表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

88/175

番外編 葛藤の先

 パーティーが終わった後アルトはリッドの家に迎えの馬車で向かっていた。


 リッドの屋敷に入ると皆が迎えに出て来ていた。


「おかえり、どうだったかな?パーティーは」


「疲れたよ、もうたくさんだ」


 リッドにそう答えるとルトとレナを見て行くぞと顔で合図する。


「ふたりを見てくれてありがとうございます。さ、行くぞ」


 アルトはふたりを連れ宿に行こうとするとマリナが止めた。


「もう夜も遅いですから今日は泊まっていって下さい」


「そうしなさい、子供はもう寝る時間だ」


 アルトはその言葉に甘える事にした。



 ベッドで寝ていたアルトはあの日の事を思い出していた。


 ナタラ村でエレナが朝に村を出て行こうとした日……


 アルトは分かっていたエレナが魔物が来ると聞いて帰るはずが無いと。


(付いて行きたい……だが俺はルトとレナを守らなければならない)


 アルトは寝付けないのでトイレに向かったがリビングに灯りが付いているのに気付いた。


「おや? 寝れないのかい?」


 中を見るとリッドが本を読んでいた。


「ああ、少しな」


「まあ座りなさい」


 アルトが座るとリッドは温かいお茶を出した。


「君の弟妹から色々話を聞いたよ大変な人生を送ってきたんだな君達は、ふたりとも君の事を凄く褒めてたよいつも守ってくれているってね」


 アルトは黙って話を聞いていたが次の言葉に顔を上げた。


「同時に重荷になっているとも……」


「え?」


「レナ君が言ってたんだ。お兄ちゃん本当は色々な冒険に出たいけど私達が邪魔をしていると」


「そんな事は!」


「分かっているよ君はそんな事を思う子ではない……さっき情報が入ってねエレナ君は魔物の討伐に行くそうだ」


「……」


 リッドはアルトに手紙を渡した。


「レナ君が寝る前に私の所に来てな、君に渡してくれと言われた」



 アルトは渡された手紙を読んだ。



 帰って来た時に顔見てたけどまた悩んでるでしょ?


 エレナお姉ちゃんがまた旅を始めようとして付いて行くかどうしようかってね。


 ねえ聞いて! リッドおじ様もマリナおば様もすっごく優しいのよ! 私達をナナちゃんと同じくらい可愛がってくれるの! ナナちゃん無口だけど一緒に遊んでくれるしもうここは天国よ!


 それでね、私お願いしたの暫くここで働かせて欲しいって何でもするからって言ったらおじ様がお兄ちゃんには大きな借りがあるからいつまでもここで遊んで勉強していいって言ってくれたの。


 分かってるの私達がいるからお兄ちゃんはやりたい事が出来ないって……


 だから、しょうがないから解放してあげるわ!


 精一杯頑張って立派な剣士になったら迎えに来て! 約束よ!


 その時にエレナお姉ちゃんがお嫁さんだったら嬉しいな……


 お兄ちゃん今まで守ってくれてありがとう。


 いってらっしゃい




 ポタ、ポタ


 アルトは紙に落ちているものを見て自分が涙を流している事に気付いた。


「あいつ……」


「あの子は本当に偉いな、その紙をよく見なさい幾つも涙が落ちている跡があるだろ? 本当はレナ君も辛いんだ」


 しわくちゃの紙を見てレナが泣きながらこれを書いていると思うとアルトはまた涙が込み上げてくる。


「あのふたりは私達が責任を持って育てるから君はやるべき事をやりなさい」


 アルトはリッドに頭を下げた。


「お願いします。ふたりに言っておいて下さい絶対に迎えに行くと」


「分かった」


 そうしてアルトは準備を始め屋敷を出て行った。


「お兄ちゃん……」


 屋敷の窓からレナはアルトを見送っていた。


「もう、ちゃんと会って見送ってあげればよかったのに……」


 レナの隣にはマリナが寄り添っていた。


「だって、私泣いちゃうから……うぅ」


 マリナは泣くレナを抱きしめると優しく声をかけた。


「大丈夫よ、エレナさんは凄く強いのよアルト君も強くなって貴方達を迎えに来てくれる……それまでここで元気に暮らすの、私達が貴方達のお父さんとお母さんになるから……」


「うん……」




 パーティーが終わった後ハラント、ロイズ、カイジスは3人で話し合っていた。


「エレナちゃん可愛かったな……」


「ハラント、そんな話をしに集まったんじゃない」


「そうだよ! これからどうするか話すんじゃないか」


 ハラントの言葉にツッコむふたりだがそれをハラントは一蹴した。


「え? 話すも何も行くだろ?」


「行きたいが父上が何を言うか」


「それに会議でも何も決まってないし勝手な行動はどうかと……」


「お前らなあエレナちゃんがひとりで数万の魔物退治に行くのを安全な場所で待ってると言うのか?」


「そんな事は言ってないが……」


「みんなさっき言っただろ?相応しい男になると、親父達には筋は通すがダメと言われても俺は行くぞ死んでも兄妹がいるし国が衰退することもないさ」


 ハラントにそう言われてふたりは自分が少しでも迷っていた事に気付き馬鹿らしくなった。


「そうだね! 何を迷っていたのか考える必要なんて無かったよ! 行こうエレナさんの元に!」


「ああ、数万の魔物にビビっていた俺はまだまだ小さい男だ……」


「それよりエレナちゃん胸大きかったなぁお前らも見てただろ?」


「……ハラント」


 その後ハラント達は解散して王に旅立ちの報告をすると。


 ハラントはいつもと違う真剣な表情で気持ちをぶつけるとそれに気圧された王は承諾した。


 ロイズはいつもの熱い思いを王にぶつけるとよく言ったと褒められ簡単に承諾された。


 カイジスは冷静ながらも自分の思いを話すと心配な王だったが側近の後押しもあり承諾された。



 エレナの行動を監視させていた王子達はエレナが朝に宿を出たという情報が入ると急いで馬車に乗り追いかけたのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ