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第53章 教育の準備

 朝起きて皆で朝ごはんを食べると応接室に旅のメンバーが集まり開かれる国際会議について話し合いをしていた。


『今度の会議なんだけどサラさんの事は話した方がいいのかな?』


 エレナはサラに聞くとサラは頷いて答える。


「そうね、ラーガの力を復活させると言ったならそれがいいかもね」


 カダル王国の動向が気になるマイナとユギルが真剣な表情で口を開く。


「後はこれからの事ね、カダル王国は諦めていないと思うわ」


「そうだな、また何か仕掛けてくるかもしれん。それまでは戦闘訓練だ」


 それを聞いたエレナは今後のスケジュールを発表する。


『じゃあ今日はゆっくり休んで明日から特訓しよう!』



 話し合いが終わると皆はそれぞれやりたかった事をがあるらしく部屋を出て行ったのでエレナも用事を済ませようとリアスのところに向かった。


 リアスのいる建物に行くとすぐに部屋に通された。


「聖女様のご活躍を日々聞いています! 今日はどんな御用で?」


 いつも通りの様子でエレナに用件を聞いてくる。


『実は旅で使っている家にお風呂を追加したくてお願いしようかと』


「それなら1日あればできますよ。すぐにどんな風呂がいいか物を見に行きましょう」


 リアスは当たり前のようにエレナの用件を先に済ませようと立ち上がった。


『いいんですか? お忙しいんじゃ?』


 エレナはリアスが有名な建築家で忙しい事は知っていたので用件だけ伝えて帰ろうとしたのだがリアスはエレナの用件は最重要事項と思っている為嬉しさのあまりエレナを急かしていた。


「大丈夫です! 聖女様を待たせるなどできません! ささ、行きましょう」


 その後お風呂の種類を決めてコテージに増設する事にした。


 ちょうど空いている敷地があると言われたのでそこにコテージを出して作業をお願いした。

 

 リアスはすぐに作業者を手配していて明日に完成すると言われてエレナは深く感謝するとリアスはまたエレナの役に立てたと感無量の様子だった。


 次にラバーツの店に顔を出すとここでもすぐに部屋に通された。


「おお、これは聖女様! 良かった、ちょうどここに来ていました」


 ラバーツは嬉しそうにエレナの対面のソファーに座った。


『すいません突然』


「こちらも用があったので助かりました」


『用ですか?』


「この間の調味料あれから物凄く売れまして」


(ああ、焼肉のタレとステーキソースか)


「お約束通り売り上げの一部をお納め下さい」


 ラバーツは部下を呼ぶと大きな袋が積まれた台車がガラガラと部屋に入って来た。


『そんなに売れたんですか?』


「ええ! もう焼いた肉にかけるだけなので手軽さも受けて人気商品です」


 エレナも貨幣に慣れたので大体の金額が分かると袋の金貨を見てあまりの金額に戸惑う。


『こんなにもらっていいんですか?』


「まだまだ売れますからほんの一部ですよ!」


 エレナは100万ラナものお金を受け取った。


「今日はどのような御用で来られたのですか?」


 エレナがお金をしまうとラバーツは用件をエレナに聞いた。


 エレナは前から考えていた事を始めようと思っていた、それは孤児の子供の事だった。


 前にシスターから孤児の子が満足な教育が受けられず働きに出ても良い扱いをされないと聞いていたエレナは孤児達の将来のためにいい教育をさせてあげたいと考えていた。


 それには教材と人材が必要でまずは教材を求めてラバーツに頼って来たのだった。


『孤児院の子供達にいい教育をさせてあげたくて教材を手配して貰えないかと』


 エレナの問いにラバーツは頭に知り合いが扱っている物のリストを広げてそれを見つけると答える。


「知り合いにその手の物を扱っている者がいるので数が分かればすぐに取り寄せましょう」


『ありがとうございます。後は教える人を雇う場所って分かりますか?』


「そうですね、人材を派遣している場所があるのでそこに行ってみてはどうでしょうか?」


『分かりました。行ってみます』


「では馬車でそこまで送りましょう」


 エレナはラバーツの厚意に甘えると馬車で送ってもらった。


 馬車を降りると目の前には大きな建物が建っていた。


 中に入っていきカウンターへ向かう。


「いらっしゃいませ」


 エレナを見ると若い女性はあっと声を上げた。


『すいません相談があって来たんですけど』


「何でしょうか!」


 若い女性は有名人であるエレナの突然の訪問にテンションが上がると立ち上がって用件を聞いた。


『教師をしてくれる人を探してまして』


「分かりました! 少しお待ち下さい!」


 女性は小走りに奥に入っていった。



 エレナは待っている間窓から外を見ていると少年がこの建物の隣にあるボロボロの家に入って行くのが見えた。


 少年の服はボロボロで表情は子供らしくない疲れた様子だった。


(子供なのにあんな表情するなんて……訳ありかな)


 エレナはそれがどうしても気になった。


「お待たせしました聖女様。私はここの総支配人をしているカザックと申します」


 振り向くと中年の男が立っていた。普段は総支配人は表に出ないのだがエレナはこの街で今一番有名人なので知り合う良い機会だと喜んで出てきたのであった。


『エレナです。宜しくお願いします』


「なんでも教師をお探しと聞きまして」


『はい』


「こちらには沢山の人材がいますので条件に合う者を選びましょう」


『条件ですか……人柄を優先したいので出来れば会ってみたいですね』


 カザックは紙を出して人材を絞り込むとリストアップしてサラサラと書いていった。


「今空いている者は12人いますので呼び出しましょう」


 カザックは手をパンパンと叩くと奥からさっきと違う女性が出てくる。


「この者達を招集してくれ」


 さっき書いていた紙を渡すと女性はすぐに部屋を出て行った。


 時間がかかりそうなのでエレナはカザックに先程の少年について話題を出す。


『そういえばさっきボロボロの服を着た子供が隣の家に入って行ったのを見たんですけど』


「ああ、あの子はここで働いているんです」


『あんな小さな子供がですか?』


「あの子は弟と盗賊に売られていたのを私が買いました。この世界では人身売買が影で行われているのです」


 エレナはまた知らないところで行われている残酷な現実に打ちのめされる。


(でも、知った以上救える子供は救わなきゃ)


 エレナがそう思っているとカザックの話は続く。


「目的は様々であの子らはあのままだと危険な状況でしたので」


『危険?』


「最悪臓器移植に使われるか人体実験など命の危機にあったと言う事です」


 エレナはカザックに子供を引き取る交渉を始める。


『……あの子を引き取らせて貰えないでしょうか?』


「あの子とその弟にかかった金額を払っていただけるなら」


『分かりました』


 エレナは言われた金額10万ラナを払った。


「確かに、では後ほどあの子らを連れてきます」


 コンコン


 話がまとまるとちょうど良いタイミングでドアからノックする音がした。


「教師陣が集まりました」


「さあ、行きましょう」


 エレナは12人の教師と面会して人柄の良さそうな3人を採用し明日の朝に孤児院に来るようお願いした。


 エレナはカザックにまた子供が売られているような事があればこちらで引き取りたいと話すと快諾された。


「私も息子がいますので子供がそういう目にあっているのは辛い、聖女様のような方が来てよかった」


(人身売買か……この世界の子供達には幸せになって欲しい、出来ることをしよう)


 ガチャ

 

 女性がエレナがさっき見た少年を連れて来る。


 少年は弟と思われる男の子の手を引いて部屋に入って来るとカザックは少年に嬉しそうに話しかける。


「来たか、アイルよお前と弟はこれからは聖女様の所に行くんだ、いいな?」


 少年は頷くとエレナを見る、顔は泥で汚れていた。


 エレナは笑顔で子供達に近づいていった。






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