第57章 国際会議
昨日の祭りはエレナの花火で大いに盛り上がりをみせて終わったのだった。
終わった後は皆に感謝されて帰るのに随分と時間がかかってしまった。
今日は国際会議が行われるという事なので旅のメンバーで行くことになっている。
やがて馬車が孤児院の前に停まると皆で乗りこんだ。
「エレナ昨日はありがとう。凄く綺麗だったわ! ね? ユギル」
サラは嬉しそうな顔でエレナに感謝した。
「ああ」
いつもの返事だがユギルも嬉しそうな顔をしていた。
『上手くできましたね。皆んなからも好評でした』
「来年もやる事になったのよね?」
セリアに言われてエレナは頷く。
『そうなんだよね』
あの後花火に感動したガイザーから来年も是非にとお願いされたのだった。
馬車が停まるとそこには女性が待っていた。
「ようこそお越し下さいました。部屋まで案内します」
建物に入り部屋に通されるとすでに人が座っておりリンドラ王国の人達の対面には数人の人が座っていたがエレナは初めて見る人達であった。
(ハーデルト王国の人かな?)
上座にはギルド長のゼンと数人ギルド関係者が座っていた。
しかし部屋に入ると静まり返った場の雰囲気がかなり重かった事がエレナは気になっていた。
(何かあったのかな?)
ギルド長達の対面にエレナ達が座ったのを確認したゼンは立ち上がり会議を始める。
「これで全員揃ったな、まずは自己紹介をしよう。こちらから行こうか」
エレナは自己紹介をしていく人達を見ていた。
「俺はギルド長のゼンだよろしく頼む」
「ギルド副長のロナです」
(メガネのような物をかけた30代くらいの女性だ、少し目つきが鋭いな)
「同じく副長のバニドです」
(こっちの人は40代くらいかな?戦闘経験が豊富そうなガッチリした体格をしてる、元冒険者かもしれない)
「次はうちかな私はリンドラ国王のジードだ」
(王様を見るのは久しぶりだ、アシュレイさんの件で何も言わずに帰って来たから後で挨拶しておこう)
「側近のガストです」
(この人は前に会議で見たな、見た目は中年のおじさんだが優秀な人らしい)
「王女のファルナレスです」
「次は私達ですね。はじめましてハーデルト国王のローデリです」
(この人がマイナのお兄さんかぁ20代後半に見える、表情は優しそうな感じでなかなかのイケメンだ)
「側近のダイドですじゃ」
(小柄なお爺ちゃんだ。前の世界のお爺ちゃんを思い出す顔だ)
「同じくエリスです」
(こちらはまだ20代前半くらいの若い女性だ、こんなに若いのに側近なんて凄いな、相当優秀なんだろうな)
そして視線はエレナ達に向くとエレナが話始める。
『最後はうちですね。エレナと言います』
「セリアと言います」
「マイナよ」
「サラです」
「ユギルだ」
自己紹介を終えるとゼンは険しい顔をして最初からエレナ達に向けて驚くべき報告をした。
「では始めようと言いたい所なのだが。悪い知らせだ」
『何かあったんですか?』
「ああ、カダル王国が滅んだ」
エレナ達はかなり驚いていた、まさかこれから戦うであろう敵が滅んでしまったのだから。
『本当なんですか?』
「実はカダル王国の動向を探ろうと高ランク冒険者を偵察に送り込んでいたんだ、それが今日の朝帰って来てな……とてつもなくデカい魔物が暴れ城は吹っ飛んでしまったらしい」
「それならその魔物を倒して終わりじゃない」
マイナが簡単に結論を言うとゼンが反論する。
「しかし高ランク冒険者が見たこともないと言うデカさの魔物だ、そんな簡単には行かないと思うが……」
「もしもその魔物が来たら間違いなく王国は崩壊だ、しばらくは偵察を送り動向を見ないと行かんな」
リンドラ国王の意見に皆頷く。
「そういえば聖女様、旅の方はどうですか? 確かラーガ一族の力を復活させると言っていましたが」
ファルナレスの質問にエレナはサラを見るとサラは頷いた。
エレナはその質問に答える。
『実を言うと虹の結晶石は全て集まりラーガの力を復活する事ができました』
皆一同驚きの表情を浮かべてエレナを見るとザワザワと騒ぎ始めた。
「まさかあの一族が……」
「何と‼︎」
「それでその結果はどうなったんですか!」
ファルナレスは話の先が気になりエレナに促した。
『信じられないと思いますがこのサラさんが100年前に生きていたラーガ一族の族長の娘さんです』
またしても衝撃的な内容に皆更に驚いた顔をしている。
「まさか、そんな事が……」
「しかしあの伝説のラーガ一族だ、何か特殊な術を持っていても不思議ではあるまい」
サラは立ち上がる。
「エレナの言う通り私は100年前に生きていたラーガ一族の者です。エレナのお陰でこうして復活する事が出来ました。私達ラーガ一族は代々マナの使い手として力を高めて来ました。それは魔物に対抗する為です。しかし100年前カダル王国によって一族は滅ぼされそうになり力を未来に託したのです」
一同はあまりに非現実的な話に信じられないといった顔で聞いていた。
「それで聖女様達はこれからどうするおつもりですか?」
ローデリはエレナに考えを求めた。
『はい、その魔物を倒しに行くつもりです』
「では兵士を用意して共に行こう」
リンドラ国王はそう提案したがエレナは断る。
『いえ、僕達だけで行きます。今度の敵はカダル王国の兵士が何万人といたにも関わらずああなってしまったのです』
部屋はしばらく沈黙が流れていたがゼンが口を開いた。
「すまないな……この大陸の者達の代わりに礼を言う」
ゼンはそう言うと頭を下げた。
「リンドラ王国は聖女様を全面的に支援する事を約束する」
「ハーデルト王国も同じです。どうかこの大陸をお救い下さい」
「ポーラトールの冒険者ギルドも同じだ」
各代表者はエレナに力を貸す事を約束したのだった。
その後の会議では引き続き魔物を監視する事やエレナ達が明後日に出発する事が決定された。
会議が終わるとハーデルト国王であるローデリがやって来た。
「マイナ……久しぶりだな」
「お久しぶりです。お兄様」
「聖女様と行ってしまうのだな」
「はい」
「聖女様マイナのこと宜しくお願いします」
ローデリはエレナに頭を下げた。
『マイナ王女は僕が守りますので安心して下さい』
「お兄様大丈夫です、皆んな頼もしい仲間ですから」
マイナは皆んなを見てそう言った。
「すいませんハーデルト王国はまだゴタゴタしていまして、支援すると言っておきながら十分な事ができるか分かりませんが」
『いえ、そう言ってくれただけでも嬉しいですよ』
「久しぶりに見たマイナは輝いて見える。きっとあなたがそうさせたのでしょう感謝します」
「お兄様ったら」
「はは、それではこれで失礼します」
『いいお兄さんだね』
「そうね私を本当の妹みたいに可愛がってくれたわ。すぐに離れ離れになってしまったけどね」
その後他の人達と少し会話をすると家に帰っていった。




