第73章 裏組織
ナナは気づかないうちに少しずつ学校が楽しくなっていた。
いつも一人で窓を見て誰が話しかけてきても無視をしていた。
(お母さんが病気で苦しんでいるのに自分だけ笑って楽しむなんてできない……)
無視をすれば誰も話しかけて来ないと一人孤独に過ごしていた。
(だけど、この前入学してきた女の子が私に無視されても他の人達と違って怒らずにまた話しかけてくる。優しい雰囲気、お母さんみたい)
エレナに美味しいお菓子をもらうと家に帰り母親と一緒に食べた。母親は凄く美味しそうに食べていてナナはそれが嬉しかった。
今日もナナは貰ったお菓子を持って家に帰ると異変に気付く、急いで母親の元に行くとベットから母親がいなくなっていた。ベットには手紙が置いてあり読むとナナは膝から崩れ落ちて大きな声で泣いた。
(誰か助けて……)
エレナとリットはナナの家に行くと鍵がしておらず扉を開けると中に入って行った。
「多分母親の寝室でしょう」
リットについて行くとリットがドアの開いた部屋の前で立ち尽くしていた。
「何て事だ……」
部屋に入るとベッドにすがり目を腫らして寝ているナナがいた。
ベッドの上には紙が置いてありリットはそれを見ると拳を強く握り歯を食いしばった。
「こ、こんな事も気付けないとは自分が嫌になります……」
リットから紙を受け取り読むとエレナは怒りが込み上げてくる。
どうやら母親を人質に取ったらしい。
『助けに行きます』
「待って下さい! これは裏の組織が絡んでいます。ここを見て下さいこのマークは犯罪組織のシンボルマークです」
『じゃあ場所は分かりやすいですね。ナナをお願いします』
エレナは久々に怒りの感情を出して家を出ると日が暮れ始めた街を歩いて行った。
夜になるとエレナは繁華街の裏路地を歩いていた。
「お〜お嬢ちゃんこんな所を歩いていたら危ないよ」
「ちょっといい所に連れて行ってやるぜ」
2人組の男はナイフを手に近寄ってくる。
男達はエレナに触れようとした瞬間何かに吹っ飛ばされた。
「があ‼︎」
「あぐぅ‼︎」
男達は壁に体がぶつかり倒れると目の前にエレナが立っていた。
『ねえこのマークの組織知ってるよね?』
エレナの手には蛇のシンボルマークが紙に書いてあった。
「し、知らねえ!」
『ふ〜ん』
ズガン!
「「ヒィ!」」
男達の目の前にエレナから放たれたいかずちで穴ができていた。
『今日は曇りだから雷が人に落ちても違和感ないよね?』
繁華街には周りに比べても圧倒的に大きな建物が建っていた。
表向きはバーだが奥には裏組織の関係者が多く出入りしている。
ある豪華な内装をした一室では組織のトップと話をしている男がいた。
「これで1件は片付きましたね」
「こんな簡単な仕事幾らでも引き受けるぞ? ガハハ」
酒を飲みながら笑う男は上機嫌で前に積まれた金を見ていた。
「もう一件なんですが」
「あー男と女の学生を脅迫すればいいんだろ? 少し痛い目に合わせればすぐ聞くさ」
『へ〜じゃあ聞くかどうかやってみる?』
部屋の前から女の声がした。
「誰だ‼︎」
ドアがドバァン! と砕け散った。
男達は驚いて見るとそこには美しい少女が立っていた。
「お、お前は‼︎」
「あれ〜? これはガゼル学園の人事部の方じゃないですか。いいんですかねこんな所にいて」
「く‼︎」
「おい‼︎ 誰か居ねえのか‼︎」
シーーン
『皆んな寝てるよ。お酒の飲み過ぎじゃない?』
「バド‼︎ 出て来い‼︎」
男がそう叫ぶと後ろの部屋から大きな男が姿を現した。
目つきは鋭くエレナを見てニヤニヤと笑っていた。
「あの女を殺せ!!」
「勿体無い高く売れそうなのにな」
男は大きな剣を出すと構えた。
「苦しまないようにすぐに眠らせてやる」
そう男はエレナに物凄い速さで剣を振るった。
ガキン‼︎
剣がエレナに当たると砕け散った。
「何だ⁉︎ 何が起こった⁉︎」
『眠るのはお前だよ』
ドガァン‼︎
男は起きた事を理解できていないまま吹っ飛ばされて壁にめり込み動かなくなった。
『さてナナの母親を何処にやったか聞きださないとね』
エレナはふたりに近寄って行くとふたりは腰を抜かして必死に逃げようとしていた。
「待て私に何かあればタダでは……」
ドカ‼︎
「ギャ‼︎」
ガゼル学園の人事部の男は吹っ飛ばされて床に転がり気を失った。
「分かった‼︎ 喋るから‼︎ 殺さないでくれ ‼︎」
『何処に連れて行ったの?』
エレナは場所を聞くと男を隣の部屋まで吹っ飛ばした。
エレナはこの建物の裏にある建物の地下に降りて行った。
入口には男が立っていたので何も言わずに吹っ飛ばして鉄の扉をこじ開けた。
中には大きな広間になっており何人か人が座っていたり寝ていた。
「あんた誰だ?」
中にいた男が寄ってくる。
『今なら逃げられますよ。外は誰もいませんから』
「おお‼︎ 聞いたか皆んな‼︎」
男の声に何人かの男は喜びの声を上げて急いで部屋を出て行った。
布団に寝かされていた女性の所に行きエレナはしゃがんで様子を見ていると女性は目を覚ました。
「あ、あなたは?」
『ナナさんのお母さんですか?』
「はい、そうです。ゴホゴホ」
『ちょっと楽にしていて下さい』
そうエレナは体を起き上がらせる母親を寝かせてマナを流した。
母親の体は光に包まれていきやがて光が消えると母親は体が軽くなっているのに気づく。
「そんな‼︎ あれだけ痛くていう事を聞かなかった体が……」
母親は泣きながら体を動かしていた。
「あなたは一体……」
『ナナさんのクラスメイトです』
母親はハッとした顔をするとナナが話していた人物が浮かんだ。
「もしかしてナナが話していた子はあなただったんですね! よくお菓子を持って来てくれた」
『はい、エレナといいます』
「エレナさんありがとうございます。助けていただいた上に病気まで治していただき」
エレナは微笑むと手を出した。
『さあ行きましょう。ナナさんが待っていますよ』




