行動
うめきながら、近くの茂みに手を這わせる。その葉は柔らかく、触れていて心地よいくらいだ。だが今、頭の中には心地よいものなど何もない。あらゆる神経が生々しく、まるで遠くまで引き伸ばされているかのように感じる。
右手は近くの大岩に固定されている、それが俺の姿をほぼ隠してくれている。
左手は、ナヴィが適切に火をつけてくれた小さな木の棒を握っている。それを高く掲げ、周囲に火を移してしまう可能性を避ける。
足が草の中で落ち着きなく動く、その繊維が脚をかすめる。少し眠気がある。
目を細め、遠くに焦点を合わせようとする。二つのかすかな影が、平原の遥か向こうを動いている。
ナヴィとキュロス。
かろうじて彼らの姿を捉えられる、虚無を背景にした二つの点として。ここに植生がなければ、この距離で見えるはずがない。それでも、彼らが歩き始めてからもうかなりの時間――15分、いやそれ以上経つのに、まだ彼らの動きを追える。歩くペースすら遅くない。
この世界は、俺を驚かせるのをやめない。ルールを理解したと思うたびに、何か新しいものを顔に突きつけてくる。
体を再び自分の場所へと沈み込ませ、深く息を吸う。太陽が頭上の巨大な裂け目から照りつけ、光を谷へと注いでいる。それが目を焼くので、視線を逸らし、再び地面を見つめる。
今、俺にできることは待つことだけだ。あの生物が二人に対して動くのを待つ。俺が二人を囮に使っていると言われれば、そう見えるかもしれない、だが、そうじゃない。ナヴィは自分の身を守れる。もし攻撃されても、彼女はすぐに屈したりしない。
俺は? 俺はあいつと正面から戦うつもりはない。それは、あらゆる意味で明らかな自殺行為だ。俺の仕事は、あいつがどうやって俺たちを追跡しているのかを突き止めることだ。もしあいつに俺を気づかせることができれば、それは勝ちだ。もし引き離すことができれば、それはさらに大きな勝ちだ。
だが、もしその過程で死んだら――
胃がねじれる。くそ。
激しく首を振り、その考えを振り払おうとする。いや。もし死んだとしても、少なくともあいつがどう動くかはわかる。それだけでも、何かの価値がある。
今のところ、俺の100万ドルの推測は、あいつが地下を移動しているということだ。前の世界を考えれば、それは十分明白だ。あいつは文字通り床から現れて……
だが、地中に潜る生物でも、空気は必要だ。鼻があるということは、肺があるということで、それは呼吸しなければならないということだ。犬種は、地上に出るまでせいぜい5分ほどしか地下に留まれない。それを知っているのは、地元の友人がラブラドールを飼っていたからだ。あのふさふさした奴は、掘って自分を埋めるのが好きだったが、いつも息を切らして、鼻先に土をぶら下げたまま浮上しなければならなかった。犬は空気をごまかせない、ある意味、俺たちに似ている。
だが、このモンスターはラブラドールじゃない。巨大だ。より大きな肺。より大きな容量。つまり、その倍の時間――もしかしたら10分くらい――地下に留まれるかもしれない。確信は持てないが、備えておくしかない。
うーん、もしかしたらそういう呼吸の仕方なのかもな……
いや、確信するには、自分の目で見る必要がある。
周囲を見回す。
まだ何もない。
遠くの二つの人影を睨みつける、今やほとんど見えないほどで、地平線に溶け込み始めている、それは木立の際にあたる。くそ。あいつらはキュロスの村の近くの森へと向かっている。(もし本当に、前の世界で見たのと同じ壁だとすればだが。)
彼らがそこに入れば、もう見えなくなる。そうなれば、もっと近づかなければならなくなり、それは俺を危険に晒す、身を晒すことになるから。
こいつは、自分から姿を見せる必要がある。
右手の燃える棒を握る手に力が入る。炎が揺らめき、木を噛み、ゆっくりと食い尽くしていく。ナヴィがさっき火をつけてくれた。これが俺の手に燃え移るまで、まだ少し時間がある、だが無駄にはできない。この火は、ただの見せかけじゃない。次に来ることのために必要だ。
再び野原を見渡す、あらゆる筋肉が張り詰めている。頭の中で二つのタイマーが刻まれている、モンスターの迫り来る気配と、手に忍び寄るゆっくりとした燃え広がり。どちらも俺を殺しうる。どちらも、俺がへまをするのを待っている。
脚を突っ張って立ち上がり、しゃがみ込む姿勢に体を落とす、頭が左右に弾かれる。あらゆる神経が、警戒を怠るな、瞬きするな、草の揺れ一つ見逃すなと叫んでいる。心臓があまりにも激しく鼓動していて、歯にまでそれを感じる。
この野原の開けた性質のせいで、それがさらに恐ろしく感じられる。すべてが見えるのに、同時に何も見えないという意味で。
神様、以前も追われたことがある。追い詰められたことも、狩られたことも。だが、これは? この圧力は、これまでのどんなものよりも深く食い込んでくる。全身が、どんどんきつく巻き上げられていくような感覚がある、一秒ごとに内側から俺を引き裂いていく。前に飛び出したい、走りたい、何でもいい、だができない。俺が崩れた瞬間、俺は死ぬ。
そして、そのとき――
動き。
右手15メートルのところで、大地がのたうつ。草が裂け、土が盛り上がりながら隆起していく。何か巨大なものが、恐ろしい速度で地下を突き進んでいる。
頭がそれに向かって弾かれる、突然の動きに驚きながら。
そこだ! 地面が突然、水面のさざ波のように――ただし車より速く――平原を切り裂きながら盛り上がる。
突然……
大きな塊が空中へと跳び上がり、太陽を覆い隠し、影を落とす。その生物の細かい部分は見えないが、確固たる結論を出すには十分だ。
あいつは、地表に出続けるリスクを冒すより、息継ぎのために跳び上がっている。
今、俺は一歩先んじているかもしれない。
アドレナリンが俺を動かす。よろめきながら立ち上がり、それから駆け出す。松明を握る手に力が入り、風から炎を守るように胸に押し当てる。もしこれが消えたら、俺は終わりだ。次のステップは、急な動きを避けること、それが消えないように。皮膚をかすめる燠火のかすかな熱を感じるが、大したことはない。
今、俺の頭の中の運転席に座っているものはただひとつだ。あの呪われたモンスター。
今重要なのは、それを俺の方に引き寄せることだけだ。俺の匂いを嗅がせろ。俺を見せろ。来させろ。それが俺を追跡するために何をしていようと。
―――――――――――――――――――――――
掘る。
それが、その瞬間のライロスがしていたことの唯一の説明だった。フォーク状の爪が土に食い込み、機械的としか言いようのない速度で土をすくい上げていく。それぞれの手足がリズムに固定されている、一方が切り崩し、もう一方が塊を後ろへと引きずり、その過程が何度も何度も繰り返され、周囲に土が息を詰まらせるような爆発とともに散っていく。
闇は絶対的だった。視覚は無意味な言葉だった。漆黒がすべてを飲み込み、動きの生の感覚だけがその体を導いていた。息はぎこちなく、あえぐような呼吸で、口を開けたまま前進を続けるたびに土の破片が口の中に飛び込んでくる。
それでも、それは進み続けた。もはや飢えだけが、その原動力ではなかった。
これは、何か違うものだった。何か個人的なものだった。主人はこれを命じた、そうだ、だがそれ以上のものがあった。怒りだ。
それは、以前の層で鼻先をすり抜けていった獲物の記憶だった。誇りへの苦い傷だった。どうして、このような獣が、そのような誇りを持ちうるのか? だが間違いなく、それはこの人間じみた感情を持っていた。それが、怒りの憤怒に火をつけた火花だった。
その爪の下で、何百もの命が奪われてきた。獲物の中のホローポイントを検知するその能力を、誰も逃れられなかった。誰も、捕まえられずに逃げおおせたことはなかった。今までは。
ライロスの目が、ゆっくりと前方のある位置に固定されていく。
視界の中に、二つの兆候が燃え上がる。これは、この種の異形の者たちがほぼすべて持つ能力だった。ホローポイントのマーカー、光る生命の形。ひとつは小さく、弱い、だがそれでも価値がある。おそらく、一つか二つの明確な光る点。もうひとつは、まるで炎のように燃えている。赤く、水ぶくれのようで、銃創のような隙間がその姿全体に散らばっている。それは力を秘めていた。それは、オルトロスをためらわせた、ほんの一瞬であっても。
それは、彼らを恐れなかった。いや。恐怖という言葉は、その体の中には存在しなかった。だが、戦利品……戦利品は、それが望むものだった。
そして、そのとき。
足音。
背後から。
大きくはない、だが否定しようのないものだった。その存在は、無視するにはあまりにも近すぎた。驚いて、その生物は土の中で凍りつき、爪が、その狂ったトンネル掘りの中で初めて静止した。ゆっくりと、頭を回転させ、その視覚をこの新たな人影の方へと向ける。
何もない。
ホローポイントがなかった。
あり得ない。すべての生物はそれを持っている。それは法則だ。存在の石に刻まれた真実だ。それを持たないということは……つまり……
それは瞬時に方向を変える。
怒りが、執着へと変わる。自然の法則が、唾を吐かれたのだ。この存在は、獲物ではなかった。何か別のものだった。だからこそ、それはより速く掘り進む。狂乱し、駆り立てられて。土は、その爪の下で薄紙のように剥がれていく。
この生物……それは、現実の地盤を踏みにじっていた。存在してはならない何か、世界の鎖に根本的に反する何か。
もし、こんなものが存在するなら……
『それなら、美味いに違いない!』
それが、その獣の心に浮かんだ考えだった。それは、結局のところ、この生物がただの獣にすぎないということの証だった。
近い。近い。
上にいた人影が気づいた。予想通り、走り出した。運命づけられた者の逃走。無駄な。
掘り進む中、何かが叫んだ。オルトロスの肺が。空気。それが必要だった。胸の壁が窒息で焼け、進路の変更を強いた。体を上向きに曲げ、トンネルを断ち切り、爪が土の最後の層を切り裂いていく。
そして、大地が崩れた。
光と風の轟音がその体に叩きつけられ、地面から噴き出す、土が噴火のように空へと飛び散る。日光がその青白い肌を焼いた。一瞬、世界が明らかになった、鋭く鮮明に、飛び越えが再開される前に。その長く筋張った腕は体の残りとともにたたまれ、完璧な空気力学で飛び越えを可能にしていた。
だが、それは何かを見た。
着地点の真正面に、草と葉で偽装された虚ろな穴があり、その中央には平らな石が置かれていた。その傍らには、少年が立っていた、顔いっぱいに大きな笑みを刻み、松明を持って。
オルトロスは空中で体をひねり、必死に落下の軌道を変えようとした。体を回転させようとし、その軌道から爪を立てて逃れようとし、仕掛けられた罠から逃れるために何でもしようとした。
その鼻先が地面へと角度を変える。わずか数秒のうちに、それはすでに地表を破っていた、土と葉が激しい爆発とともに上方へと噴き上がる、まるで爆発が空気を切り裂くかのように。
その体は穴の中へと滑り込み、草と茂みの層を押しのけていった。滑らかだった、あまりにも滑らかすぎるほどに。
だが、その瞬間、ひとつの指令が即座に支配した。逃げろ。この浅い地面を突き抜け、他の何かが実行される前に、固い地面の安全へと再び潜り込め。
だが、そのとき。
その生物は、ゆっくりと前進を止め始めた。深さは、それほど大したものではなかった。もしライロスを落下させて殺すことが目的だったなら、失敗していた。地面は十分に厚くなかった。なぜだ? こんな浅い穴に何の意味があるんだ?
オルトロスはためらった。爪が動きの途中で止まる。困惑がその原始的な心に広がる、ほんの数瞬前まで知っていたリズムへの鋭い停止。ゆっくりと、本能的に、頭を上へと傾ける。頭上の少年のホローポイントが、視界の中で鋭く浮かび上がる。
それらは静止していた。動かない。
そして、そのとき……何かが落ちてきた。
少年の手が、穴の中に何かを投げ入れた。かすかな筋が空中を落ちていき、ほぼ即座にオルトロスの鼻孔が広がる。
匂いが最初に襲ってきた。灰。煙。炎の生々しい燠火。
その理解が、その心に叩きつけられる、本能を、無視できない明瞭さで引き裂きながら。
少年は、穴に火を――
―――――――――――――――――――――――
火。それが計画だった。
俺が以前立っていた場所、あの岩のある場所は、実質的にはくぼみだった。ただの土の穴で、中央にひとつの石板があり、両脇には頑固にしがみつく土くれがいくつか残っているだけだった。だから、俺はこの天才らしく、永遠にも思える時間を費やして、見つけられる限りのものをそこに詰め込んだ。枯れた草。乾いた樹皮。小枝。あの生物が飛び込んだ瞬間、その穴全体が火葬台へと変わるように、燃えやすいものなら何でも。
ナヴィがくれた燃える棒が、この大砲の引き金だった。
そして、そのバカな奴は、それを予想できるほど賢くなかった。
炎がほぼ3メートルの高さまで轟音とともに立ち上るのを見つめる、熱が肌に脈打つように押し寄せ、橙色の輝きが現実そのものを食い尽くすかのように穴を飲み込んでいく。手が、考えるまでもなく自然と握りしめられる。思わずニヤリとする自分に気づく。
ああ。もう生きてるはずがない。まだ油断して背中を向けるほど馬鹿じゃないが、頭の中ではすでに次のステップを考え始めている――ナヴィとキュロスと合流すること。
荒れ狂う炎を見つめる。炎がその穴の上でパチパチと音を立ててねじれ、まるでその墓の上で踊っているかのように、乾いた燃料を食べながらシューシューと音を立て、唾を吐いている。煙が喉にまとわりつく。数分が過ぎていく……一、二……それでもまだ、俺は動かない。
音はない。動きもない。それが死んでいる確率は、ほぼ絶対的だ。緊張していると言いたいところだが、そうじゃない。自信がある。
あいつは、落ちた瞬間に焼き尽くされているはずだ。
ついに、頭を動かし、動く準備をする。
でも、奇妙じゃないか? 普段なら、俺は激怒しているはずだ。こいつは前に俺の仲間を殺した、友達とは言えないかもしれないが、誰かを、真っ二つに引き裂いた。それが起きたとき、何か感じるべきじゃなかったのか? 悲しみ? 怒り? 何でもいい? だが、いや。俺はただニヤリとしただけだった。まるで、ゴキブリがゆっくりと死んでいくのを見ているかのように。
その答えが、ハンマーのように俺を打つ。
衝撃が背中に激しく叩きつけられ、肺から息が吹き飛ぶ。無力に転がる、草が腕を切り裂き、頭蓋骨が地面に叩きつけられ、空と地面が病的な、回転するダンスのように入れ替わる。耳の中に、サイレンのように唸る突風が満ちる。ようやく滑り止まったとき、全身が真っ二つに割れたような感覚がある。
うめきながら背中を押さえる、指がその痛みを鈍らせようとするかのように自分の体に食い込む。息を吸うたびに、背中が引き裂かれるような感覚がある。
くそ。肋骨が折れた。それはわかる。
痛い。肺の中で溶けた鉄のように焼ける。どんな小さな動きも痛みを鋭くする。叫ばないよう舌を噛みしめ、地面の上を転がり、片手で体を支えられるまで動く。視界が揺れるが、無理やり目を前方に向ける。
そして、それが見える。
炎の中から、手が立ち上がる、もしまだそれを「手」と呼べるなら。真っ黒に焦げ、皮膚が水ぶくれになって剥がれ、肉が骨から溶け落ちている。それが盲目的に振られ、それから地面を掻く。
よろめきながら立ち上がり、脇腹を押さえ、驚愕して見つめる。
それから肩が来る、山のように大きく、腕よりもさらにひどく焼けている。かつて青白かった皮膚に、黒と赤の筋が取って代わっている。頭が最後に持ち上がる。
それは常に醜悪だった、落ちくぼんだ飛び出た目、ワニのような、バターのように肉を切り裂ける針のような歯が並ぶ鼻先。だが、これは地獄からそのまま出てきたような何かだ。
顔は溶けた廃墟だ。筋肉と組織が串刺しの肉片のようにこびりついている。皮膚の亀裂が泡立ち、互いに崩れ落ちていく。片方の眼球が眼窩から垂れ下がり、それでも俺に穴を穿つように見つめている。かつて皮膚と筋肉の層に覆われていた血管が、今は剥き出しで痙攣している。口はほとんど焼けただれた肉で塞がれているが、それでも十分に開き、顎の上部から突き出た歯を露わにする。鼻先が糸だけでぶら下がっている。
そして、それが叫ぶ。
甲高い、人間じみた悲鳴がそこから引き裂かれ、高く割れて、平原中に反響する。それが痛みなのか怒りなのか判別がつかない。わかっているのは、その音が頭蓋骨に食い込み、俺を震わせるということだけだ。
叫ぶたびに、口が溶けていく。
それでも、突進してくる、左腕は一本の骨だけでぶら下がり、まるで引き裂かれた旗のように、三本の手足で突進する背後ではためきながら。舌が、焦げて役に立たなくなり、まるでおぞましいスカーフのように自らの首に巻きついている。
後ずさり、それから全力疾走に移る。脚がばたつく。胸が焼ける。振り返らない。
だが、自分がどこにいるかは覚えている。
俺は開けた野原にいる。遮るものは何もない。木もない。こいつは俺より速い。たった一秒あれば、俺に追いつく。疲労が筋肉を引きずり下ろす。心臓が胸から引き裂かれそうだ。あいつの体の熱が背中を打つ。悲鳴が上がり、それからゴボゴボという音に変わる、焼けた肺が湿った、恐ろしい音を立てながら。それでも、走り続ける。
それでも、追ってくる。
なんで止まらないんだ?! 死ねよくそ!!!!
「うぐぁ! はっ! はっ!」
獣のように喘いでいる、何でもいいから助けてくれと祈りながら。これは因果応報なのか? 生きたまま焼いたことへの報い? 何かの神罰なのか? いや。いや、あいつが悪だ。こんな目に遭って当然だ。もっとひどい目に遭って当然だ。
なのになんで、俺の方が罰を受けてるんだ?! こんなクソモンスター、当然の報いだろ!!
そして、それが起きる。最も小さな、最もありふれたこと。足が引っかかる。
つまずく。
終わりだ。
それでもまだ、敗北を受け入れられずに、振り返る、何かしらの神の助けを期待しながら、あいつが即座に俺を殺さないことを。あいつが『十分怖がらせた』と思って、引き下がってくれることを。
あるいは、満腹になっているとか。あるいは、憐れみを感じてくれるとか。何でもいいから、頭に浮かんでくる、この生物が最初のチャンスで容赦なく俺を突き刺さないという可能性はないか。手を目の前に上げる。
慈悲を乞うために? 噛みつかれるのを止めるために?
「待て――!」
その生物は、俺の目の前でどろりと止まる、その溶けた顔が痙攣している。脳から灰色の物質が流れ出るのが見える、未知の液体とともに流れる、ぐちゃぐちゃの塊。体が動き、痙攣する、動いているようで動いていない。口が開く。何かが内側から込み上げてくる――
俺の世界が、燃え上がる。
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
火だ。今まで感じたどんなものよりも熱い。焼ける肉、俺の肉が。あいつが自分の溶けた内臓を俺に向かって吐き出した!! 息ができない。考えられない。すべてが叫んでいる、俺も、空気も、俺の肌も。
火に包まれている。
草の上を転がる。すべてが燃えている、すべてが痛い。息ができない、見えない、聞こえない、何もできない。
だが、俺を殺しているのは火じゃない、空気の欠如だ。
「がふっ! がふっ!!!!!!!!!」
喉を掴む。
空気は熱く、呼吸のひとつひとつが肺からの弱々しい動きにすぎない。この時点で、何の機能も果たさない。死にたくないと考える余裕すらない、ただ痛みだけが、心の最前面にある。
叫び声が、呼吸しようともがく中で徐々に消えていく。
まだ溶けてはいないが、それでも、今にもその段階に達しそうな感覚がある。
俺は、死ぬ……
俺は――
「エアロニス1、突風」




