第65章 もう一つの旅立ち
セリア達はリンドラ王国の会議室で王と王女に側近達と話をしていた。
「まずはこの大陸を救ってくれてありがとう」
王は最初に感謝を告げた後セリア達を励ました。
「主役がいないのは残念だが聖女様はきっと何処かで生きておられるはずじゃ」
「はい、ありがとうございます。私達もそう信じて詳しい情報を聞きに来ました」
セリアは少し微笑んで答えた。
「では見た者からの詳しい情報を」
王の言葉に側近の一人が紙を持って立ち上がり話し始めた。
「はい、当時その者はこの大陸の東の端にある海岸で仲間と釣りをしていたそうです、サラ様から聞いた時間に空に光る塊を見たそうです。そしてそれはゆっくりと東に流れて行ったそうです」
ファルナレスはテーブルに大きな地図を広げた。
「目撃者が釣りをしていた場所はここです」
地図に印がしてある場所を指した。
「本当に端っこね」
マイナは地図を見ながら言った。
「その先には……」
サラの言葉にファルナレスがその先を答えた。
「はい、その光は別の大陸にまで行った可能性が高いです」
「ラテアナ大陸か……」
「皆んなどうする?」
セリアは皆の考えを聞いた。
「他に情報がないならかける価値はあると思うが」
ユギルが答える。
「でもどうやってそこまで行くの? 海を渡るのは危険が大きいわよ」
マイナは慎重な考えを口にした。
「確かに海は魔物が多く危険ね。でも大丈夫よ」
サラは自信ありげな表情をしていた。
「何かあるんですか方法が」
セリアが聞くとサラがその方法を答える。
「うん、ラーガの術の中には海の魔物を寄せ付けないものがあるの」
「何でそんな術が⁉︎」
「ラーガの一族がこの大陸の生まれではないからよ」
これには周りの人達も驚いていた。
「何と! では別の大陸たら来たと申すのか」
王は衝撃的な事実に驚いてサラを見るとサラは頷き話を続ける。
「私達の祖先のラーガ一族は元はラテアナ大陸に住んでいたのよ、そこで一度魔物との大規模な戦いがあったらしいの。戦いの後何故かは分からないけど一部の者達は船でこの地に来たらしいわ」
「それでそんな術があったのね」
マイナは納得した表情をした。
「王様、どうか船を用意してもらえないでしょうか?」
セリアは頭を下げるとマイナ達もそれに続いた。
「当たり前じゃ、この大陸を救った英雄の頼みを断れることなどできようか! ガストよ、すぐに用意せい!」
「は‼︎」
王は笑顔でそう答えると側近のガストに指示をした。
「ありがとうございます」
「なに、エレナ殿とレストランをこの王国に出す約束をしたしな。早く出してもらわんと」
「そうですわね」
王は大きく笑い、ファルナレスはふふっと微笑んだ。
城に部屋を用意されたセリア達は部屋に集まり皆でテーブルを囲んだ。
「これで行くべき所がはっきりしたわね」
マイナが嬉しそうに言うとサラはセリアとマイナを見る。
「そうね、マイナとセリアには術を覚えてもらうわよ」
「はい! それに船の準備ができるまで訓練をお願いします! 私もっと強くなりたいんです!」
「分かったわ、ね? ユギル」
「ああ」
次の日にセリア達は船の準備が出来るのが3日後だと知らされた為、出発を3日後に決め訓練を重ねていたが王からセリア達が呼び出された。
会議室に行くと王と側近がおり椅子に座ると話を切り出された。
「実は最近この王国の近くに厄介な魔物が目撃されたんじゃ」
王は目で側近のガストに説明を促した。
「この王国から南に行った所に鉱山がありそこで働いている者達が大きな魔物を見たと言うのです」
「冒険者を派遣したんですがあまりの強さに諦めて帰って来たそうです」
「もうすぐ旅立つ所を悪いのだが退治してくれんか? あそこは重要な鉱山でな」
「その場所まではどのくらいかかるんですか?」
セリアが聞くとガストが答える。
「はい5時間といった所です」
「じゃあ明日行っても船には間に合うわね」
マイナの言葉にサラは頷いた。
「ええ、やりましょうよ。セリア達にもいい経験になるし」
「そうだな」
「分かりました。明日行ってきます」
「おお! そうか! では馬車と護衛の用意をしよう」
会議で明日の朝に出発すると決まった。
そして次の日に馬車に乗ってセリア達は鉱山地帯に向かっていた。
「冒険者が手に負えないなら上級クラスかしら」
マイナは外の風景を見ながら呟くように言った。
「そうね、でも油断しちゃダメよ。どんな魔物か分からないし上級にも色々特性があるのよ」
「そうだな物理しかして来ない奴はいいがたまにマナのような攻撃をしてくる奴もいる。よく間合いをとって咄嗟の攻撃にも対応できるようにするんだぞ」
「はい!」
「分かったわ」
セリアとマイナは真剣な顔で返事をした。
やがて馬車が止まると護衛の兵士がやって来る。
「着きました。お降り下さい」
「皆んな行こう! 護衛の皆さんはここで待っていて下さい」
セリアの言葉にサラとユギルは微笑んだ。
「は! お気をつけて」
セリア達は馬車を降りて目撃されたという鉱山の洞窟に入って行った。
歩いている途中でサラはセリアを見ると先程のセリアの言葉を思い出し微笑んで話しかける。
「セリア、何かエレナに似てきたわね」
「え?」
「そうだなアイツが言いそうな事をよく言うと思っていた」
「そうね、みんなを引っぱる姿はエレナのようだわ」
マイナとユギルも同じように思っていた。
「そうかな?」
セリアは照れて嬉しそうにしている。
エレナの姿に気づかないうちにセリアは影響されていた。
奥に進むと何か動物の鳴き声のようなものが聞こえてくる。
「あれか……」
ユギルは100メートル程先に魔物を発見した。
それは大きな体をしていてまるで竜のような姿をしていた。
「確かに大きいわね。こんな魔物今まで何処にいたのかしらね」
魔物はこちらに気付くと鳴き声のような声を上げた、すると奥からもう1体魔物が姿を現した。
こちらは素早く動く虎のような魔物だった。
「もう1体いたのか‼︎ 俺は後から出てきた奴をやる、デカいのは任せたぞ!」
ユギルは警戒しながらジリジリと歩いてくる魔物に向かって突撃して行った。
「分かったわ!」
セリアは大きな魔物に向かってマナの矢を放った。
ガァァー!!
セリア達が魔物を倒すのにそんなに時間は掛からなかった。
マイナのマナやセリアの放つ矢に撃たれて魔物は大きな断末魔をあげ消えていくと何かが落ちる音が洞窟に響く。
カチャ!
それは青色のマナの結晶石だった。
ユギルの方も魔物を切り裂くと同じくマナの結晶石が落ちる。
サラはゆっくりとマナの結晶石に近づきそれを手に取ると胸に手を当てギュッと握りしめ涙を流した。
「きっとカダル王国から逃げる時に皆の為に……ありがとう、ゆっくり眠ってね」
ユギルもマナの結晶石を持ってきた。
「100年も生き続けていたのね」
セリアは悲しそうに結晶石を見ていた。
「あら? あれは何かしら」
マイナは結晶石があった場所に袋を見つけた。
近くにいたサラはそれを取り中を見た。
「これは‼︎」
「どうした?」
サラは袋から取り出したのはロッドだった。
「これはまさかアイツの……」
ユギルも心当たりがあった。
「誰のか知っているんですか?」
セリアが聞くとサラは答えた。
「これはラーガの里で一番強い者の証」
「どう言う事ですか?」
「ラーガの一族はもちろん族長やその親族の力が一番だけど。里を守る者達を率いているのは村人で一番強い人なのそれが認められた者が持つ物なのよ」
「俺もよくそいつと狩や警備でよく一緒に行動していたからよく覚えている、確か里が襲われた時族長と一緒に行動していたはずだが……」
「戦ったのねカダル王国と」
「奴はカダル王国が許せないとよく言っていたからな」
サラはロッドをマイナに渡した。
「これはあなたが引き継いでくれると嬉しいわ」
「こんな大事なものを……」
「あなたには資格が十分にある」
「分かったわ、このロッドに恥じないマナ使いになるわ」
マイナはロッドを握りしめた。
そうしてリンドラ王国に帰ってきたセリア達は次の日船に乗り込みラテアナ大陸を目指して旅立ったのであった。




