第74章 ガゼル学園
ナナはベットに寝かされていた。
「うぅん……!」
ナナは目を覚ますとバッと起き上がった
そこにはリットが心配そうな顔で見ている。
「ナナ、すまない。こんな事になっていたのを気付けなくて」
「……別にリットおじさんは悪くない」
「絶対にマリナさんは私が助けるから待っていてくれ」
リットはそう言うと部屋を出て行こうと立ち上がった。
ガチャ!
『あ、ナナさん起きたんだね』
エレナが部屋に入ると笑顔でナナを見た。
「エレナさん、良かった本当に助けに行ったのかと」
リットはホッとした顔をしたがエレナが一歩横にズレるとリットはそこにいた人物に驚いた声を上げた。
「マリナさん‼︎」
「お母さん‼︎」
ナナはベットから飛び起きてマリナに飛び込んで行った。
「ナナ……」
「うぅ……お母さん」
「まさかエレナさんが……」
リットがエレナを見るとエレナは微笑んで返した。
「はい……エレナさんが助けに来てくれました。それに病気もすっかり良くしてもらいました」
マリナは涙ながらに話した。
「お母さん病気治ったの⁉︎」
ナナはびっくりしてマリナに聞き返した。
「ええ、すっかり体の痛みもなくてこんなに元気なのはいつ以来かしら……」
リットは嬉しさのあまり目に涙を浮かべていたがエレナの方を向くと頭を下げた。
「エレナさん! 本当にありがとうございます。何てお礼を言ったらいいか……」
『お礼なんて、当然の事をしただけですよ』
ナナはマリナから離れるとエレナの前に来る。
涙を拭ってエレナを見るとあまり人に接していなかった為に言い辛そうにしていたが小さい声でお礼を言った。
「お母さんを助けてくれて……ありがと」
『うん、ナナさんもこれで明日からまた学校で会えるね』
「さんはいらない、ナナでいい」
『うん! じゃあナナ明日学校で待ってるからね』
ナナは嬉しそうに頷くとエレナは部屋を出て行った。
「ナナ、本当にいいお友達を持ったわね」
「うん」
「……」
リットは何かマリナを見て考え事をしていたが意を決した表情でマリナに跪いた。
「マリナさん! 僕と結婚して下さい! 今回の事で気付きました、私はあなたとナナを一生をかけて守りたい!」
「リットさん……」
マリナは何かと気にかけて助けてくれていたリットに好意を持っていたが病気の事やナナの事もあり諦めていた、しかし病気も治り障害が一つ消えた今突然のプロポーズにどうすればいいか悩んでいた。
それを見ていたナナはマリナの所に行くと微笑んで耳元で囁いた。
「……」
マリナはその言葉に出てくる涙を堪え切れなかった。
「ナナ……ありがとう……」
そしてマリナの返事を待つリットに答えた。
「はい……」
エレナは学校で皆と挨拶を交わし教室に入るとナナがいつもの通り窓の外を見ていた。
エレナは嬉しそうにナナの元へ向かうと挨拶をした。
『ナナおはよう』
するとナナは恥ずかしそうに小さな声で挨拶をした。
「……おはよう」
いつものお昼の時間。
いつもの通りソニンとアルコと食べていたが……
モグモグ
エレナの膝の上にはナナが座ってエレナの作ったご飯を食べていた。
「……」
ソニンとアルコはそれを不思議そうな顔で見ていた。
「いつの間にそんな仲良くなったんですか⁉︎」
ソニンは驚いてエレナ達に聞いた。
『まあ日頃の努力のおかげかな』
エレナは自慢げな表情をする。
「流石エレナさんですねぇ」
アルコは感心したようにふたりを見て言った。
「そういえば聞きました⁉︎」
ソニンは嬉しそうに話し始めた。
『何かあったの?』
「うちの学園長が結婚するんですよ!」
『そうなんだ』
「あの歳で未婚何てあり得ないですからね、色々噂もあったけどいい人だから良かったわ」
エレナは知らない振りをしていたが実は一足先にそれを本人から聞いていた。
朝にリットから呼ばれると昨日のお礼と嬉し恥ずかしそうにマリナと結婚すると言われたのだった。
今日リットのお屋敷にナナとマリナが引っ越しをするとリットは嬉しそうに話していたのをエレナは思い出していた。
モグモグ
ナナは無言で美味しそうにエレナの作った料理を頬張っていた。
『美味しい?』
コクコク
ナナは小柄で膝に座って食べる姿はつい抱きしめたくなるほど可愛かった。
休み時間になるとエレナの膝の上に乗る様になり皆を驚かせていた。
学校も終わりナナと一緒に帰っていた。
『もう少しで武闘大会だね』
ナナは頷きエレナを見た。
「エレナ強いから優勝できる」
ガゼル学園ではジーズ学園長が現れない人事部の責任者に苛立ちを隠せないでいた。
「何処に行ったのだ! アイツは‼︎」
コンコン
「入れ!」
ガチャ!
「学園長に会いたいと言う者が来ております」
「誰だ?」
「何でも高位なマナ使いの方らしく是非協力したいと来たそうです」
ジーズは少し怪しんだ。
(高位なマナ使いだと……まあ話を聞いてやってから決めるか、利用出来るものは利用せんとな!)
「分かった部屋に呼んでくれ」
ガゼル学園の訓練所では大会の出場者が集まっていた。
見学をしているのは殆どが女子で声援が飛び交う中3人の青年が訓練をしていた。
「あ〜やっぱりハラント様はカッコいいわ!」
「ロイズ様よ! あの直向きな情熱は私の心をくすぐるの!」
「カイジス様もクールでカッコいいし惚れちゃう!」
「武闘大会まであと2日だ! 明日が祭りだからと言って最後まで気を抜かずに訓練するようにな!」
指導をしていた教師が訓練を終えて揃った3人に釘を刺した。
「はいはい、大丈夫ですよ先生! 今年もうちが優勝間違いなし! なあロイズ!」
「ハラント‼︎ 主にお前の事を言ってるんだぞ‼︎」
ヘラヘラと笑いながらハラントは隣のロイズという青年の肩に手を回して言った。
「ああ、俺たちはこの一年必死に訓練してきたんだ! 絶対に負けないよ‼︎」
ロイズは自信たっぷりの表情だった。
「確かに今年のメンバーは去年より強い、問題ない」
もう一人の物静かな男もふたりを見てフッと笑った。
「お前達はこの学園から選ばれた者、幾ら王子だからと言って増長するなよ!」
「はいはい、それよりロイドとカイジスようリチーナ学園に来たっていう噂の美少女を見に行こうぜ!」
「この学園でも今すごい話題になってるっていう子?」
「そうそう! もう見惚れないものはいないって言うくらいの美しさだってよ!」
「噂は誇張するからな……俺はいい」
「俺も自主訓練があるから……」
「お前らなぁ〜こんな年にもなって恋の一つもしないなんて勿体無いぞ? 親に勝手に決められた相手でいいのかぁ?」
ハラントはやれやれといった表情でふたりを見ている。
「では明日は訓練はないが祭りに羽を伸ばし過ぎないように! 解散‼︎」
ハラントはその後もふたりをしつこく誘っていたが断れるのであった。




