遊戯
「それが、オルトロスが長期間生き延びられる理由です」ゴブリンが締めくくる。押し寄せる情報の津波がようやく引いていくのを感じ、ため息をつく。
「気持ち悪いな」呟く、その言葉に舌が表情を引きずられる。だが、ひとつ明らかな事実がある――この会話に参加しているように見えても、俺の心はすでに、前方の銀髪の少女へと漂っている。彼女は、背骨が凍りついているかのように歩いているのに、腕は燃えている。
それがいい表現なのかどうか、わからない。うーん、脚のあるウナギみたいな、とでも言うべきか。
それはいい表現なのか?
まあ、どうでもいいか。
正直、自分のあの爆発が、彼女からあんな反応を引き出すとは思っていなかった、だが……訂正しよう。彼女がどういう人間か忘れていた。
「あんなふうに彼女に爆発すべきじゃなかったな」ため息をつき、首の後ろで両手を組む。手のひらが熱い。まあ、それは首についた電撃首輪のせいだ、まだ炎から伝わった熱がわずかに残っている。
そうだ。今まで、あの呪われた代物のことを忘れてた。矯正器みたいなもんなんだろうな。最初は痛くて、話すことすらできない気がするけど、そのうち慣れていく。
「……あなたのせいではありません」ゴブリンが言う。「あなたは極度のストレスの中にいましたし、彼女の反応があなたを刺激したのです」
彼は一拍置き、頭を傾ける。「彼女については――勝手な想像で申し訳ありませんが――どうやら彼女は、あなたが、うまく言えませんが、精神的に強い人間だと思い込んでいたようです。そういうことを軽く受け流せる人だと。それに関しては、彼女を完全に責めることはできません」
頭が彼の方へと向く。眉が上がる。
なんで責められないんだよ?
「はぁ……?」
「はい、そう聞こえるのはわかっています。ですが、私たちが見てきたことを考えてみてください。あなたはこれまで起きたすべてのことにもかかわらず、陽気で前向きな態度を保ってきました。彼女は、私たちが一緒にいた期間を考えれば、あなたがこういう状況にそう簡単には動じない人間だと思っていたのかもしれません」
「なるほど」
キュロスの言葉をそのまま鵜呑みにするのは、危険な気がする。彼はナヴィの父親でもないし、彼女を知ってからまだ数日しか経っていない。だが、その自信が言葉のひとつひとつに宿っている様子を見ると、彼を疑うことをためらってしまう。それに、まあ、彼のこれまでの実績を考えれば。
『俺は大丈夫』
そう言い続けてきた。何度も、何度も。DDを使った後の嘔吐と、その後に来たショックと痛みの後も。前の層でオルトロスから隠れていたときも。俺は固まった、確かに、だが笑い飛ばした。俺はうまくやっていた。彼らは俺を何かとして見ていた。手が口元へと漂う、眉が引き締まる。俺は記録をつけていたんだ。「トップレコード」を。俺は安定しているべきだった。頼れる存在。すべてを笑い飛ばせる存在。だが、すべった。一瞬、その役を失った。
もう二度と、あんなことは起きない。
「かなり怖い顔してますよ」ゴブリンが言う。
首を振る。「んー。ありがとう、キュロス。教えてくれて」無理やり笑みを浮かべる。「もう百科事典だけじゃなくて、心理学の本にもなったんだな」
「いえ、どうか、私の発言を事実として受け取らないでください」彼が急いで言う。「あくまで観察にすぎません。それに、どうか、それを彼女に突きつけるようなことは、しないでください」
「――ハハ、俺を誰だと思ってるんだ?」
彼が何か他のことを言うが、俺の注意はすでに彼女に戻っている。あの銀髪の少女。
「彼女には、頭を冷やす時間が必要なんだと思う」半分独り言のように呟く。「後で話しかけるよ……燃えてないときに」
沈黙が数拍続く。会話が風に乗って漂い、過去のただの断片となっていく。だが、この静けさがこれ以上続けば、たぶんそれを埋めるために何か新しいことを始めてしまうだろう。
俺はそういうタイプなんだ。口論の後の沈黙に耐えられない、特にそれが俺自身に関わることなら。あの類の緊張が胸を蝕んでいく、いつも何かしなきゃという気持ちにさせられる。太陽が俺たちの残骸を焼き尽くすままにするより、あの家をもう一度建て直したい。
歩いている中、葉のざわめきが耳を捉える。大きくはないが、静寂を切り裂いている。それは、無音の部屋に落ちる針のような音だ。頭が少し左に傾く、好奇心がぴくりと動く。
いや、待て。聞いてない。聞いてないことにする。おそらく、俺の頭蓋骨に牙を食い込ませるのを待っている悪夢の生物だろう。ここに何が潜んでいるか、誰にもわからない。
ホラー映画で、いつも暗闇の物音を調べに行くバカが一人いるだろ?
ああ。
前方へと向き直る、もう一日を生き延びる完全な準備を整えて。
「……プスッ。今の音、めっちゃ怪しくない? 見に来た方がいいよ」
「……」
「……」
「……」
これ以上フラグを立てられるか?!?!
一歩踏み出す前に、何かが起こる。
背中に何かが激しく叩きつけられるのを感じる、息がほとんど吹き飛ぶほどに。
体が地面に投げ出され、反応する間もなくうつ伏せに引っくり返される。世界が黒いインクへと折りたたまれ、瞼が勢いよく閉じる。頭が土に叩きつけられる。
「……」
「……ああ、こいつ、完全に気絶してるな……」
―――――――――――――――――――――――
アニメで誰かが気絶させられると、頭の周りに小さな星や鳥が回るだろ? まあ、今、俺の目に映っているのは、この状況にしてはあまりにも陽気すぎる誰かの顔だ。
回転はしていない。
それに、俺は気絶していない。
少なくとも、もう。
なんでアニメの例えなんて持ち出したんだ、俺は。
「――うわあ、奴隷くん目覚めた!」
アリヴィアが目の前に座り、水槽を覗き込む子供のように見つめている。じゃあこれが、魚が毎日体験してることなのか。ガラスに何度もぶつかるのも無理はない。
前髪が顔の前に垂れ、彼女の動くたびに揺れている。
「生きてるなんて奇跡ね」アサカワが後ろから返す。その声のトーンが際立っている。
その口調だと、まるで呪いみたいに聞こえるんだけど。
彼女はアリヴィアの後ろに立ち、木にもたれかかり、ガントレットが、彼女がいつも持っているあの奇妙な鞘を握りしめている。その握力は、最も硬い金属でも押し潰せそうなほど強そうだ。
アリヴィアの左には、ナヴィが切り株に座り、俺の方に背を向けている。何をしているのかわからない。おそらく、暗く陰鬱な様子をしているんだろう。
キュロスとコルスが彼女の隣で会話に根を張っている。
今、頭上の木々に垂れる葉の影が、一帯全体を無秩序の海のように覆っている。影は、夕日のせいで力強く、より長く伸びている。
「久しぶりね、奴隷くん」赤髪の少女が微笑む。彼女の顔にはかなり赤みがさしていて、青白い肌とは対照的だ。
大きくうめく、その音が一帯に響き渡る。頭を両手で抱えている、今にも転がり落ちそうな感覚がある。まるで、列車の前に飛び込んだかのような気分だ。いや、もっとひどい。ロケット4本を装着した弾丸列車みたいな。
「どれくらい……俺、寝てた……?」
彼女が人差し指を唇に当て、視線を空へと漂わせる。「うーん、30分くらいかな」
俺の文章を最後まで言わせてすらくれない。まあ、少なくとも答えは得られた。
草の上に座っている、冷たく、湿っていて、ケツに何かが刺さっている。(おっと、韻を踏んだな。)土が凍えるほどでなければ、心地よかったんだが。実際、かなり冷えてきている。今着ているのは革の農民シャツだけで、これは寒さを防ぐにはあまり役立っていない。
彼女、少しどいてくれないと、俺、起き上がれないんだけど?
「一体、何が起きたんだ?」草の上で体を後ろにもたせながら尋ねる。記憶が朧げだ。何かが俺にぶつかった気がするが、それ以外は指の間からこぼれ落ちる水のようだ。かなりの衝突だったに違いない。
「ああはは……その、何かがあんたに、めっちゃ強くぶつかったんだよね?」
一瞬、彼女が冗談を言っているのかと思うが、視線が彼女の顔に移る。
彼女はあまりにも真顔でそれを言うので、もし彼女が呼吸を止めたら、あのダビデ像の彫刻と何ら変わらないだろうと確信する。
「本当に? てっきり、突然自分で眠っちゃったのかと思ってた」
「あ、うん、実際そういうことだったよ」
「俺のケツだよ!!!」
アリヴィアがわずかに身をすくめ、片目を閉じながら後ずさる。
そう、俺の息、嘘つきには臭いんだよ!
「うわ、そんなに叫ばなくても」彼女が呟き、両腕を上げる、まるで俺の攻撃から自分の体を守るかのように。
もうひとつの声が会話に割り込む。
「アリがあなたにタックルして、それから――」アサカワの声が始まったが、その音がアリヴィアの手によって塞がれ、遮られる。
アサカワもまた、俺がまったく気づかないうちに、ずっと俺たちのそばにいたらしい。
アリヴィアの頭がこちらに素早く向く。少女の顔に、緊張した笑みが広がる。
「――なんでもない、叫んで! できるだけ大きい声で叫んでくれると助かる!」
「証人を黙らせようとするな!」
前に飛び出し、アサカワの口からその手を引き剥がそうとする。真空の中で密封された排気口をこじ開けるかのようだ。うわ、彼女の腕力、とんでもないな。
気づく間もなく、アリヴィアが見覚えのあるダイヤルを取り出す。「矯正」に使われていたのと同じもの。要するに、俺の首輪と繋がっているあの電撃リモコンだ。
「20万ボルトでどう……!」
「よっぽど深刻な情報なんだな!」
もうどうでもいいくらいだが、彼女の腕を引き剥がそうとし続けている唯一の理由は、彼女がその秘密を隠そうとしている必死さだ。だから、感電したって? 数千ボルトくらい、どうってことない。
「ぐっ、片手じゃリモコン押せない!」アリヴィアが嘆く。
今の状況は、俺がほとんど転びそうになりながらアリヴィアの手を引き離そうとし、アリヴィアがその手をアサカワの口に押し付け続けている、という光景だ。アサカワ本人はというと、ただ静止したまま、無表情な顔で立っている。
正直、彼女はロボットと何ら変わらない。
「ここで何が起きているのですか?」
俺たちの頭が、一斉にその声の方へと弾かれる、まるで議会に集まった小さなフクロウたちのように。
コルス。
彼の両手は脇に垂れ下がり、この光景に完全に呆然としている。正直、責める気にもなれない。キュロスが彼の隣に立っている、腰の高さまでしかないが。驚いたことに、彼はこの手の光景を前にも見たことがあるかのような表情をしている。
突然のパンという音が空気に響き、思わずびくりとする。アサカワが、あまりにもさりげない力でアリヴィアの手を口から剥がしていて、ほとんど気づかなかった。
「アリヴィアが、また自分の愚かな決断を隠そうとしています」アサカワが平坦に告げる。「奴隷に、彼が意識を失った原因が彼女だと言うのを避けているのです」
「――ぐわああああ……」アリヴィアが、空気の抜けた風船のように崩れ落ちる。
「なんで『奴隷』って言葉、そんなに強調するんだよ!?」
「そういう存在だからです」アサカワが即座に返す。
「もういい!!」この時点で、叫びすぎて息が切れている。
「もう少しトーン抑えないとな」呟き、腕で額を拭う。
「そう思う?」アリヴィアの声が俺の下から聞こえる。
うめきながら、髪を後ろへとかき上げる。
コルスが視界に歩み入り、俺の目の前にまっすぐ立つ。「久しぶりだな、カイト殿」そのワイトが言う、口調から満足感が滲み出ている。手が俺に向かって差し伸べられている。
思わず笑ってしまう。上体を起こし、手を差し出す。コルスはそれをしっかりと握り、ほとんど力を入れることなく俺を引き上げる。彼のグローブは肌に対してゴムのような感触がする。たぶんそれが「しっかり」した握手感の理由なんだろう、ゴムと肌の接触が。
「こっちこそ」
本当に奇妙だ。誰かが頭蓋骨を目にすれば、最初の本能は恐怖のはずだ、それは死そのものの反映だから。
――だが、その空洞の眼窩を覗き込むと、ただの仲間の人間としか見えない。それが、奇妙なくらい安心する。
「で、お前らはここまで何やってたんだ?」
「それに、俺たちどこにいるんだ?」
「私たちの村の外れから、ほんの数インチのところにいます」キュロスが答える、その聞き覚えのあるしゃがれた声が空気を切り裂きながら。
左を向き、頭を後ろに傾ける。視線が、ずっとそこに聳え立っていた巨大な壁へと漂う。その質感はセメントのようだが、表面を割る小さな亀裂とへこみに覆われている。
だが、その高さこそが、狂気じみている部分だ。基本的に巨大な洞窟に住むゴブリンたちのために、これは印象的だ。声に出して言うつもりはないが。まあ、今、目の前にひとつあるわけだが。
「ああ、じゃあここまで来たのか」
コルスの方へと頭を向ける。「ところで、お前らどうやってここまで来たんだ?」
当然の疑問だ。俺たちはこの地下深くにいて、それにはそれなりの時間がかかったはずだ。
「カルシファーが、私たち全員を運ぶのにほとんど苦労しませんでした」アサカワが説明する、近くで骨をかじっているコボルドを指しながら。彼の隣には、巨大な牛のような生き物が横たわり、その腹が風船のように膨れ上がっている。おそらく分解中だろう。もしあれが破裂すれば、その悪臭がどんなモンスターよりも早く俺たちを殺すだろう。
「かわいそうに、あいつ、疲れ果てただろうな。何日もぶっ通しでお前ら三人を運んだんだろ? 食料はどうしたんだ?」
「実際には、たった12時間しかかかりませんでした」彼女が答える。
「?!」
「それは動物じゃない、ジェスコ・アブソルートだろ!」
一体あいつに何を食わせてるんだ? コボルドがあんなに速いなんて記憶にないんだが。
「夜間に、ほとんどの距離を進みました」コルスが付け加える。「影の届かない暗い場所では、大半のコボルドはより速く動く傾向があります。というのも、彼らは本質的に洞窟に住む生物で、暗闇でより機能が高まるからです」
「なるほどな……」
視線が再び、あの巨大な壁へと戻る。ちょうどそれを通り過ぎたところで、銀髪の少女が脇に座っているのが見える。それから再びコルスの方を向く。
「で、計画は? 突入するのか?」
「話し合っていたところだ」コルスが言う。「キュロスが概要を説明してくれたが、彼がここを離れてから多くのことが変わっている」
キュロスが頷く。「私たちの人数を考えれば、十分な戦力があります――もちろん、あなたを除いてですが」彼は一拍置く。「……最善の策は、アリヴィアが唱えるアンブリオス・ヴェイルの呪文の下で、正門から侵入することです」
普通なら、なぜ正門から入るのかなんて疑問には思わないだろう。彼らがあの生物たちにどう対処してきたかを見てきたから。だが、ひとつ明白な問題がある。
目を細める。「でも待て、あんまり油断しすぎない方がいいと思う。あのオーガはどうする? あんなのを率いてるなら、普通のゴブリンのはずがないだろ」キュロスに目をやる。「もし彼がお前が去ったことを知ってるなら、たぶん俺たちのことも予想してるはずだ。それに、たとえお前が戻ってきたと思っていなくても、少なくとも誰か仲間を連れてくるとは予想するはずだ、特に、あいつが人間――ってか理知的種族の捕虜を取ってるならなおさら」
「用心深いのは正しいことです」キュロスが返す。「ですが、これが最善の選択肢であることに変わりはありません。壁はよじ登るには高すぎますし、下を掘るのも不可能です」
「町の約25パーセントは地下に広がっています」彼が付け加える。
「ふむ」
顎に手を当て、考える。よじ登るには高すぎる。掘るには深すぎる。それに、確か、門には弓兵が配置されていたはずだ。手が首元へと動き、そこを撫でる。
それでも、たぶん不可能じゃない……
「重力魔法とか、あそこまで俺たちを持ち上げてくれる呪文はないのか?」尋ねる。
「アンブリオス11なら使えるわ。あたしたちを持ち上げる手を作るの」アリヴィアが言う、土の上に脚を組んで座りながら。「でも、壁は木より高いし、影を落とすものがない」
そうか、影の魔法か。影が必要なんだな。
「私はグラヴィタス1を使えますが、これはより高位のタウマ呪文で、莫大なエネルギーを必要とします。仮にその負担に耐えられたとしても、最大容量は一人分です。これほど多くの人数を持ち上げることはできません」
頷く。
視線が、特に高い一本の木へと漂う。
「アイデアがある」
―――――――――――――――――――――――
しばらく後
「奴隷くん、今のあんた、めっちゃ間抜けに見えるよ……」
刃をしっかりと握りしめ、木の幹をのこぎりで切っている。木くずが顔に飛び散り、一本があやうく目を刺しそうになる。コルスが手伝って切り倒してくれた巨大な木の塊が、目の前に横たわっている。
「両側を切り落としてるんだ」うめきながら言う。「プラットフォームを作ってる」
アリヴィアがアサカワに目をやる。二人とも同じ困惑した表情を浮かべている。
「まあ、見てればわかるよ」歯を食いしばりながら呟く。この作業のためにアリヴィアの長剣を借りていて、どういうわけか、これだけ酷使されているのに完璧な状態を保っている。
ついに最後の一片を切り落とし、地面に倒れ込む。
「コルス、カルシファーにこれを持ち上げさせられるか?」
―――――――――――――――――――――――
「なんでその死んだアンブラを運んでるの?」アリヴィアが鼻をつまみながら尋ねる。
「わかってるよ、死体臭いって」歯を食いしばりながら答える。背中を曲げ、それを頭上に持ち上げるためにさらに力を込めようとする。「でも必要な犠牲なんだ」
「ん?」
「そのうちわかるよ」
「……いけすかない奴」
―――――――――――――――――――――――
俺たちは今、全員、木のプラットフォームの上に座っている。それは巨大な死んだ牛のような生物の上に載っている。みんな困惑している。俺だけがニヤニヤしている。
「よし、みんな!」手を叩く。
「なんで俺たちが、巨大な死んだ牛みたいな生き物の上に乗ったプラットフォームの上に座ってるのか、疑問に思ってるだろ?」
「まあ、見てろよ――」木の中にある小さな穴を指差す。「あの生物、しばらく分解が進んでてな。消化器官の中はメタンガスでいっぱいだ。それに、狭い空間の中で、空気もほとんどない」
「じゃあ、これに」大きくニヤリと笑いながら言う。「ちょっとした火を混ぜたら、何が起きると思う?」
「わかりました」キュロスが言う。「爆発しますね」
「そのとおり」
全員が沈黙し、俺を見つめる。
「もし本気で、あたしたちをアンブラの死体で空高く吹き飛ばそうとしてるなら、奴隷くん、あんた、頭どうかしてるわ」
「はいはい。ナヴィ、あの電気のやつ」
まだこちらに背を向けたまま、彼女が指を鳴らし、何かを小声で呟く。手が小さな穴を指し、それから――
ドカーン!
内臓と血肉の生々しい爆発が、下の地面へと飛び散る。同時に、俺たちは4メートルほど空中へと打ち上げられる。ヒューという風の音が耳を掠め、思わずびくりとするほど鋭い。
期待していたほどの高さじゃないが、それでいい。俺の目標は、死体で6人を壁の上へと発射することじゃなかった。俺はイカれてない。
「アサカワ! 重力の呪文!」歯を食いしばりながら、プラットフォームにしがみつく。もちろん、推進力は完璧な垂直じゃなかった。それは不可能だ。
俺たちは案の定、左に逸れ始めている。
「グラヴィタス1、浮遊」
プラットフォームが上昇を止め、代わりにエスカレーターのように上へと動き始める。まだ重力に逆らってはいるが……礼儀正しく。
「頂上に着いたらどうするつもり?!」アリヴィアが叫ぶ。
「お前のあのマントみたいなやつ使うんだ! その後は――自由落下だ!」
壁の頂上が、膨らみ上がる地平線のように近づいてくる。アサカワの顔は青白く、張り詰めている。おそらく、彼女の内臓がずたずたにされているんだろう。
「使える影がないわ!」
俺たちのプラットフォームが壁に落としている長い影を指差す。太陽の位置を確認しておいた――この馬鹿げた計画全体を、それに合わせてタイミングを取っていた。
「あと少しで――!」
俺の頭の最初の毛が頂上を越えた瞬間、視線をアリヴィアへと弾く。
「今だ!」
彼女の目が見開かれるが、即座に従う。指を噛む。
「アンブリオス5、外套」
壁に伸びる影が形を変え、生きているかのようにねじれる。一瞬のうちに、それが俺たちを毛布のように包み込む。音が死ぬ。光が死ぬ。現実世界を映す小さな隙間を除いて、すべてが死ぬ。
ポケット次元? マジかよ?
その隙間を通して、粗末な木造の家々が見える、小さな塊がその間を全力疾走している。おそらくゴブリンだろう。だが、中央の構造物が俺の目を引く――悪魔の頭のように、二本のギザギザの角が上向きに突き出た巨大な建物。町の集会所だ、その構造を覆う大きなドームからそれとわかる。
もっと見つめる間もなく、何かが腕を掴む。
「カイト殿、下降は急速です! 私に掴まってください!」コルスが叫ぶ。
振り返る。
アリヴィアが、まるでパラシュートのように頭上の外套を握りしめている。俺たちは壁に沿って滑っている、それほど速くは落下していない。
何をそんなに慌ててるんだ――
胃が沈む。風がトンネルの崩落のように耳の中で悲鳴を上げ、思わず目をきつく閉じる。それから……何もない。衝突もない、骨の砕ける衝撃もない。ただ、消音された力で地面に打ちつけられる、まるで音そのものが存在を拒んだかのように。
だが、これは激しい衝突で、体が地面から跳ね返る。着地の衝撃で、何か重要なものが壊れることはなかったと思う。
だが、本当に痛かった、それは確かだ。
しばらく地面に横たわり、息を整えようとする。
うめきながら、体を起こす。俺たちの姿を覆っていた外套は、もう消えている。全員無事のようだ、肩の埃を払っている者もいる、まるで今それが本当に重要であるかのように。
かっこよさが生存よりも優先事項らしい。まあ、鎧の上にジャケットを着てる連中に、何を期待できるっていうんだ?
俺たちは、大きな建物の裏手にある、路地のような隙間にいる。魚の匂いがする、食べ残しと奇妙なカプセルがあちこちに散らばっている。
「みんな大丈夫か?」尋ねる。
親指を立てるサインと頷きが、返事として返ってくる。
キュロスが話す。「ここから、町の集会所までおよそ20メートルです。記憶が正しければ、少なくとも一つの守備隊の兵舎が近くに配置されているはずです」彼の口調は今、真剣だ、先ほどとは鮮明な対照をなしている。
「我々は、タイロクスを暗殺しに行く」コルスが言い、二丁のリボルバーを抜く、どちらも艶やかで暗く、優雅な死の機械だ。
アリヴィア、ナヴィ、アサカワが全員武器を抜く。キュロスさえも、両手のあの爪のような形状を振るう。全員が戦闘モードに入っている。まったく、これぞ典型的なファンタジー物語で見るような光景だ。
思わず、少し興奮を覚えずにはいられない。
だが、これは危険だ。
……。
「危険」という言葉が頭をよぎった瞬間、別の何かが混戦に加わる。
死。
死にたくない。俺の最後のチェックポイントは一体どこにあるんだ? まだ、あの洞窟の奥まで戻るのか? いや、いや、俺は死にたくない、それだけだ。まるで残された命が一つしかないかのように、死を避け続けるつもりだ。同じ手順を繰り返さなきゃいけないという事実ですら問題じゃない、問題は、それがあまりにも痛いということだ。死ぬとき、まるで今にも押し潰されるような感覚がする、息ができない。あらゆる動きが、骨が針に変わって皮膚の内層を突き刺しているかのように感じられる。
だが、最悪なのは、それが毎回違うということだ。
もう二度と、死にたくない。
セイブル・ヴェイルの全メンバーが、フルフェイスマスクを身につける、それぞれデザインは違うが、ひとつの重要な類似点を共有している――下部にギザギザの赤い歯列が並んでいることだ。
「俺は?」
「あんたはここに残って。戦闘経験がないでしょ」アリヴィアがマスク姿の顔をこちらに向けもせずに言う。
拳が勝手に握りしめられる。背中を、蝕むような感覚が這い上る。
「偵察くらいならできる」反論する。
「いや。お前は安全な場所に留まるべきだ」コルスが付け加え、それから全員が背を向ける。「1時間以内には戻る」
「ちっ……」
なんで俺だけ、置いていかれなきゃいけないんだ? 俺はあそこですべてをやったのに。頭を使った。俺こそが賢い方だ。俺が必要なはずだろ? 自分が強くないのはわかってる、でも、何かできることがあるはずだ。俺にしかできない何かが――
小さなゴミの塊を蹴飛ばす、そして――
何 か が
俺 を
掴 む
それが激しく締め付ける。一ミリでも身じろぎすれば、胴体全体が砕けてしまうほど強く。あるいは、もっとひどければ、綺麗に真っ二つに裂けてしまうほどに。
温かさはない。息もない。存在感もない。ただ、冷たい圧力が肋骨をまっすぐ貫き、骨髄へと沈み込んでくるだけだ。指がゆっくりと肌に食い込み、血を引き出していく。叫びたいが、もう片方の手が頭を掴む、まるでボールのように握りしめながら。
「――少しでも急な動きをすれば、こいつの頭を果物のように握り潰す」
深く、脅迫的な声が、頭上のどこかから轟く。
「んんぐぅ!!」
何も見えない。目の前にいる仲間たちだけが見える、体を固め、構え、緊張している。震えてはいない、後退もしていない。ただ、待っているだけだ。
指が目に押し込まれ、今にもそれを破壊しそうになる。すでに指が中に入っているせいで瞼を閉じられず、指がさらに深く食い込む中、涙を流すことしかできない。
「無駄な戦いは望んでいない。代わりに、俺が所有する奴隷たちを手に入れるための、別の選択肢を提示しよう」
これは……タイロクスなのか?
彼は見えない。それでも、何か太古の、何か原始的な何かが、肌の下に沈み込んでくる。ショックが液状化し、体のあらゆる隙間を満たしていく。ああ、この見慣れた感覚――何度も俺を飲み込んできた感覚。
恐怖。純粋で、変わることのない恐怖。
敵は、すでに俺を捕らえている。
「そうだ」
「――この少年に挑戦しよう、お前たちの中で最も弱い者に、ゲームを」
―――――――――――――――――――――――
私は、弱いくせに強いふりをする人間が大嫌いだ。
手が左右に揺れ、その勢いが体の主導権を握っていく。
ろくに持ち上げられもしない剣を振り回して、胸を張るような連中。1分すら痛みに耐えられないくせに、最後の一息まで戦うような素振りをする。ムカつく。だって、あいつらがやってるのは……ただの演技だから。
背後から、彼らの声が聞こえてくる。だが、風でざわめく森の葉が、その音を少しだけかき消している。
あいつらは、偽りの誇りの裏に自分の弱さを隠す。誰にも、その下にあるものを見られないように願いながら。
あいつらには何の目的もない。持ちたいとも思っていない。ただ同じ退屈な人生を生き続ける、決して前に進まず、決して何かより良いもののために血を流さない。ただ、誰か強い誰かが自分を救ってくれるのを待っているだけ。寄生的な存在。
手が鞘へと伸びる。 B L A Z E B A N E は、そういう人間たちのために存在する。それは内側から燃やす。肉と血だけじゃない、嘘も。それは内側に食い込み、あいつらが封じ込めているあの虚ろな核にまで達し、あらゆる偽りがあいつらの体から抜け出るまで、その過程でそれを燃やし尽くす。それは、あいつらの本当の姿を暴き出し、その未開発の力を、あたしに与えてくれる。
少なくとも、あたしはそう解釈している。『強者は栄え、弱者は退化する』それが、あたしの周りの誰もが昔言っていたことだった。自分を正当化するための、馬鹿げたスローガン。仲間の一人が目の前で切り倒されても、まったく気にしないときに使われる言葉。
それでも……そこには真実がある。苦しむ覚悟がないなら、成長する資格なんてない。痛みに耐えられないなら、ずっとその中で泣き喚いていればいい。それがこの世界の掟だ、どれだけ人が公平さについて泣き言を言おうと。「苦しんだ者だけが栄え、そうでない者は退化する」その方がしっくりくる。なぜなら、強さは、決して壊れないふりをすることから生まれるものじゃないから。それは、実際に打撃に耐え抜くことから生まれるものだ。 ……そうよね? そういうものだ。そうであるべきだ……。 ……もういい。忘れよう。くそ、全部くそだ。あいつ、一体自分を何様だと思ってあたしに怒鳴ったわけ?!
このクソ弱虫めが!!




