第66章 グランタルの街
朝起きたアルトは外で剣を振っているといい匂いがしているのに気付いた。
ルトとレナも匂いを嗅いだのか家から外に出てきて料理をしているエレナの方へ駆け寄って行った。
アルトは料理をしているエレナの脇で甘えるふたりを見ていると昔母親がいた時の光景と重なり少し感傷に浸っていた。
ご飯を食べてまた山を登り始めると頂上に辿りいた。
そこで見た景色はまさに絶景で、来た方向には海が見え反対は広大な大地が広がっていた。
「わあー‼︎」
「凄い景色‼︎」
『本当だね!』
しばらくその景色を楽しんでいるとアルトが指を指してエレナに声をかけた。
「おい、あそこがグランタルの街だ」
指の先には建物が多く並び真ん中には大きな塔が建っていた。
『へぇ〜大きい街だなぁ。ポーラトールくらいありそうだ』
「そろそろ行こう、今日中に山を降りるぞ」
そして山を降りたのは日が暮れた頃だった。
ルトとレナは途中で疲れていたのでエレナが抱えて降ったのだった。
『ふたりともよく頑張ったね』
エレナはそう言ってふたりを下ろした。
「ありがとうお姉ちゃん」
『今日はここで野宿しよう』
指輪からコテージを出す。
『これからご飯作るからこの中で休んでて』
「「はーい」」
「俺は焚き火の準備をする」
『よろしくね』
夕食を食べて休憩している時エレナはアルトに街について聞いていた。
『グランタルの街ってどんな所なの?』
「あそこは学業が盛んな所でな、幾つか学校があるんだ。この大陸中から学ぶ為にグランタルに集まっていると言っていいだろう、だから武器屋やマナ使い用の道具屋も多いな」
『学校かぁ楽しそうだね』
(俺は高校2年まで学校に通っていたけど今思えば楽しかったな、高校はバイトばっかやっててそうでもなかったけどさ、小学生から中学生までは皆んなとバカをやって遊んで授業もつまらないと思った事もあったけど思い出すとかけがえのない時間だったと思える)
そして次の日グランタルの街に着いたのはお昼を過ぎた頃だった。
街に入ると皆エレナを見ていた。
あちこちで可愛いやら綺麗だと話している。
ある冒険者達はエレナを見て話していた。
「あの子誰かしら? あんな可愛い学生なんていたっけ?」
「あんなに可愛いかったら有名になってるわよ」
「じゃあ何処の街から来たのかな?」
「この大陸のあちこちで仕事に行ってるけど聞いた事ないな」
「これからどうするんだ?」
街に入るとアルトはエレナに聞いた。
『とりあえずお金が欲しいからお宝を売りたいな』
「それだったら冒険者ギルドが手っ取り早いぞ」
『場所分かる? 連れてって』
「分かった。こっちだ」
アルトは先頭を歩き始めた。
「冒険者ギルドへようこそ!」
建物に入り受付嬢に笑顔で迎えられたエレナは早速買い取りをお願いした。
『あの、売りたい物があるんですけど』
「どんな物でしょうか?」
そう言われたエレナは以前盗賊から頂いたお宝達を次々に出していく。
受付嬢は次から次へと出てくる物に唖然としていた。
後ろでもアルト達やその場にいた冒険家達も驚きざわつき始めた。
『これで全部です』
「しょ、少々お待ちください」
受付嬢は誰かを呼びに行くと何人か連れて戻ってくる。
「鑑定しますので待ってて下さい」
エレナが出した宝を運んでいくと30分くらいで受付嬢は奥からやって来た。
「えー、全部で120万サラナです」
(サラナ? やっぱり貨幣が違うのか……)
「120万⁉︎」
後ろでアルトが驚いていたのでエレナはこっそり聞いた。
『ねえ、どのくらいの価値なの?』
アルトは分からないのか? という表情をして答えた。
「そうだな、宿一泊で100サラナ、食事でも10サラナで普通に食べれるくらいだ」
(なるほどかなりの大金ぽいな、よし!売ろう!)
『売ります』
「ではお金を用意しますので……」
受付嬢はそう言ってまた奥に入って行った。
『良かったぁ、これで当分の活動資金が確保出来たね』
「エレナは何処かの貴族か王族なのか?」
『違うよ、あれは前に盗賊を退治して貰ったんだよね』
「お待たせしました」
お金を受け取ると受付嬢に聞いた。
『すいませんこの大陸の地図が見たいのですが……』
「地図ですか? では案内しますね」
大きな地図がある場所にエレナ達を案内すると受付嬢は口を開いた。
「携帯用の地図は雑貨屋に売っていますのでそこでお買い求め下さい。では失礼します」
『ありがとうございます』
地図は2枚あり1枚は世界地図でもう一つはこの大陸の地図のようだった。
まずエレナは世界地図を見る。
リンドラ王国で見た地図と似ていた。
4つの大陸を見ているとアルトが横で話し始めた。
「ここの大陸はラテアノ大陸と言って、ここだな」
アルトが指を指したのはエレナのいた大陸の右隣の大陸だった。
「そして今いる場所はここだ」
今度は大陸地図の左下くらいの場所を指した。
エレナはどう帰ればいいのかを考えていた。
『他の大陸に行くにはどうしたらいいの?』
「すまないが分からん、海というのは魔物が多くてな、なかなか船で渡るのは危険なんだ、だから行くのは命知らずの変わり者と言われるくらいだしな」
エレナも以前から他の大陸から来たと言ってかなり驚かれていたので察しはついていた。
「実際往復した者はいるが王族とか貴族の金持ちが護衛を沢山同行させてやっと渡れるくらいだ」
(そうかぁ……何とか海を渡る方法を探さないとな、それを目標にしよう)
エレナはまず帰る事を目標にしたのであった。




