼を、ただの巨大な蛮族だと思っていました。すべての決断を拳に任せる者だと。それが、彼があの質問を尋ねる前まで、私が信じていたことでした」
「それは、私の世界観全体を揺るがす質問でした」
「ウリオス、お願い、やめてください」
「ええ。彼は私に尋ねました――」
「ウリオス!」
手が武器へと動く。ナヴィの視線が鋭くなる。アサカワが緊張する。アリヴィアが完全に息を止める。キュロス自身の両手が頭に食い込み、彼女の言葉を拒絶しようとする。あらゆる失敗を通して彼のそばにい続けた、唯一の人物。
そしてその同じ人物の――
その顔が大きな笑みに歪む、牙が輝く。
「なぜ、あなたは自分自身を、本当の自由から遠ざけているの!」
その叫びが家中を切り裂く。彼女が両手のひらを強く押し合わせ、顔を天井へと上げる。
「ずっと、それが理由だったんです、まるで内臓が引き裂かれているように感じていたのは!」
「ウリオス! お願いです!」
キュロスの声が、何か生々しいものへと崩れる。何か壊れたものへと。彼のガラスの心が砕け、最後のテープの層が剥がれ落ちる。「あなたはこんな人じゃない! ただ混乱しているだけです!」
「だからこそ、痛かったんです、キュロス!」ウリオスが叫ぶ、その声が笑いと苦悶へと割れていく。「だからこそ、自分に賛同しない誰かを殺したいという衝動を抑えるたびに、自分の爪を剥がされているような感覚がしたんです!」
「何を言ってるんですか?!」
「言ってるのは、私がようやく気づいたということです。私たちのような者に、モンスターのような者に、規則を課すことは……」
彼女の頭がキュロスの方へと弾かれる。トレイが手から滑り落ち、床でガチャンと音を立てる。
「不可能だということです」
「キュロス、私の後ろに」ナヴィが呟く、前に進み出て、サーベルを抜きながら。
「いや! やめてください! 彼女は操られているんです! あの野郎が――」
「キュロス」ウリオスが鋭く言う。明瞭に。あまりにも明瞭に。「私は正気です。今、完璧に正常な感覚を持っています」
「いや。いいえ! それはただ、操られてるからそう言ってるだけです!」
「ここにいるすべてのゴブリンが、ついに自分たちの目的を理解したんです」
彼女が両腕を広げる。
「殺すこと。盗むこと。略奪すること。それが、私たちがこの世界に置かれた理由です。私たちの存在に、それより深い意味などありません」
アサカワのアリヴィアを掴む手に力が入る。コルスが前に進み出る、その姿勢から怒りが滲み出ている。
キュロスがよろめきながら後ずさる。
「教えてください、キュロス」ウリオスが優しく言う。「あなたが『文明化』しているように見せたいという動機の根底にあるのは、あなたがゴブリンだという、その事実じゃないですか?」
彼女の視線が鋭くなる。
「それは、あなたが自分自身を嫌っているからじゃないですか?」
「俺は――!」
「弁解の余地はありません。私が正しいからです」彼女が彼を指差す、手が震えながら。「あなたは自分の種族を憎んでいる。自分の歯を憎んでいる。自分の目を。自分の肌を。あなたは、『普通』として見られないことが嫌いなんです。あなたは、彼らの一員になりたいんです」
「違う! 俺は誇りを持って――」
「嘘つき」彼女の声が刃のように突き刺さる。「なぜ自分の種族を憎むんですか? なぜ彼らの道徳にしがみつくんですか?」
「彼らの価値観は、私たちのものじゃありません。私たちが殺すのは、私たちが異形種だからです。私たちは、心を持った捕食者と何ら変わらない、それでいいんです」
「……」
「捕食者の口を鎖で縛ることは、その存在目的を否定することです」
彼女の表情が和らぐ。
ほとんど優しく。ほとんど愛おしげに。
「あなたは、自由になることを選ばなければならない、キュロス」
道徳。
それは、ほとんどすべての理知的種族が従う根本的なものだ。生まれながらに植え付けられる、一連の暗黙のルールと規則。もしこれらのルールが破られれば、その個人は「破綻者」というレッテルを貼られる。道徳的に非難されるべき者。怪物。
だが、実際の異形種と理知的種族の間の境界線とは何だ?
歯だとか、そういうものだと言う者もいるだろう。だが、いくつかの理知的種族も、まさにその特徴を共有している。
両者は時に、あるべき以上に近く見える。前者は可能な限り「人間」らしく見えるかもしれないが、まさにその人間性を欠いている。
そうだ、ほとんどの異形種は単なる無思考の冒涜的存在だが、知性のあるものについてはどうだ?
道徳を欠く理知的種族は、異形種と見なされるのか?
これは、長い間、学術的議論の対象となってきたテーマだ。悪を定義すること。それに形を与えること。境界線を引き、ここだ、ここが人間が怪物になる場所だ、と言うこと。
サイコパスは異形種なのか?
だが、上記に挙げたあらゆる例外にもかかわらず、異形種は比較して、より怪物じみて見える傾向にあることは、普遍的に合意されている、それが彼らの怪物じみた内面を反映している、と。
だが、異形種から理知的種族へと向かう存在についてはどうだ?
そのような変化が可能なのは進化だけだと主張する者もいる。その生物は何千年もかけて、ゆっくりと痛みを伴いながら変わらなければならないと。だが、瞬時の変容についてはどうだ? 一瞬で書き換えられる存在についてはどうだ?
科学は魂と結びついているのか?
その穴は、永遠に掘り下げられ続けるだろう。哲学者たちはその中で溺れてきた。心の本質について、無数の書物が書かれてきた。
だが、要点はこうだ。
もし、メンタリティと形態において怪物であるものが、考えることのできる心を与えられたなら、それは愛することを学べるのか? 異なる道徳的枠組みを持ちながらも、大切にすること、守ること、希望を持つことを学べるのか?
キュロスの脳内で何が火花を散らし、そのメンタリティにこれほど劇的な変化をもたらしたのか? なぜ彼は自分の考え方を捨て、知識と優しさの道を選んだのか? 何が、その火花を引き起こしたのか?
だが、彼の仲間たちについては、同じことは言えなかった。彼らは本質的に、心を割り当てられただけの、暴力的な獣にすぎなかった。それは、変えられないものだ。
「……長い間、私は疑問に思っていました。なぜ私は、偽りの人格を身にまとっているのか? 自分ではない何かのふりをしているのか? こんな風に考えるのは、間違っていたんですか?」
「キュロス、これは私のせいですか? こんな風に考えることは、あなたの目には間違っていますか? 私の本能に従うことは、間違っていますか?」
「いいえ……ウリオス」
「私は真剣に考えました、今の私がどう見えていようとも。何が、キュロスをこれほどまでに変わりたいと思わせたのか? しばらくは、あなたが兄弟たちが目の前で死ぬのを見たからだと考えていました。でも、私たちは常に流血に囲まれていました。私たちは、あの生き物たちのようには、同じ意味でトラウマを負ったりしません」
「それに、長老のせいでもあり得ません……」
「いいえ! それは単純に事実ではありません!」
「あなたは知っていますか、長老が――あなたをこの道に導いたとされるその人物が――あなたがそこまでやることを期待していなかったことを? 彼自身すら驚いていたんです。彼はただ、自分が見たものを繰り返し語っていただけでした。彼が冗談を言っていたと言う者すら――」
「いいえ。何を言っているんですか?! それは単純に嘘です! 彼は、俺の努力を客観的に支持してくれていました、何があろうと!」
「じゃあ、なぜ彼はいつも、そばにいなかったんですか?」
「くっ!」
この時点で、そのゴブリンは両手を地面につき、体が制御不能に震えている。
「……」
「立ってください、キュロス。あなたがこれほど長く大義に身を捧げてきた後で、こんな真実を突きつけられることが、心に損害を与えることは理解しています」
「いや。いいえ。そんなこと言わないでください。俺たちの村の再建! 笑い声! 仲間意識! それが……」
「それはすべて、演技だったんです、キュロス」
「……」
「あなたには、私たちにはない何か特別なものがあるようですね、キュロス。歪んだ自己認識です」
「ですが、あなたを差別するつもりはありません、キュロス。あなたは、真の力――タイロクスがそれを『自由』と呼んでいる――から遠ざけている、その鎖から自分を解き放つことを学ばなければなりません」
この時点で、そのゴブリンは地面に倒れ込み、口から苦悶の音が漏れている。アサカワが彼を持ち上げようとし、両手を彼の背中に回す。
「よし。この哲学的な話、頭が痛くなってきた」アリヴィアが叫び、両手を合わせる。
コルスが頷く。
「あなたの言いたいことは理解できます、ウリオス。ですが、彼が明らかに参加したくないものに、彼を無理やり参加させることはできません」
コルスは、射撃の腕を上げたままにしている。
「さあ、家から出ていってください。あなたは俺たちの仲間に苦痛を与えています」
「くっ」
「キュロス! 俺の言っていることは、あなたがずっとあの生物たちに囲まれていたせいで、突飛に聞こえるかもしれません! でも、俺が言っていることは、客観的に正しいんです!」
「俺には……なぜ。なぜ。ウリオス。なぜですか? あなたは俺を助けてくれた! あなたは――!!」
「キュロス、これが辛いのはわかります。わかっています。でも、もしあなたが本当のゴブリンになりたいなら、彼らを殺さなければなりません。それが唯一の方法です。力を受け入れる唯一の方法です。あの鎖を拒絶してください!」
「いや……じゃあ、俺を殺さなきゃならない……! 俺は、しません……!」
「あなたを殺すつもりはありません、あなたの考え方を変えるだけです!」
彼女が両手を伸ばす。
「私たちに、同じ考えを持ってほしいんです!」
「あなたに変わってほしいのは、私が愛――」
ガラスが割れる音がする。その音が、それまでの静寂を切り裂いて家中に響く。残像がウリオスへと突き進む。
肉が押し潰される音が空気に反響する。
一瞬、世界が息を止める、彼女の死体が地面に崩れ落ちていく間。まるで糸を切られた操り人形と何ら変わらない。
その次に、ショックが訪れる。緊張の空気は消え、代わりに何か虚ろなものが残る。
血が死体の周りに溜まり、光がその表面に反射する。そのゴブリンの頭は、その物体――粗末な槍だとわかるもの――の凄まじい速度によって、ほとんど潰されている。
「ウリオス!!」
叫びが即座に湧き上がる。そのゴブリンが仲間の方へと駆け寄り、必死にその体を確かめる、彼女がその衝撃を生き延びたことを願いながら。だが、彼の落胆をよそに、外れた顎と露出した脳が、逆の答えを提示する。
コルスがドアの方を向く、両方のリボルバーを構えて、この推定される殺人者を攻撃するために。
「待て! 撃つな!」声が呼びかける。男性の声だ。
全員の頭がドアの方へと向く、別のゴブリンが中に入ってくる、肌がより暗く、両手を上げている。キュロスより少し背が高く見える、より筋肉質な体格だ。
「落ち着けよ。俺は敵じゃない」
「ウヨス?」そのゴブリンが弱々しく呼びかける、死体を両手に抱きしめながら。
「ああ、俺だよ」彼がニヤリと笑い、ウリオスの死体の方へと歩み寄る。彼が身をかがめ、槍に手をかける。キュロスはただ見ていることしかできない。あらゆる力が、完全に彼から抜け出ていた。
「くそ、これ、しっかり食い込んでるな」彼がくすくす笑い、手をひねる、それが血の小さな噴出を引き起こす。
セイブル・ヴェイルは、ただそこに留まり、見つめている。残念ながら、これは彼らにとって初めてのことじゃない。
「お前……お前は、彼女を殺した」
「うーん。それがどうした?」ウヨスが尋ねる、槍をひねり続けながら。
「ウリオス。彼女はお前にとって姉のような存在だった。助言をくれた。お前を育ててくれた。お前のために、あれだけの犠牲を払ってくれた」
そのゴブリンがうめきながら槍を引き抜く、傷から顔に血が飛び散る。くすくす笑いながら、顔を拭う。
彼は素早く立ち上がり、肩をすくめる。
「なあ、その話、もう終わったんじゃないの? まだそれ引きずってんの? 目を覚ませよ、お前」
もうひとつの衝撃がキュロスの体に叩きつける。あまりにも重い衝撃で、嫌悪から嘔吐しそうになる。
「はぁ、大げさな奴だな――」
「ウヨス。お前の兄弟たちに、何が起きたんだ……?」
ウヨスの顔に笑みが広がる、ネックレスを持ち上げながら。まるで子供が親にトロフィーを見せるかのように。
「うるさすぎたからさ」
一見すると、それはほとんど重要じゃないように見える。だが、もしそれに付いているものを見れば……
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
すべてが、演技だった。
彼は、一人だった。
完全に、一人だった。
ゴブリンでも、人間でもなかった。




