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第67章 鍛冶屋のデュアル

 ギルドを出るとエレナはアルトに声を掛けた。


『で、行きたい所って何処なの?』


「行っていいか? 鍛冶屋に行きたいんだ」


『剣でも打ってもらうの?』


「いや、壊れた剣を直して貰いたくてな」


『じゃあ行こう、場所は分かるの?』


「いや、だから武器屋に行って聞こうと思ってな」


『なるほどね』


 早速武器屋などが並ぶ商店街のような場所にやって来た。


「あそこがいいか」


 アルトはそう言って手前にあった武器が並んでいる店に向かって行った。


 店に入ると中にも剣や槍など様々な武器が並んでいた。種類も多くどれがいいのかまったく分からないエレナはキョロキョロと武器を眺めていた。


 アルトはカウンターにいた男に話しかける。


「すまないが鍛冶屋を紹介して欲しいんだが」


「ん? 何か用があるのか?」


「ああ、剣を直して欲しいんだ」


「この街には何軒か鍛冶屋があるが何処も頑固な奴が多くてな相手にしてもらえないかもしれんぞ」


「その時はその時だ、頼む」


「まあ場所を教えるだけなら良いぞ後はお前次第だ」


「助かる」



 武器屋の男から場所を聞いたエレナ達はまず近場の鍛冶屋に入っていくと入口からカンカン!と金属を打つ音が聞こえていた。


 ちょうど男が目の前を歩いていたのでアルトは声を掛けた。


「ちょっといいか?」


「ん? 何か用か?」


「ああ、直して貰いたい剣があるんだ」


「親方は奥にいるが忙しいから追い返されるかもしれんぞ」


「話しだけでも聞いて欲しいんだが」


 男は少し考えたが中に入れてくれた。


 中では五人の男が作業をしており汗だくで金属を叩いていた。熱気が漂いハンマーで叩くと同時に火花が飛び散る光景はまさに鍛冶屋だった。


「親方‼︎ お客だ!」


「ああ⁉︎」


 呼ばれた白髪の男はガタイのいい大きな男で、少し機嫌が悪いのか返事が怒っているようだった。


「剣を直して欲しい」


 一旦音が鳴り止むとアルトは親方に言った。


「ふん! 見せてみろ‼︎」


 アルトは剣を出して親方に渡した。


 それは折れていたが綺麗な装飾がされていてエレナはその剣がユギルの持っていた剣に少し似ていると感じた。


 親方はそれを見ると目の色が変わったのが誰でも分かるくらい大きく見開いた。




 親方はつまらない毎日に嫌気がさしていた。


 鍛冶屋を構えて30年が経つが毎日同じ素材で作る武器に飽き飽きしていた。たまに修理の依頼もくるが血が滾るような物は無かった、刺激が欲しかったのだ。


 今日の武器も大方学生用の剣だとか警備の奴用の剣など、どうでもいいような物を大量に作らされて機嫌が悪かった。


 しかし今日、突如そのつまらない日々が終わる。


 親方はそれを見た時、体が震えた。


(こ、これは見た事のない素材だ、折れてはいるが相当なシロモノだ‼︎)


 しかも剣から放たれる波動はこれが伝説の武器だと言っているようだった。


(俺に直せるのか?)


 しかし直して見たいという欲求が興奮がそれを凌駕すると共に夢中になれるものができた喜びが顔に出ていた。


(これは一世一代の大仕事だ! だが俺一人では手に負えないかもしれん……くくく、アイツらにもかましてやるか)


「よし‼︎ やってやろうじゃないか‼︎」


 親方は大声をあげその表情は打って変わりやる気に満ちていた。


「親方‼︎ まだ納品分の剣が……」


 一人の男が声を上げたが親方はそれを物ともせず。


「はん‼︎ そんなもん適当に作っとけ‼︎ ちょっと外に出るからな!」


 全てを弟子達に放り投げた親方はエレナ達を連れて別の場所に連れて行った。


「何処に行くんだ?」


 アルトが道中親方に聞くとこちらを振り返って答えた。


「他の鍛冶屋だ。まあついて来い」


 親方は他に2軒の鍛冶屋に行き同じように剣を見ると興奮してついて来た親方達も加わり最初に来た鍛冶屋の隣の家で会議を始めた。


「最初に自己紹介をしよう俺はデュアルだ。でこいつらは俺の同郷の仲間でなコイツがガダンっていう金属に詳しい奴だ。あとコイツはゴルスタ、作れる武器の種類は多く器用な奴だ」


 最初に来た鍛冶屋の親方デュアルは他の鍛冶屋の親方を紹介をした。


「おい、これは何処で手に入れたんだ?」


 ガダンはアルトに聞いた。


「これは親父が持っていたんだ。いつも大事そうに持っていてな。何故折れてしまったのかは分からないが」


「コイツはおそらく伝説の武器の1つだ」


 ゴルスタは興奮しながら話す。


 アルトは驚いて剣を見る。


「まさかそんなもんを何故親父が⁉︎」


「もしも持ち主ならそれを受け継ぐのは血を引いた者が多いんだが認められなければ使えんぞ?」


「とにかく直して欲しい」


「おう! だからこうして集まったんじゃねえか!」


 デュアルはやる気満々で他のふたりもうんうんと頷いていた。


「だが時間がかかるし必要な素材もあるかもしれん……しばらく預かるがいいか?」


 アルトは頷いた。


「それで金はいくらかかるんだ?」


「そうだな本当はこんな機会をくれたから逆に払いたいくらいなんだが」


 そうデュアルは言うが。


「おい、あれがいいんじゃないか?」


 ガダンが何か提案が浮かんだらしく親方達は何やら話し始めた。


「おお! 面白そうだな」


 話が終わるとエレナ達を見てニヤニヤしながらデュアルが言った。


「お前今度の大会で優勝してみろ」


「何の大会だそれは」


「来月になこの街の学校の精鋭が集まり剣とマナ使いによる武闘大会があるんだよ」


「この剣を持つのにふさわしい男は優勝何て当たり前だろ?」


『あ、僕も参加していい? 条件に入れてよ』


 何か面白そうな予感がしてエレナは参加を表明した。


「お嬢ちゃんもか……まあいいだろ」


『でもこの街の学生じゃないんだけど』


「おお! じゃあちょうどいいな! いい所を紹介してやる」


 デュアルはまた顔がにやけていた。


「これは面白くなって来そうだな!」


 3人はクククと笑っていたのを見たエレナは嫌な予感がしていた。


(……怪しい)



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