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第72章 動きはじめた陰謀

 朝になりまだ日が出て間もない頃エレナの部屋の入り口の隙間から眩い光が漏れていた。


『ふ〜やっと3つ目か〜』


 エレナは毎朝マナの訓練をしていた。


 サラに言われていた体にあるラーガの力。


 4つのうち3つの場所を突き止めていた。


 エレナは体に感じる3つの場所に意識を向けた。


 サラは右手で額にサラの母親の温かいマナを感じる、そして右胸には女の子の強気なマナを感じた。


(このマナはサラさんの妹さんかな)


 後はサラの父親なのだがまだ見つからなかった。


(まあゆっくりと探していこう)


 3つのマナを感じる場所に同時にマナを流すと凄まじい量のマナが生まれた。


(多分今までの10倍は強くなれそうな気がする……全力でマナを纏ったらどうなるんだろう?)


『じゃあ行ってくるねフェイ、ルトとレナをよろしくね』


 学校にアルトと向かっていると数人の大人に囲まれた。


「何か用か?」


 アルトの言葉に真ん中にいた男が前に出てきた。


「初めまして、私はガゼル学園の人事部の者です。おふたりを我が学園にお迎えしようと思いまして」


『結構です』


「ほう、お断りになるとおっしゃるのですか?」


「そうだ、話は終わりだそこをどいてくれないか?」


「ふふふ、いいんですかね? 後悔しますよ?」


「なんだと」


「あなた、可愛い弟さんと妹さんがいますよねぇ、素直に来た方がいいと思いますがね、今頃何処かにお出掛けになってるかもしれないですよ?」


「く! この野郎……」


『あ、大丈夫だよ、フェイがいるし』


 エレナは少し焦るアルトに声をかけた。


『知らないと思うけどあの子は上級クラスの魔物より強いんだから』


「本当か⁉︎」


 エレナはうんうんと頷いて歩いて行った。


 するとエレナ達が歩いてきた方向から何人かが走ってくる。


「ダメです! 魔物が子供を守っていて手出しできません‼︎」


「何だと‼︎」


 アルトはそれを聞いてほっとした表情でエレナを追いかけて行った。


 遠ざかるふたりを見て男は次の手を考えていた。


「あの組織を使うか……まずは小娘の方から片付けるぞ!」


 そう言うと男はイライラした様子で馬車に乗り込んだ。


 学校に着くとエレナはナナの元に行った。


『おはよう、僕エレナよろしくね!』


 「……」


 ナナは窓を見て見向きもしなかった。


(う〜ん手強いな……でも諦めないぞ〜)


 お昼休みになるとご飯を食べ終えて教室に帰るとナナはまだ外を見つめている。


 コト


「ナナさんこれ食べない? 作ったんだけど」


 エレナは作っていた焼きたてのクッキーをナナの机に置いた。


 ピク


 ナナはクッキーの香りに少し反応した。


(お! ちょっと食いついたな!)


『そういえば選考会の結果見た? ナナさん団体戦で選ばれてたよ。僕もなんだ一緒に頑張ろうね! これ、美味しいから家で食べてね』


「……」


 それからもナナに積極的に話しかけてお菓子を上げ好感度を上げようとしていたがある日ナナが教室にいなかった。


『ナナさん今日は休みなのかな?』


 ソニンに聞くと驚いた顔をした。


「え! 知らないんですか? ナナは転校しましたよ!」


『どういう事⁉︎」


「あれですよ、いわゆる引き抜きですね、ガゼル学園にいい条件でも出されたのかな」


 エレナはそのまま急いで職員室に行きエステに話しかけた。


『あの、ナナさんが転校って本当ですか?』


 エステは暗い顔をしていた。


「ええ、今日の朝いきなりそう言って帰っちゃったの。でも様子がおかしくて聞き出そうとしたんだけど……」


(何かあったな……)


 エレナはガゼル学園の勧誘の仕方が卑劣だった為今回もナナが脅されているとみていた。


『ナナさんの家って何処ですか?』


「会いに行くの?」


『はい、話しだけでも聞いてみます」


「学園長に聞いてみなさい。近所に住んでいるから」


 エレナはエステと学園長室に向かった。


 コンコン


 ガチャ!


「学園長、エレナさんがナナの事を聞きたいと言うので連れてきました」


「ああ、君か、ナナと仲良くしてもらっていたみたいでありがとう。あの子は人との接触を避けるようにするから皆も話しかけなくなってしまってね。いつもつまらなそうにしていたんだが君が来てからは少し表情が変わってきて良かったと思っていたのに」


『引き抜きにあったんでしょうね』


「前に引き抜きの話があった時は断ったと言っていたから安心していたんだが……」


『僕もこの前勧誘が来ましたけど結構手荒な事をしますよね。ナナも何かで脅されたんじゃないでしょうか?』


「僕はナナを生まれた時から知っているんだよ、近所に住んでてね母親とよく楽しそうに歩いていたのを見ていたよ」


 リットは遠い目をして話していた。


「よく母親とナナと話したり食事をしたりもしていたが、母親が病気で倒れてしまってね寝たきりになってしまったんだ、それからかなナナが笑わなくなったのは……」


 そしてリットは辛そうな顔に変わる。


「僕はナナを学園に入れて母親も援助してきたからさっき転校すると言われた時はショックで……」


 リットは今度は悲しそうな顔で話した。


『家に連れて行って下さい、何か訳があるはずです』


「分かったよ、エステ、馬車を手配してくれ」


 馬車に乗り込むと嫌な予感を胸にナナの家に急いだ。





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